●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-12.VIII.5:1 ~ T-12.VIII.6:11

5. You have but to ask for this memory, and you will remember.

  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • have to : 「〜する必要がある、〜すべきである」
  • memory [mém(ə)ri] : 「記憶、思い出、記憶力」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
❖ "You have but to ~ "「あなたはこの記憶を求めなくてはならない」。"and you will ~ "「そうすれば、あなたは思い出すであろう」。あなたが忘れ去った心の片隅に、神の記憶は常に輝いているが、あなたがそれを求めなくては神の記憶は蘇らない。



Yet the memory of God cannot shine in a mind that has obliterated it and wants to keep it so.
  • obliterate [əblítərèit] : 「〜を消し去る、〜を取り除く、〜の痕跡を消す」
  • keep [kíːp] : 「 〜の状態にしておく、〜の状態を保つ」
❖ "Yet the memory of ~ "「しかし、神の記憶を消し去り、消えたままにしておきたいと思う心には、神の記憶は輝くことは出来ない」。



For the memory of God can dawn only in a mind that chooses to remember, and that has relinquished the insane desire to control reality.
  • dawn [dɔ́ːn] : 「明ける、明るくなる、分かり始める、見え出す」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • relinquish [rilíŋkwi∫] : 「放棄する、手放す、諦める、断念する」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • desire [dizáiə(r)] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • control [kəntróul] : 「支配する、抑える、制御する」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "For the memory of ~ "「なぜなら、神の記憶を思い出すことを選択し、現実をコントロールしたいという狂った欲望を捨て去った心にのみ、神の記憶は見え出すことが可能なのだ」。自分の欲望のままに現実をコントロールしたいと望む心はエゴの支配力を信奉する心である。脅しと攻撃による現実のコントロールはエゴの理想であり、その狂ったエゴの思考システムを捨て去ることこそ、神を思い出す必須条件となる。仏教的な言い方をすれば、煩悩を断ち切ることが肝要か。



You who cannot even control yourself should hardly aspire to control the universe.
  • hardly [hɑ́ː(r)dli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
  • aspire [əspáiə(r)] : 「熱望する、切望する、熱願する、目指す、志向する」
  • universe [júːnəvə̀ː(r)s] : 「全世界、全人類、宇宙、万物」
❖ "You who cannot even ~ "「自分自身さえコントロール出来ないあなたは、全世界をコントロールしたいなどと決して望むべきではない」。



But look upon what you have made of it, and rejoice that it is not so.
  • look upon : 「〜を見る、観察する」
  • make A of B : 「BをAの状態にする、BからAをものにする」
  • rejoice [ridʒɔ́is] : 「うれしがる、喜ぶ、祝う」
❖ "But look upon ~ "「しかし、世界をコントロールしたいという狂った願望からあなたが何をものにしたがっていたか観察しなさい」。"and rejoice that ~ "「そして、世界がそうなっていないことを喜びなさい」。もしエゴの思考システムに従って世界をコントロール出来ていたなら、この世界はどんなに荒(すさ)んだものとなっていたか、よく考えてみて、そうなっていないことに安心し、喜びなさい。



6. Son of God, be not content with nothing! What is not real cannot be seen and has no value.
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • be content with : 「〜に満足している」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
❖ "Son of God, be ~ "「神の子よ、無なるものに満足してはいけない」。"What is not real ~ "「実在しないものは見られることも不可能であり、何の価値もないのだ」。この世界は幻想であり、その意味では無である(色即是空)。そんな無である世界に満足してはいけない。しかし、あなたは、現にこの目でちゃんとこの世界を見ていると主張するだろう(空即是色)が、それは実在しないものの幻を見ているに過ぎない。実在しない幻に価値などないのだ。



God could not offer his Son what has no value, nor could his Son receive it.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
❖ "God could not ~ "「神は、価値なきものを神の子に差し出したり出来ない」。"nor could his ~ "「ましてや、神の子は、価値なきものを受け取ることは出来ないのだ」。だから、幻想の世界を捨てて、実相の世界に回帰すればいいのだ。仏教的な言い方をすれば、彼岸に渡るということ。彼岸とは神仏のいる世界である。



You were redeemed the instant you thought you had deserted him.
  • redeem [ridíːm] : 「〜を罪から救う、〜の罪を贖う、〜を救い出す」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、まさにその時」
  • the instant :「〜するとすぐ、〜した瞬間」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • desert [dızə́ːrt] : 「〜を見捨てる、〜との縁を絶つ 」
❖ "You were redeemed ~ "「あなたは〜した瞬間、救われた」。"the instant you thought ~ "「あなたが(主体となって)、神を捨てたと思った瞬間、」あなたは救われた。さて、これはどう解釈したらいいものか? 浅薄な解釈をするととんでもないことになる。すなわち、神を捨てることが救いになる、という解釈になってしまう。そうではない。神とあなたは分離した状態にあるが、その分離を作ったのは神ではなく、あなたの方なのだと知ることが救いにつながる、と解釈すべきではないだろうか。神はあなたを見捨ててはいないのである。あなたにホーリー・スピリットを与え、神の記憶をちゃんとあなたの心の中に残しておいてくれた。神は今もあなたを愛しており、絶対にあなたを諦めてもいないし、見捨ててもいない。あなたが、一方的に神を捨て、神から分離したに過ぎないのだ。そう思うことが、つまり、あなたは神を捨てたが神はあなたを捨ててはいないと受け入れることが、あなたの救いである。聖書に描かれた放蕩息子の話を思い出すべきだろう。彼は父を捨て、家を捨てた。しかし、彼が苦難の末に、帰るべき場所は父のいる家だと悟る。家に着いた彼は、父が自分を憎まず、愛し続け、帰還を祝ってくれることを知る。父は彼を見捨ててはいなかった。彼は救われるのである。少々長くなるが放蕩息子の話を載せておく。



