9. The world you perceive is a world of separation. Perhaps you are willing to accept even death to deny your Father.
- perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- Perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
- be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
- accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- even [íːvn] : 「〜さえも、〜でさえ、〜ですら」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "The world you perceive ~ "「あなたが知覚する世界は分離の世界である」。あなたの心が神から分離し、それまで一つであった心自体も散り散りに分裂し、その分裂した心が外部に投射して作ったのがこの幻想の世界。もともとは一元論の世界であったものが、神から分離することによって二元論の世界を幻想したわけで、愛と憎悪のような対極が存在する世界になった。まさに分裂、分離を象徴する世界である。"Perhaps you are willing ~" 「たぶんあなたは、あなたの父なる神を否定するために、死さえもすすんで受け入れようとするだろう」。分離を維持しようとするエゴはあなたに神を否定させる。そのエゴを師と仰ぐあなたは、神を否定するためなら死さえも受け入れるだろう。
Yet he would not have it so, and so it is not so. You still cannot will against him, and that is why you have no control over the world you made. - have : 「〜させる」
- will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
- against [əgénst] : 「〜に反対して、〜に対抗して」
- control over : 「〜のコントロール、〜の制御、〜の支配」
❖ "Yet he would not ~ "「しかし、神はそうさせなかった」。あなたは神を否定するためなら死んでもいいと思ったが、神はそうさせなかった。"and so it is ~ "「そうだから、そうなっていない」。神が意図しなかったので、あなたは神の否定のために死んだりしていない。 あなたが神を否定したいと思ったとしても、"You still cannot will ~ "「あなたはなお、神に対抗して意思することは出来ないのだ」。"and that is why you ~ "「そして、それが、あなたがあなたの作った世界をコントロールで出来ない理由である」。もし、あなたがこの世界を意のままにコントロールできたなら、あなたのエゴはまさに神のごとくにこの世界を支配できたと思うに違いない。しかし、神はそんなことをさせない。幻想の神は意味がないからだ。存在さえしない神の意味があろうはずはない。実相の神が意思しないものは実現しないのである。これは神の法である。
It is not a world of will because it is governed by the desire to be unlike God, and this desire is not will. - will [wíl] : 「意志、精神力」
- govern [gʌ́və(r)n] : 「支配する、統治する、統率する、決定する」
- desire [dizáiə(r)] : 「欲望、欲求、願望、念願」
- unlike [ʌnláik] : 「似ていない、異なっている」
❖ "It is not a world ~ "「(あなたが作った)この世界は意思の世界ではない」。"because it is governed ~ "「なぜなら、それは、神のようにはなりたくないと望む願望によって統治されているからだ」。神の様になりたくはないとは、神のように真、善、美、愛、喜び、平和、等々の一元論的存在になりたくないと思うこと。 もっとも、エゴは神のように絶対的な支配を夢見ているのだが。"and this desire ~ "「そして、この願望は意思ではない」。つまり、攻撃し、奪い、支配したいと願う願望は、神の世界における意思とは縁もゆかりもない。お分かりのように、対極概念を許すいかなる思想も、二元論であるがゆえに、不純なのである。そして、真の神が不純であるようないかなる思想も健全な形で存在し得ない。エゴの思考システムが抱く思想が偽物である所以である。
The world you made is therefore totally chaotic, governed by arbitrary and senseless "laws," and without meaning of any kind. - totally [tóut(ə)li] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
- chaotic [keiɑ́tik] : 「大混乱の、雑然とした、無秩序状態の、混沌とした」
- arbitrary [ɑ́ː(r)bətrèri] : 「無原則な、恣意的な、専制的な、独断的な」
