●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-12.V.4:1 ~ T-12.V.5:7

4. The Holy Spirit's Love is your strength, for yours is divided and therefore not real.

  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • divide [diváid] : 「〜を分裂させる、〜を分ける、分割する」
❖ "The Holy Spirit's Love ~ "「ホーリー・スピリットの愛は、あなたの強さ(の源)である」。"for yours is divided ~ "「なぜなら、あなたの愛は分裂しており、したがって、実在ではないからだ」。ホーリー・スピリットの愛は実相世界の愛であり、実相世界は一元論の世界であるから、それは対極概念を持たない純粋な愛である。しかし、この幻想の世界に住むあなたの愛は、憎悪という対極概念をもち(分裂しており)、愛に嫉妬が混じったり、愛に憎しみが紛れ込んだりしている。あなたの愛は変化流動し、容易に滅び得るものである。永遠不変の愛は実相の愛であるが、変化流動し滅びる愛は幻想の愛である。しかし、真にパワーをもち、強さを発揮するのはホーリー・スピリットの実相の愛である。幸いなことに、あなたの心にはホーリー・スピリットが住んでいるので、あなたは心にホーリー・スピリットの強さを持っているのだ。ホーリー・スピリットの愛はあなたの強さである。



You cannot trust your own love when you attack it. You cannot learn of perfect love with a split mind, because a split mind has made itself a poor learner.
  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、習う、〜を知る、分かる、悟る」
  • learn of : 「〜を知る」
  • perfect [pə́ː(r)fikt ] : 「完ぺきな、完全な」
  • split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した、分けた」
  • poor [púə(r)] : 「貧しい、不幸な、哀れな、質が悪い」
❖ "You cannot trust ~ "「あなたがホーリー・スピリットの愛を攻撃する時、あなたはあなた自身の愛を信頼することはできない」。ここの"it"を「ホーリー・スピリット愛」ととらえて訳してみたが、「あなた自身の愛」と考えても意味は通じる、が・・・。"You cannot learn of ~ "「分裂した心をもっていては、あなたは完璧な愛を知ることは出来ない」。したがって、ホーリー・スピリットの完璧な愛をあなたは知らない。知らないから攻撃などということをしでかしてしまう。"because a split mind has ~ "「なぜなら、分裂した心は、自身を貧しい学び手に変えてしまったからだ」。神からの分離後、あなたは罪と罰の恐れから自己を乖離し、別人格を形成した。ホーリー・スピリットの住む心の部分とエゴの住む部分とに分裂させた。エゴはホーリー・スピリットの完璧な愛を知ることは出来ず、逆にその愛を攻撃する。エゴはあなたを唆(そそのか)し、ホーリー・スピリットの声を聞ことを妨げる。かくして、あなたの分裂した心はホーリー・スピリットから学ぶことを拒んできたのである。まさに、貧しい学び手ではないか。



You tried to make the separation eternal, because you wanted to retain the characteristics of creation, but with your own content.
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
  • retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する、維持する」
  • characteristic [kæ̀rəktərístik] : 「特徴、特性、特質、特色」
  • creation [kriéi∫n] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • content [kɑ́ntent] : 「内容、中身、満足」
❖ "You tried to make ~ "「あなたは分離を永遠に保とうと試みている」。あなたと言うより、あなたの中にいるエゴが分離を保とうとしている。なぜなら、分離あってのエゴであり、分離が解消した時、エゴは消滅するからである。"because you wanted to retain ~ "「なぜなら、あなたは(偽)創造の特徴を保持したいと思ったからである」。"but with your own ~ "「あなた自身の内容を伴った形で」保持したいと思ったからである。ここは非常に解釈が難しく、したがって訳し難い部分である。あなたの心の中のエゴはネガティヴな観念をすべて外部に投射して、この幻想世界を作った。あなたの創造が誤創造(miss-creation)、あるいは偽創造と呼ばれる所以(ゆえん)である。この幻想世界は二元論の世界である。愛と憎悪、善と悪、光と闇、等々、2つの対極が引き合ったり反発したりして流動変化する世界である。そういう偽創造の特徴、二元性をあなた(エゴ)は保持したいと望んでいる。なぜなら、対極とは分離の象徴であり、対極を保持することは分離を保持すること。つまり、心の分離が確保され、エゴが安泰に生きていけるからだ。「あなた自身の内容を伴った形で」とは、したがって、あなた自身が心にもっている内容、つまり、ホーリー・スピリットの対極であるエゴが関係するすべての内容、エゴが偽創造した攻撃性や憎しみや疑い、闇、そういった内容物をそっくりそのまま保ったまま、この幻想世界を保持したいと願っているわけである。