[Luke 15:11~15:24 from King James Bible]
And he said, A certain man had two sons: And the younger of them said to his father, Father, give me the portion of goods that falleth to me. And he divided unto them his living. And not many days after the younger son gathered all together, and took his journey into a far country, and there wasted his substance with riotous living. And when he had spent all, there arose a mighty famine in that land; and he began to be in want. And he went and joined himself to a citizen of that country; and he sent him into his fields to feed swine. And he would fain have filled his belly with the husks that the swine did eat: and no man gave unto him. And when he came to himself, he said, How many hired servants of my father's have bread enough and to spare, and I perish with hunger! I will arise and go to my father, and will say unto him, Father, I have sinned against heaven, and before thee, And am no more worthy to be called thy son: make me as one of thy hired servants. And he arose, and came to his father. But when he was yet a great way off, his father saw him, and had compassion, and ran, and fell on his neck, and kissed him. And the son said unto him, Father, I have sinned against heaven, and in thy sight, and am no more worthy to be called thy son. But the father said to his servants, Bring forth the best robe, and put it on him; and put a ring on his hand, and shoes on his feet: And bring hither the fatted calf, and kill it; and let us eat, and be merry: For this my son was dead, and is alive again; he was lost, and is found. And they began to be merry.

また、イエスは言われた。「ある人に息子が二人いた。弟の方が父親に、『お父さん、わたしが頂くことになっている財産の分け前をください』と言った。それで、父親は財産を二人に分けてやった。何日もたたないうちに、下の息子は全部を金に換えて、遠い国に旅立ち、そこで放蕩の限りを尽くして、財産を無駄遣いしてしまった。何もかも使い果たしたとき、その地方にひどい飢饉が起こって、彼は食べるにも困り始めた。それで、その地方に住むある人のところに身を寄せたところ、その人は彼を畑にやって豚の世話をさせた。彼は豚の食べるいなご豆を食べてでも腹を満たしたかったが、食べ物をくれる人はだれもいなかった。そこで、彼は我に返って言った。『父のところでは、あんなに大勢の雇い人に、有り余るほどパンがあるのに、わたしはここで飢え死にしそうだ。ここをたち、父のところに行って言おう。「お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません。雇い人の一人にしてください」と。』そして、彼はそこをたち、父親のもとに行った。ところが、まだ遠く離れていたのに、父親は息子を見つけて、憐れに思い、走り寄って首を抱き、接吻した。息子は言った。『お父さん、わたしは天に対しても、またお父さんに対しても罪を犯しました。もう息子と呼ばれる資格はありません。』しかし、父親は僕たちに言った。『急いでいちばん良い服を持って来て、この子に着せ、手に指輪をはめてやり、足に履物を履かせなさい。それから、肥えた子牛を連れて来て屠りなさい。食べて祝おう。この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったからだ。』そして、祝宴を始めた。(新共同訳)



Everything you made has never been, and is invisible because the Holy Spirit does not see it. Yet what he does see is yours to behold, and through his vision your perception is healed.
  • invisible [invízəbl] : 「目に見えない、不可視の、目につかない、隠れた」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、洞察力、画像、映像」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
❖ "Everything you made ~ "「あなたが作ったものはすべて、存在したことなどないし、目にも見えない」。あなたが偽創造した幻想の世界は存在したためしはないし、真実の目には、それは幻としか映らない。"because the Holy Spirit ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはそれを見ることはないのだから」。もちろん、ホーリー・スピリットの目にはそれが幻として、幻覚として見えるが、実体のある存在としては見えない。"Yet what he does see ~ "「しかし、ホーリー・スピリットの見るものは、あなたが見るべきものである」。ホーリー・スピリットが見ているものは実相の世界の実体であり、あなたもそれを見なくてはならない。なぜなら、それはあなたのものだからだ。"and through his vision ~ "「そして、ホーリー・スピリットのヴィジョンを通して、あなたの知覚はヒールされるのである」。ホーリー・スピリットの、正しい視力でものを見る力を借りて、幻覚を実体だと知覚するようなあなたの知覚の欠陥を直していくわけだ。



You have made invisible the only truth that this world holds. Valuing nothing, you have sought nothing. By making nothing real to you, you have seen it.
  • Value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、重視する、大事にする、尊重する」
  • sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
❖ "You have made invisible ~ "「あなたは、この世界が保持する真実だけを目に見えないものにしてしまった」。この幻想の世界にも、愛や慈しみや喜びや平和、等々の実相世界的真実が存在するが、あなたはそれらの対極概念を作ることで目に見えないものとした。つまり、光の存在を、闇を作ることで消したわけだ。"Valuing nothing, you ~ "分詞構文、付帯状況、「無なるものに価値を認め、あなたは無なるものを探し求めた」。物欲、金銭欲、肉欲、所有欲、等々、この幻想世界にあるように見える実在しないもの、つまり、無にあなたは価値を認め、それらを追い求めてきた。"By making nothing ~ "「無であるものをあなたにとって現実的なものとし、あなたはそれを追い求めたのである」。



But it is not there. And Christ is invisible to you because of what you have made visible to yourself.
  • invisible [invízəbl] : 「目に見えない、不可視の、目につかない、隠れた」
❖ 現実化したとしても、"But it is not ~ "「それはそこにない」。"And Christ is invisible ~ "「あなたにとって目に見えるようにしたもののせいで、キリストがあなたには見えなくなった」。目の前に広がる幻想の物質に目を奪われて、あなたの真に正しい心、すなわち、キリストに、あなたは気付きもしない。
 
 
 

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