●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-13.Intro.1:1 ~ T-13.Intro.2:10

 

Text - Chapter 13
 
 
The Guiltless World

罪なき世界
 
Introduction

 
 
1. If you did not feel guilty you could not attack, for condemnation is the root of attack.
  • guilty [gílti] : 「罪の意識がある、後ろめたい、やましい」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • condemnation [kɑ̀ndemnéi∫n] : 「激しい非難、糾弾」
  • root [rúːt] : 「根、根元、根底、本質、基礎」
❖ "If you did not feel ~ "仮定法過去、「もしあなたが、罪の意識を感じなかったなら、あなたは攻撃などできないであろうに」。しかし、事実はその反対。"for condemnation ~ "「なぜなら、激しい非難こそが、攻撃の根っこになっているからだ」。あなたの無意識の奥底に、神を裏切って神から分離したという罪の意識があり、自分自身を無意識的に激しく非難している。その非難から逃避するために罪の意識を他人に投射するのである。オレが罪深いのは、実はアイツのせいだ。アイツこそ根本的に悪い。そして、そのアイツを、あなたは攻撃するのである。



It is the judgment of one mind by another as unworthy of love and deserving of punishment. But herein lies the split.
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • unworthy [ʌnwə́ː(r)ði] : 「 〜に値しない、値打ちのない」
  • deserve [dizə́ː(r)v]b : 「ふさわしい、値する」
  • deserving of : 「〜を受けるべき、〜に値する」
  • punishment [pʌ́ni∫mənt] : 「罰、刑罰、処罰、懲罰」
  • herein [hì(ə)rín] : 「ここに、この中に、この点で」
  • lie [lái] : 「ある、横たわる、寝る」
  • split [splít] : 「割ること、分割、分裂」
❖ "It is the judgment of ~ "「その攻撃は、一つの心に対する他の心の判断である」。どう判断したかというと、"as unworthy of love ~ "「愛に値せず、罰にこそ値するとした」判断。"But herein lies ~ "「しかし、ここにこそ、心の分裂がある」。もっとも、心はすでに分裂しているから、その分裂した溝が拡大し、深まるという意味合いだろう。



For the mind that judges perceives itself as separate from the mind being judged, believing that by punishing another, it will escape punishment.
  • judge [judge] : 「〜を判断する、〜を裁く、裁判する」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • separate [sépərèit] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • punish [pʌ́ni∫] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
  • escape [iskéip] : 「〜を免れる、はぐらかす」
❖ "For the mind that ~ "「なぜなら、判断を下した心はそれ自身を、判断された心から分離していると知覚するからである」。"believing that by ~ "分詞構文、単純接続、「そして、他者を罰することで、(自分の)罰から逃れ得ると信じているのである」。これが投射の心理学である。



All this is but the delusional attempt of the mind to deny itself, and escape the penalty of denial.
  • delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • penalty [pén(ə)lti] : 「刑罰、処罰、罰金、罰」
❖ "All this is but ~ "「このすべては、心が自分自身を否定し、否定したことの罰を逃れようとする妄想的な心の試みである」。



It is not an attempt to relinquish denial, but to hold on to it.
  • relinquish [rilíŋkwi∫] : 「放棄する、手放す、あきらめる、断念する」
  • denial [dinái(ə)l] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
  • hold on to : 「〜をつかんで離さない」
❖ "It is not an attempt ~ "「それは否定を放棄するどころか、つかんで離さない試みである」。