Yet creation is not of you, and poor learners do need special teaching.
  • poor learner : 「物覚えが悪い人」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
❖ "Yet creation is ~ "「しかし、創造とはあなたのものではない」。偽創造ではなく、真の創造は神から継承したものであって、あなたが一人で請け負うようなものではない。しかも、偽創造とはその特徴が全く異なり、真の創造は一元論である。愛、喜び、平和等々は創造できるが、憎悪、攻撃、闇等々は創造出来ないのだ。したがって、真に存在するものは二元ではなく、純粋一元である。"and poor learners ~ "「心貧しい学び手は、特別な教えが必要である」。心貧しい学び手とは、この幻想世界を信じ切っている者のことで、実相に目覚めるための特別な教えが必要である。



5. You have learning handicaps in a very literal sense.
  • handicap [hǽndikæ̀p] : 「ハンディキャップ、障害、不利な条件 」
  • in a literal sense : 「文字どおりの意味で」
❖ "You have learning ~ "「あなたは、まさに文字通り、学ぶ上でのハンディキャップをもっている」。



There are areas in your learning skills that are so impaired that you can progress only under constant, clear-cut direction, provided by a Teacher Who can transcend your limited resources.
  • area [é(ə)riə] : 「地域、区域、範囲、領域、分野」
  • skill [skíl] : 「技能、手腕、スキル、技、技術、技量、腕前」
  • impair [impéə(r)] : 「悪くする、損なう、害する、減じる」
  • impaired : 「正常な機能が損なわれた、障害のある、正常に機能しない」
  • progress [prəgrés] : 「進歩する、向上する、進む、前進する」
  • constant [kɑ́nst(ə)nt] : 「持続する、絶えず続く、不変の、一定な 」
  • clear-cut : 「はっきりした、疑いの余地のない、明確な、明快な」
  • direction [dərék∫n] : 「方角、方向、道順、方位、指示、指図、命令」
  • provide [prəváid] : 「提供する、供給する、与える、供与する」
  • transcend [trænsénd] : 「〜を超える、〜を超越する、しのぐ、〜に勝る」
  • limited [límitid] : 「限られた、有限な、制限された、限定の」
  • resource [ríːsɔːrs, ríːzɔ̀ː(r)s, rizɔ́ːs] : 「資源、資産、源泉、資材、資金」
❖ "There are areas ~ "「あなたの学習する技量には〜な部分がある」。"that are so impaired that ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「あまりに正常に機能していないので、〜という状況下でしかあなたが進歩できないような」部分がある。"under constant, clear-cut ~ "「あなたの持っている限られた資源を超越することのできる師によって提供される、一定の明確な方向性のある」状況下でしかあなたが進歩できないような部分がある。簡単に言えば、あなたはまだまだ学ぶ上での知識も力も足りないのだが、その不足を補ってくれる(限られた資源を超越する)ホーリー・スピリットがあなたの学びを指導してくれ、一定で明確な方向性をあなたに指示してくれるから、あなたはどんどん進歩して行ける、ということ。



He becomes your Resource because of yourself you cannot learn.
  • of oneself : 「独りでに、それ自体で」
❖ "He becomes your ~ "「ホーリー・スピリットはあなたの資源になってくれる」。"because of yourself ~ "「なぜなら、あなた一人では学べないからだ」。こういう箇所にも、ACIMのもっている絶対他力の思想が見受けられる。あなたは自力で学び、自力で救われる必要はないのだ。と言うより、自力には限界があり、まず無理であろう。したがって、積極的にホーリー・スピリットに、あるいはキリストに、あるいは神自体に救いを求めるべきなのである。それが絶対他力であり、一見、弱々しいご都合主義的な思想に見えるが、その持っているパワーは計り知れない。仏教が、絶対他力の思想を導入することで大きく花開いたことは歴史的な事実である。



