2. What could the purpose of the body be but specialness? And it is this that makes it frail and helpless in its own defense.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
- make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
- helpless [hélpləs] : 「無力な、頼りない」
- defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "What could the purpose ~ "「肉体のもつ目的は、特別性以外に何が可能か」。肉体は分離の象徴として疑似創造された幻想である。また、特別性は分離を維持、加速する。そこで、肉体のもつ目的は特別性だということになるのだ。目的と書かれているが、正確に言えば、肉体のもつ分離という目的を達成するための手段が特別性、ということになるかだろうか。"And it is this that ~ "ここは"it ~ that ~ "の強調構文、「そして、肉体を虚弱にし、自己防御に対して無力にしているのは、この特別性である」。肉体が、他者からの攻撃による怪我や、数々の病気対して脆弱であるのは、分離を維持、加速する特別性のせいである。特別性を志向する心が、実相からの分離と孤立を促し、攻撃と破壊を目的としているので、肉体自体も孤立と破壊を志向する結果になるのだ。思いが現実化するいい例である。
It was conceived to make you frail and helpless. The goal of separation is its curse. Yet bodies have no goal. - conceive [kənsíːv] : 「〜と考える、心に描く、思い付く、着想する」
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- curse [kə́ːrs] : 「のろい、呪文、怨念、忌むべきもの、天罰、悪態」
❖ "It was conceived to make ~ "「あなたを脆弱にし、無力化するために、肉体は考えられたのである」。肉体は分離の象徴として考えられ、現実化されたものである。つまり、肉体は幻想として、あたかも存在しているかに見えるのである。分離を維持するには特別性が必要となり、そのために、攻撃や破壊が求められる。そこで、攻撃や破壊の的にされるのが、肉体となるのである。肉体としてのあなたは、脆弱となり無力化する。"The goal of ~ "「分離という目的は、その呪いの言葉である」。肉体が放つ呪いの言葉、つまり、肉体の主張するところは、神の子が散り散りに分裂、分離しているということである。"Yet bodies have ~ "「しかし、肉体自体は目的(地)を持ってはいない」。この段落の一番初めに、肉体の目的は特別性だと断言されているにも関わらず、ここでは、肉体それ自体は目的を持たないと述べている。まあ矛盾ではあるが、ここでは"purpose"を用いずに"goal"を使っているので、目的という意味合いよりは、その終着点と考えればいいだろう。つまり、肉体の行き着く先はないのだ、という意味である。肉体は必ず破壊され死に至る。死は、決して肉体が好んで目指す目的地ではあるまい。したがって、肉体自体には、理想とするような目的地はないのだ。
Purpose is of the mind. And minds can change as they desire. What they are, and all their attributes, they cannot change. - change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
- desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願」
- attribute [ǽtribjùːt] : 「属性、特質、特性、性格」
❖ "Purpose is of ~ "「目的とは、心が目指すものである」。目的は、意思を持たない肉体が目指すものではなく、意思をもつ心がもつものである。"And minds can change ~ "「心は、望むがままに変化出来る」。しかし、"What they are ~ "「本当の心の姿、心のもつ属性のすべては、心と言えども変えようがない」。心は、その表面的な見栄えは変えることが出来るが、神の子として神が創造した心の真実の姿、心のもつ神の属性のすべては、心といえども、変えようがない。まあ、例えて言えば、カエルの子はカエルであって、どんなにカエルが頑張ってみてもヘビにはなれないのだ。
But what they hold as purpose can be changed, and body states must shift accordingly. - hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る、維持する、保持する」
- state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
- shift [ʃíft] : 「変わる、移る、転換する」
- accordingly [əkɔ́ːrdiŋli] : 「それに応じて、それ相応に、それに沿って」
❖ "But what they hold ~ "「しかし、心が目的としてもっているものは、変えようがある」。例えを続けると、カエルはヘビにはなれないが、住み慣れた狭い井の中から脱出したいと願い、生きる目的を、広い世界へ飛び出すという目的へシフトすることは出来る。"and body states ~ "「それに従って、肉体の状態も必ずシフトするものなのだ」。肉体のもつ意味が変化する。目的のための手段として、肉体が利用出来るのである。
Of itself the body can do nothing. See it as means to hurt, and it is hurt. See it as means to heal, and it is healed.- of itself : 「独りで」
- means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
- hurt [hə́ːrt] : 「害を与える、〜を傷つける」
- heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