For it is guilt that has obscured the Father to you, and it is guilt that has driven you insane.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「〜を暗くする、見えなくする、〜を曖昧にする」
  • driven [drívn] : 「drive の過去分詞」
  • drive [dráiv] : 「駆り立てる、追いたてる、追いやる」
  • drive A B [SVOC] : 「AをBの状態に駆り立てる」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
❖ "For it is guilt that has ~ "ここは"it is ~ that "の強調構文、「なぜなら、あなたにとって父なる神を曖昧にしたのは、罪(の意識)である」。"and it is guilt that has ~ "「そして、あなたを狂気へ駆り立てているものも、(あなたの)罪の意識である」。あなたの心は神を裏切り、神から分離した。その罪の意識と、いずれ神の報復にあうだろうという恐れを抱いた。罪と罰の重みに耐え切れなくなったあなたの心は、ホーリー・スピリットととの自己同一性を捨て(神を曖昧にし)、自己を乖離してエゴという別人格を仕立て上げ、そこに自己同一性を求めた。しかし、そのエゴは、他者を攻撃し、心の分離を加速するという狂気に満ちた思考システムを持っていたのだ。したがって、あなたを狂気へと駆り立てているものは、元を正せば、あなたの罪の意識だということになるのである。もっとも、あなたは、自分は罪の意識など持ち合わせていないと主張するかも知れない。しかし、この罪の意識は、あなたの深層の意識、無意識の底の底に存在する意識なのである。唯識思想の用語を使えば、末那識(まなしき)、阿頼耶識(あらやしき)の領域の意識となるか。



2. The acceptance of guilt into the mind of God's Son was the beginning of the separation, as the acceptance of the Atonement is its end.
  • acceptance [əksépt(ə)ns] : 「受け入れること、受け入れ、容認、承諾、承認」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • Atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
❖ "The acceptance of guilt ~ "「神の子の心の中の罪を認めることは、分離の始まりであった」。"as the acceptance of ~ "「それは、ちょうど、贖罪の受け入れが分離の終わりであることと対をなす」。自己を乖離してエゴという別人格を仕立て上げた段階で、あなたの心は分裂した。ホーリー・スピリットの支配する正しき心と、エゴの支配する悪しき心である。ここに二元性が生まれ、神の一元論世界から、二元論世界へ堕落するのである。さらに、エゴは罪悪感を外部に投射し、分離を象徴する幻想の世界を偽創造した。つまり、散り散りに分裂した無数の心(らしきもの)をでっち上げたのである。それが、今我々が知覚する我々の心である。さて、元を正せば、第一原因は我々が罪の意識を持ったことである。神を裏切り、神から分離したことである。しかし、事実は、我々の心は単に深い眠りに陥って、神からの分離を夢見ているに過ぎないのである。神への裏切りはなかった。したがって、我々は罪を背負ってはいない。眠っているだけなのだから。我々は完全に無辜(むこ)であり、神は今なお至上の愛をもって我々を見守っていてくれる。その事実を、叡智を持って受け入れるのが、ACIMの言う贖罪である。そして、贖罪を完了したとき、我々の分離、分裂も終止符を打つこととなる。



The world you see is the delusional system of those made mad by guilt. Look carefully at this world, and you will realize that this is so.
  • delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
  • mad [mǽd] : 「気が狂って、怒って、頭にきて、発狂して」
  • carefully [kéə(r)f(ə)li] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
❖ "The world you see is ~ "「あなたが見ている世界は、罪の意識で気が変になった者たちによる妄想のシステムである」。"those made mad by guilt"は"those who are made mad by guilt"のこと。"Look carefully at ~ "「注意深くこの世界を見なさい」。"and you will realize ~ "「そうすれば、あなたは、その通りだと分かるであろう」。



For this world is the symbol of punishment, and all the laws that seem to govern it are the laws of death.
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
  • punishment [pʌ́ni∫mənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜のように思える」
  • govern [gʌ́və(r)n] : 「支配する、統治する、統率する」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、死者、破滅、終わり、終焉」
❖ "For this world is ~ "「この世界は罰の象徴である」。"and all the laws that ~ "「この世界を統率するかに見える法のすべては、死の法である」。非常に厳しい、容赦のない言い方をしている。狂った世界を秩序立てようとする法は、元来、死の法である。