- senseless [sénslis] : 「感覚のない、無意識の、無分別な、非常識な、無意味な」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意 」
- of any kind : 「いかなる種類」
❖ "The world you made is ~ "「したがって、あなたの作った世界は完全に混乱している」。 "governed by arbitrary ~ "分詞構文、先頭に"being"を補う、理由、「恣意的で無感覚な『法』によって統治され、したがって、いかなる種類の意味もないからである」。この世界の物理法則は渾沌としてはおらず、整然として、確たる意味もあるではないかと言われるかも知れない。しかし、物理法則とても、それは時空概念とプラスとマイナスのような対極概念の上に構築された法則である以上、それは明らかに二元論的な法則であり、二元論である以上は幻想の法則だと言わざるを得ない。したがって、純粋一元論の世界からこの世界の物理法則を見れば、それは不純な偽の法則なのである。したがって、実相の法に従う者は、時空概念と対極概念に縛られた物理法則を超越し、いわば、物理法則を破ることが出来るのである。奇跡が時として摩訶不思議な現象として出現するのはそういうことである。
For it is made out of what you do not want, projected from your mind because you are afraid of it.- make out : 「作り上げる、作成する」
- project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
- be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "For it is made out ~ "「なぜなら、あなたが作ったこの世界は、あなたが望まないものによって作り上げられたからである」。よって、渾沌としていて支離滅裂であり、意味がない。"projected from your ~ "ここも分詞構文、先頭に"being"を補う、理由、「(この世界は、)あなたが望まないものをあなたが恐れているがゆえに、あなたの心から(外部に)投射されたものであるからだ」。難解な部分であるが、非常に大切である。神と共にあった我々の心は、ある時ふと、自分が神なしで神のように生きていけないだろうか思った(little and mad idea)。その瞬間、思いは現実化し(心の思いにはそれほどの力がある)、我々の心は神から分離した。分離した心は、いつかは神の怒りに触れ、神によって罰せられるだろういう強い恐れを抱くようになった。深い罪の意識が生じたからである。罪の意識と強い恐れが極値に達したとき、我々の心はそれに耐え切れなくなり、自己を乖離する。つまり、罪と恐れを忘れるために別人(エゴ)を仕立て上げるのである。と同時に、心に抱え込んでいる罪と恐れを外部に投射して、そこに幻想の別世界を作り上げ、現実から逃避するのである。こうして我々の心はこの世界を作ったのだ。蛇足になるが、我々の心に物質的世界を作れる力などない、せいぜい夢を見る程度ではないか、と思う人もいるだろう。我々の、時空に制限された3次元の心は、確かに幻想を抱くとしても夜見る夢程度のちゃちな構築性しかない。しかし、この世界を作った心は3次元の心ではない。神の世界に住んでいた、いわば4次元の、時空を超越した心なのである。存在レベルの一段高い心が、レベルの一段低いこの世界を幻想しているのである。ACIMが警告しているように、レベル・コンフュージョンを起こしてはいけない。ACIMが実相の心を語るときは、我々がもっている小さな心ではなく、レベルの異なる大きな心、永遠無限の心、実相的心、神の心、そういった言葉で考える必要がある。
Yet this world is only in the mind of its maker, along with his real salvation. - along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜を伴って」
- salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "Yet this world is only ~ "「しかし、この世界はそれを作った心の中だけに存在する」。 "along with his ~ "「そして、同時に、この世界を作ってしまった者の真の救済も、心の中にあるのだ」。心の外部に投射してこの世界を作ったといっても、実相の心は内と外の対極概念をもっていないので、つまり、すべてを包含している心であるから、投射した世界もその心の内にあると言っても間違いではないのだ。つまり、心が単に夢を見ているというのはそのことである。くどいようだがもう少し説明しよう。3次元のこの世界の見方からすれば、心はその外側に罪や恐れを投射したように見えるが、空間という概念をもたない4次元的実相の世界から見れば、外側というものが存在しないのである。すべては心の中で起き、心から逃れることはできない。あたかも、觔斗雲(きんとうん)に乗って観音さんからどんどん離れて行った孫悟空が、観音さんの手のひらから一歩も外に出ることが出来なかったという西遊記の逸話を彷彿とさせる。言わば、心がすべての空間なのである。
Do not believe it is outside of yourself, for only by recognizing where it is will you gain control over it. - outside [áutsáid] : 「外側、外部、外観」