❖ "Of itself the body ~ "「肉体は、それ自体は、何も出来ない」。心が肉体という手段を操るのである。肉体が心を操縦するのではない。"See it as means ~ "「肉体を、傷つける手段と見れば、肉体は傷つけられる」。"it is hurt"の"hurt"は過去分詞、受動態になっている。"See it as means to ~ "「肉体を、ヒーリングのための手段と見れば、肉体は癒されるのだ」。したがって、肉体は、善にも悪にも利用出来る。刃物が、包丁にもなれば、人を殺すナイフにもなれるのと同じである。手段とは、そういうものである。だから、その手段を操る心が大切になるのだ。手段が第一に大切なのではない。
3. You can but hurt yourself. This has been oft repeated, but is difficult to grasp as yet. - oft [ɔ́ft] : 「oftenのこと」
- repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す」
- difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
- grasp [grǽsp] : 「〜を把握する、理解する、〜を握る、つかむ」
- as yet : 「今のところは」
❖ "You can but hurt ~ "「あなたは、自分自身を傷つけることさえ出来てしまうのだ」。目的を誤れば、手段はあなた自身を傷つける結果になる可能性がある。実際、"This has been ~ "「これは、たびたび繰り返されてきた」。"but is difficult to ~ "「しかし、今のところ、それを理解するのは困難である」。特別性という幻想に捕らわれて、自分自身を傷つけてばかり来たあなたには、なぜそうなのか、その理由を理解出来るだけの心の正気さは回復していない。
To minds intent on specialness it is impossible. Yet to those who wish to heal and not attack, it is quite obvious. - intent [intént] : 「集中した、熱心な、余念のない、執心する」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- wish [wíʃ] : 「望む、祈る」
- heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- quite [kwáit] : 「なかなか、とても、非常に」
- obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった」
❖ "To minds intent ~ "「特別性に執着した心にとって、理解は不可能だろう」。特別性に執着することが、自分自身を傷つけ破壊することになると理解するのは、それに執着している限り、不可能である。ちょうど、麻薬に溺れる者に、麻薬が肉体を蝕むのだということが理解出来ないことと同じである。"Yet to those who ~ "「しかし、攻撃ではなく、ヒーリングをしたいと望む者達にとっては、それは極めて明白なことなのだ」。麻薬中毒患者をヒーリングしたいと望む医者にとっては、麻薬が肉体を蝕むことは、明白なことである。麻薬を特別性に置き換えれば、言わんとしていることが明白に理解出来よう。
The purpose of attack is in the mind, and its effects are felt but where it is. - effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
- felt [félt] : 「feel の過去形、過去分詞形」
- feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
❖ "The purpose of attack ~ "「攻撃するという目的は、心の中にあるのだ」。"and its effects are ~ "「そして、その影響は、その目的があった場所に感じられる」。つまり、攻撃すれば、攻撃された相手に攻撃の影響が表れると思われるであろうが、それも間違いではないのだが、攻撃すれば、その影響が一番よく表れるのは、攻撃したいと望んだ当人の心の上なのである。攻撃者が一番、その心にダメージを受けるのだ。なぜなら、思いは現実化するので、攻撃という悪心を抱いたこと自体が、その人を攻撃するからだ。人を呪わば穴二つ、と言うが、呪われた者もダメージを受けるが、それ以上に、呪った本人が傷を負うのである。
Nor is the mind limited; so must it be that harmful purpose hurts the mind as one. - limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
- harmful [hάːrmfəl] : 「有害な、害を及ぼす、害になる」
- as one : 「一つになって、一体となって、一斉に」
❖ "Nor is the mind ~ "「また、心は、まったく制限されないものなのである」。"so must it be that ~ "「したがって、有害な目的は、心を丸ごと傷つけるに違いないのだ」。心は、いい意味でも、悪い意味でも、まったく制限されない。どこまでも純粋、神聖になれるし、また、どこまでも、狂気の餌食にもなれる。悪い影響も、無制限に受けてしまうのだ。狂気の目的をもてば、その影響は心全体に及び、心全体が傷つけられるのである。
Nothing could make less sense to specialness. Nothing could make more sense to miracles. - make sense : 「意味をなす、道理にかなう、うなずける」
- less [lés] : 「より少ない、より少数の、より小さい」
❖ "Nothing could make ~ "「特別性よりも、意味のないものなどない」。"Nothing could make ~ "「奇跡ほど、意味のあるものはないのだ」。幻想はまったく意味はなく、意味があるのは実相だけである。なぜなら、存在しないものに意味などあるはずはなく、実相的に実在しているものは、確実に真実であるから、意味があるのだ。真実ということと、意味があるということは同値なのである。
For miracles are merely change of purpose from hurt to healing. - merely [míərli] : 「ただ単に、単に、ただ」
- healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
❖ "For miracles are ~ "「なぜなら、奇跡は、ただ単に、傷つけることからヒーリングすることへ、目的を変えてしまうからである」。つまり、幻想から実相へと、その目的を変えてしまうから、大きな意味を持つのである。また、幻想から実相を生み出すところが、奇跡なのである。もちろん、幻想から実相がそのまま生み出されるわけではない。幻想のもつ方向性を180度変化させることで、それを手段にして、実相を生み出すわけである。