Children are born into it through pain and in pain. Their growth is attended by suffering, and they learn of sorrow and separation and death.
  • Children [t∫íldr(ə)n] : 「child の複数形」
  • be born [bɔ́ː(r)n] : 「生まれる、誕生する、産声を上げる」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り、苦労」
  • growth [gróuθ] : 「成長、発育、生長」
  • attend [əténd] : 「〜に伴う」
  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • learn of : 「〜を知る」
  • sorrow [sɑ́rou] : 「悲しみ、悲哀、後悔」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
❖ "Children are born into ~ "「子供たちは、痛みを通して、痛みの中へと、この世界に生まれ出る」。"Their growth is attended ~ "「彼らの成長には苦悩が伴い、」"and they learn of ~ "「彼らは悲しみと離別と死を知るのだ」。ここも、非常に厳しい言い方をしている。ACIMにおいては珍しいことだ。厳しい言い方は続く。



Their minds seem to be trapped in their brain, and its powers to decline if their bodies are hurt. They seem to love, yet they desert and are deserted.
  • trap [trǽp] : 「捕まえる、捕捉する、策略にかける」
  • brain [bréin] : 「脳、大脳、頭脳、知力」
  • decline [dikláin] : 「下降する、衰える、衰退する」
  • hurt [hə́ː(r)t] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • desert [dizə́ːrt] : 「〜を見捨てる、〜との縁を絶つ」
❖ "Their minds seem to ~ "「子供たちの心は彼らの脳の中に捕らわれたかに見え、」"and its powers ~ "「その脳のパワーは、体が傷つけられると衰えて行くように見える」。ここの"its powers to decline "は"its powers seem to decline "のこと。歳をとって体が衰えて行くにしたがい、脳もぼけていく。"They seem to love ~ "「彼らは愛するかに見えるが、見捨てることもし、見捨てられることもある」。この辺から"seem to ~ "を使い出したので、厳しい表現を幾分和らげたように感じる。



They appear to lose what they love, perhaps the most insane belief of all. And their bodies wither and gasp and are laid in the ground, and are no more.
  • appear [əpíə(r)] : 「〜のように見える、〜と思われる、〜らしい」
  • lose [lúːz] : 「 〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • wither [wíðə(r)] : 「しぼむ、しおれる、枯れる、弱る、衰える」
  • gasp [gǽsp] : 「求めてあえぐ、息を切らす、恐怖であえぐ、息が止まる」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • no more : 「それ以上〜ない、もはや〜しない」
❖ "They appear to lose ~ "「彼らは、彼らが愛しているものを失ったと思うかも知れないが、」"perhaps the most ~ "「それこそ、たぶん、すべての中で最も狂った信念である」。あなたが他者を愛し、しかし、見捨てられると、愛するものを失ったと嘆くだろう。しかし、その愛は憎悪という対極概念の存在する幻想世界の愛であって、実相世界の本物の愛ではない。したがって、あなたが失った愛を愛だと信じ込むことは、あるいは、愛を失ったと信じ込むことは、最も馬鹿げた、狂気の信念である。"And their bodies wither and ~ "「そして、彼らの肉体は衰え、あえぎ、地に横たえられる」。"and are no ~ "「(その先はもはや、)衰えることもあえぐことも出来なくなってしまう」。つまり、肉体は死ぬ。ACIMにしては、非常に冷たい表現である。逆に言えば、イエスがそれほどまでに心を痛めている証拠であろうか。



Not one of them but has thought that God is cruel.
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • cruel [krúːəl] : 「残酷な、むごい、残虐な、無慈悲な、非情な」
❖ "Not one of them ~ "「誰一人として、神は残酷だと思わぬ者はいない」。この辺の世界観は、生、病、老、死の四苦を見て取った釈迦の観察に近いように思う。釈迦もイエスも、その絶望的観察からどのようにして悟りの境地に至ったか、凡夫の我々であるが、思いを巡らしてみるのも意味があるだろう。
 
 
 

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