- be outside of : 「〜の外にいる、〜を離れている」
- recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
- gain [géin] : 「得る、獲得する」
- control [kəntróul] : 「支配、コントロール、統制、管理、制御」
❖ "Do not believe ~ "「世界があなた自身の外にあるなどと信じてはいけない」。"for only by recognizing ~ "「なぜなら、世界がどこにあるか認識することによってのみ、あなたは世界をコントロール出来るのであるから」。イエスが、信じれば山をも動かせると言ったのはこのことだ。世界が心の中にあるのなら、心は世界を動かせる。世界が心の外側に独立して存在していると信じているうちは、世界をコントロールすることはできない。世界の変化流動に押し流されて、肉体の朽ちるのを待つだけだ。
For you do have control over your mind, since the mind is the mechanism of decision.- mechanism [mékənìzm] : 「構造、装置、作用、メカニズム、機構、仕組み」
- decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議」
❖ "For you do have ~ "「なぜなら、あなたはあなたの心をコントロールするのであるからだ」。"since the mind is ~ "「と言うのも、心は決定する機関であるから」。世界は心の中にあるから、あなたは心をコントロールすることで、間接的に世界をコントロールできるというわけだ。その心は物事を決定する機能をもっている。したがって、世界を決定することも可能であり、事実、世界を決定しているのはあなたの心なのである。このことのもつ意味は重要である。あなたは世界に支配された虫けらではない。あなたは世界の奴隷ではないのだ。真実は、まったくその逆であること、それを認識するまでは、あなたの奴隷状態は続くであろう。
10. If you will recognize that all the attack you perceive is in your own mind and nowhere else, you will at last have placed its source, and where it begins it must end. - nowhere [nóu(h)wèə(r)] : 「どこにも〜ない」
- else [éls] : 「ほかに」
- at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと、ようやく」
- place [pléis] : 「〜を認識する、判別する、思い出す」
- source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
❖ "If you will recognize ~ "「もしあなたがthat以下を認識するなら、」"that all the attack ~ "「あなたが知覚する攻撃はあなた自身の心の中にあるのであって、その他の場所にあるのではない」と認識するなら、"you will at last have ~ "「あなたはついに攻撃の源を認識したことになるだろう」。"and where it begins ~ "「そして、攻撃が始まるところで、それは終えなければならない」。攻撃の源とはあなたの心にあり、その心の中で攻撃の芽を摘み取ってしまわなければならない。つまり、攻撃を攻撃で反応してはいけないのである。それはエゴの思うつぼである。
For in this same place also lies salvation. The altar of God where Christ abideth is there. - lie [lái] : 「ある、横たわる、寝る、横たわっている」
- salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
- altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
- abide [əbáid] : 「居住する、とどまる」
- -eth : 「三人称単数現在形の動詞の語尾につける」
❖ "For in this same place ~ "「なぜならば、同じ場所に救いもあるからである」。攻撃性が生まれる同じ場所に、救済もある。つまり、攻撃性の芽を摘み取ることが救済につながる。"The altar of God where Christ ~ "「キリストが住む神の祭壇はそこにある」。ACIMでいう"the altar"「祭壇」は非常に難しく、曖昧な概念なのだが、あなたの心の最も神聖な部分と考えておいていいのではないだろうか。あなたの心が分裂し、対極概念が生まれたことにより、エゴという不純物が心に紛れ込んできた。あなたは愛することも憎むことも、人を助けることも攻撃することもする。その中にあって、愛、喜び、平和、美、真実、慈しみといった実相の存在が、心の最も神聖な部分を飾る。その神聖な場所を象徴的に祭壇と呼んでいると了解しておこう。そこは神に最も近い部分であり、したがって、キリストが住む場所でもある。蛇足になるが、ACIMの文章を朗読していくと、"altar"という言葉が出てくる箇所はひときわ文章が美しくなるように感じるのは私一人だろうか?