This shift in purpose does "endanger" specialness, but only in the sense that all illusions are "threatened" by the truth. - endanger [indéindʒər] : 「〜を危険にさらす、危うくする」
- in the sense that : 「that 以下という意味で」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- threaten [θrétn] : 「〜を脅す、脅迫する」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "This shift in purpose ~ "「この、目的をシフトさせることは、特別性を『危険にさらす』」。"but only in the sense that ~ "「しかし、それは単に、すべての幻想が、真実によって『脅かされる』という意味であるだけだ」。特別性が危険にさらされることも、幻想が脅かされることも、どちらも歓迎されてしかるべきものである。
They will not stand before it. Yet what comfort has ever been in them, that you would keep the gift your Father asks from Him, and give it there instead? - stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
- before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして、面前で」
- comfort [kʌ́mfərt] : 「快適さ、快適性、心地よさ、癒やし、安らぎ」
- keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
- ask [ǽsk] : 「求める、要求をする、必要とする、〜を頼む、依頼する」
- instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、そうしないで」
❖ "They will not stand ~ "「幻想は、真実の前に立ち塞がることは出来ないだろう」。幻想は、真実に脅かされるだけでなく、それに抵抗出来ずに、真実によってかき消されるだろう。次の文は後半部分から解釈した方が分かりやすい。すなわち、"that you would keep ~ "ここの"that"は"so that"のことで、「〜するために、その結果」、「あなたは、父なる神が求める贈り物を神に与えることなく、代わりに、幻想に与えようと望んでいるのだが、そうするために、」前の部分に戻って、"Yet what comfort ~ "「しかし、いったいどんな居心地の良さが、ずっと幻想の中にあり続けるだろうか」。「父なる神が求める贈り物を神に与えることなく」とは、神が、神の子の天の王国への帰還を求めているのに対して、あなたはそれに応えることなく、という意味合い。つまり、神は神の子の実相世界への目覚めを期待しているのに、その期待に添わず、ということ。その神の意思に逆らって、いつまでも、特別性という幻想にあなたの関心のすべてを向けているのだが、そんな幻想の中に留まって、いったい居心地の良さは、いつまで続くと期待出来るだろうか。幻想の中の居心地の良さなど、長続きしない。すぐに、孤独と争いがあなたを襲うのだ。
Given to Him, the universe is yours. Offered to them, no gifts can be returned. - given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、宇宙、万物、森羅万象」
- offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す、返却する、返品する」
❖ "Given to Him ~ "「贈り物が、神に与えられたなら、」つまり、神の期待に添って、天の王国に回帰出来たなら、あるいは、実相世界に目覚めたなら、"the universe ~ "「世界は、あなたのものとなるのだ」。天の王国、実相世界は、神の子であるあなたのものとなる。"yours"「あなたのもの」とあるが、所有を意味しているわけではない。実相世界には、所有という概念はない。ここでは、あなたが、実相世界と一体になる、という意味。天の王国、つまり、神と一体となる、ということだ。"Offered to them ~ "「贈り物を幻想に差し出したなら、」"no gifts can ~ "「お返しは、何もない」。幻想に対して、あなたの関心のすべてを捧げても、何の見返りもない。
What you have given specialness has left you bankrupt and your treasure house barren and empty, with an open door inviting everything that would disturb your peace to enter and destroy.- left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
- leave [líːv] : 「ある状態のままにしておく」
- bankrupt [bǽŋkrʌpt] : 「破産した、破産者の、破綻した」
- treasure [tréʒər] : 「宝、富、宝物、財宝、貴重品、重要なもの」
- treasure house : 「宝庫、宝蔵、宝物庫、宝物殿」
- barren [bǽrən] : 「不毛の、不妊の、むなしい、退屈な」
- empty [émpti] : 「中身のない、空の、空いている、空っぽの」
- invite [inváit] : 「招待する、招く、案内する、招聘する、誘う」
- disturb [distə́ːrb] : 「〜を妨げる、邪魔をする、阻害する、乱す」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
- enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
- destroy [distrɔ́i] : 「〜を破壊する、崩壊させる」
❖ "What you have ~ "「あなたが、特別性に与えたものは、あなたを破綻した状態におき、あなたの宝庫をむなしく空っぽなものとしてしまったのだ」。"with an open door ~ "「ただし、扉は開けっぱなしにされ、あなたの平和をかき乱すものなら何でも、中に入って破壊出来るように、手招きしているのだ」。あなたは、特別性という幻想に特権を与えた。しかし、その見返りにあなたが得るものは、平和の破綻であり、分離と孤絶、むなしい孤独、攻撃と破壊、不毛な絶望と死である。