The learning situation in which you placed yourself is impossible, and in this situation you clearly require a special Teacher and a special curriculum.
  • situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「手に負えない、どうしようもない」
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • require [rikwáiə(r)] : 「〜を必要とする、求める」
❖ "The learning situation ~ "「あなたがあなた自身を置いた学びの状況は手に負えない状態になっている」。"and in this situation you ~ "「そこで、こういう状況においては、あなたは明らかに特別な師と特別なカリキュラムが必要なのである」。今のあなたは、特別な師としてホーリー・スピリットが、特別なカリキュラムとしてACIMが必要なのである。ACIMを学ぶことも絶対他力。



Poor learners are not good choices as teachers, either for themselves or for anyone else.
  • choice [t∫ɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • either [íːðə(r)] : 「どちらの〜でも、どちらの〜も」
❖ "Poor learners are ~ "「十分に学んでいない者は、師として良い選択とは言えない」。"either for themselves ~ "「彼ら自身にとっても、その他の者にとっても、」師として良い選択とは言えない。



You would hardly turn to them to establish the curriculum by which they can escape from their limitations.
  • hardly [hɑ́ː(r)dli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
  • turn to : 「〜の方を向く、〜に頼る」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する、抜ける」
  • limitation [lìmitéi∫n] : 「制限、極限、限定」
❖ "You would hardly ~ "「あなたは、〜するために、彼らに頼りたいとはほとんど思わないであろう」。"to establish the curriculum ~ "不定詞、副詞的用法、「彼らの限界から逃れるためのカリキュラムを確立するために、」彼らに頼りたいとはほとんど思わないであろう。十分に学んだとは言えない者たちには、学びのための資源としての限界があるので、その資源の限界を超えるためのカリキュラムを彼らは確立することはできない。したがって、あなたは彼らを師として選ぶこと、あるいは頼りとすることは出来ないのだ。超越したのなら、超越した者に学ばなくてはならない。超越とは、この幻想世界からの脱出である。仏教的な言い回しでは、煩悩の世俗からの脱却となるか。



If they understood what is beyond them, they would not be handicapped.
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜の域を越えて、〜を超越して」
  • handicap [hǽndikæ̀p] : 「〜を不利な立場に立たせる、〜にハンディキャップをつける」
  • handicapped : 「障害のある、ハンディのある」
❖ "If they understood ~ "仮定法過去、現在の事実に反することを仮定する、「もし彼らが、彼らを超越するものを理解できたとしたら、」"they would not be ~ "「彼らはハンディキャップがあると言えないだろう」。しかし、実際は、彼らは彼らを超越するものを理解できない。彼らの力量には限界があるのだ。しかし、ホーリー・スピリットの力量には限界がない。なぜなら、実相には限界がなく、無限なのであるから。したがって、迷うことなく、ホーリー・スピリットを師として、学べばいいのだ。しかも、ホーリー・スピリットを遠い異国に求めるような必要はない。なぜなら、ホーリー・スピリットは、あなたの心の中にちゃんと住んでいるのだから。だから、静かな環境で、静かに自分の心のささやきに耳を傾ければいい。その瞑想の中で、あなた自身の声のささやきが消えたとき、ホーリー・スピリットの声が聞こえ始める。要するに、極々自然に、素朴に、清楚に、清貧に生きていけばいいのだ。物欲を滅し、肉欲を滅し、食欲を滅し、幻に惑わされず、エゴの誘いに乗らず、人をけなすことなく、慢心することなく、己の心の正しき声に喜びと平穏をもって従って生きればいい。それがホーリー・スピリットとのチャンネルを確立する生き方ではないだろうか。それ以外にあり得ようか。くれぐれも、ACIMを、何か超自然的なミラクルを起こし得るマジックの講座と間違えてはいけない。
 
 
 

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