You have defiled the altar, but not the world. Yet Christ has placed the Atonement on the altar for you. - defile [difáil] : 「〜の美観を損なう、汚す、不潔にする、冒とくする」
- Atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
❖ しかし、"You have defiled ~ "「あなたは祭壇を汚してしまったが、(実相の)世界を汚したわけではない」。心が分裂し、エゴという不純物を心の中に作ってしまい、神聖な祭壇を汚してしまったが、神の住む実相世界を汚したわけではない。"Yet Christ has placed ~ "「しかし、キリストはあなたのために、祭壇に贖罪を捧げたのである」。ここも難解な部分である。ここを取り間違えばACIMの真意が伝わってこなくなるだろう。心が神から分離し、罪と恐れを抱いた心は自己を乖離し、分裂する。エゴを作り、エゴは外部に対極概念の世界を投射する。かくして、心に不純物が入り込み、神聖な祭壇は汚された。しかし、とACIMは言う、それは心が深い眠りに陥って見ている夢に過ぎない。心は一歩たりとも神から離れなかったし、心は分裂を起こしもしなかった。エゴは幻覚であり、投射して作ったこの世界も実在などしていない。あなたは夢を見ているに過ぎないのだ。あなたは神を裏切ったのでもなければ、神から罰せらることもない。あなたの心はまったき無辜のままである。その無辜である心がキリストなのであって、あなたはキリストそのものである(神人一体)。そのように叡智をもって悟ることが贖罪であり、あなた自身のキリスト性があなたの贖罪を保証してくれるのである。あなたの心の最も神聖な部分、祭壇において、あなたのキリストがあなたの無辜を宣言する。これがキリストによる救済なのである。
Bring your perceptions of the world to this altar, for it is the altar to truth. - Bring [bríŋ] : 「〜を持って行く、〜を連れて行く」
- perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
❖ "Bring your perceptions ~ "「あなたのこの世界に対する知覚を、その祭壇に持って行きなさい」。"for it is the altar ~ "「なぜなら、祭壇は、真実の祭壇なのだから」。あなたがこの世界で知覚すること、たとえば愛も憎しみも、あなたの心の一番神聖な部分である祭壇に捧げなさい。祭壇は真実の祭壇であるから、真実の愛は祭壇を飾り、偽りの憎しみは幻想であるからその姿を消してしまうだろう。
There you will see your vision changed, and there you will learn to see truly. - vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、画像、映像」
- change [t∫éin(d)ʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
- learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、習う、〜を知る、分かる、悟る」
- truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に、忠実に、偽りなく」
❖ "There you will see ~ "「その場所で、あなたはあなたのヴィジョンが変化したのを目撃するだろう」。"and there you will ~ "「そして、その場所で、あなたは本当の見方を学ぶであろう」。あなたが玉石混交の知覚を祭壇に捧げれば、真実の祭壇は真実を残し、偽りを消す。あなたはその時初めて、真実のヴィジョンを目の当たりにするのである。それは対極概念がはがれ落ちた一元論のヴィジョンである。
From this place, where God and his Son dwell in peace and where you are welcome, you will look out in peace and behold the world truly. - dwell [dwél] : 「住む、居住する、存在する」
- in peace : 「平和に、平安に、安らかに、安心して、静かに」
- welcome [wélkəm] : 「温かく迎え入れる、喜んで受け入れる、歓迎する」
- look out : 「外を見る、見晴らす」
- behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
❖ "From this place, where ~ "「神と神の子が平和に暮らし、また、あなたが歓迎されるこの場所から、」"you will look out in peace ~ "「あなたは心穏やかに外に目を向け、正しく世界を見ることになろう」。偽りがスクリーニングされ、真実だけが残った祭壇からあなたは、生まれ変わったヴィジョンで外の世界を見るのである。一体あなたの目にこの世界はどう映るであろうか?
Yet to find the place, you must relinquish your investment in the world as you project it, allowing the Holy Spirit to extend the real world to you from the altar of God.- relinquish [rilíŋkwi∫] : 「放棄する、手放す、あきらめる、断念する」
- investment [invés(t)mənt] : 「投資、投下資本、出資」
- project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
- allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
- extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
❖ "Yet to find the place, you ~ "「しかし、その場所を見つけるには、あなたは、あなたが投射したままの世界への投資を放棄しなくてはならない」。仏教的な言い方をすれば、この世への執着、煩悩を断ち切ること、となるか。 "allowing the Holy Spirit ~ "分詞構文、単純接続、「そして、ホーリー・スピリットが神の祭壇からあなたへと、実相の世界を拡張することを許さなくてはならない」。幻想のこの世界を放棄することで、実相の世界があなたの眼前に広がっていく。それは、ホーリー・スピリットが実相の世界を、神の祭壇からあなたの目の前に拡張してくれるからである。つまり、ホーリー・スピリットの愛によって、真実だけが残された祭壇という実相があなたの目の前に現実として広がっていくのである。