5. When you have seen this real world, as you will surely do, you will remember Us.
- seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
- as : 「〜だけれども」
- surely [∫úə(r)li] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に」
- remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
❖ "When you have ~ "「あなたがこの実相の世界を見たとき、」"as you will ~ "「確かに、あなたはそうすることになるのだが、」"you will ~ "「あなたは私たちを思い出すであろう」。私たちとは、キリストとしてのイエスと神、と考えていいだろう。実相に存在する真のあなた自身も含めて考えてもいいかも知れない。
Yet you must learn the cost of sleeping, and refuse to pay it. Only then will you decide to awaken. - cost [kɔ́(ː)st] : 「費用、経費、原価、犠牲、代償、損失」
- refuse [rifjúːz] : 「拒む、拒絶する、断る」
- pay [péi] : 「〜を支払う」
- decide [disáid] : 「〜しようと決心する、〜することに決める」
- awaken [əwéikn] : 「目を覚まさせる、目覚める」
❖ "Yet you must ~ "「しかし、あなたは眠りにはコストがかかることを学び、その支払いを拒絶しなくてはならない」。"Only then ~ "「その時に限って、あなたは目覚めを決心したと言える」。眠りにかかるコストとは、我々が幻想のこの世界で生きていく上で支払わねばならない代償のこと。
And then the real world will spring to your sight, for Christ has never slept. He is waiting to be seen, for he has never lost sight of you. - spring [spríŋ] : 「生じる、湧き出る、跳ねる、跳ぶ」
- sight [sáit] : 「視界、視覚、視力」
- wait [wéit] : 「〜を待つ」
- seen : 「see の過去分詞形」
- see [síː] : 「理解する、分かる」
- lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] sight of : 「〜を見失う」
❖ "And then the real world ~ "「そしてその時、実相の世界が突如あなたの視界に飛び込んでくる」。"for Christ has ~ "「なぜなら、キリストは眠っていなかったからだ」。あなたの視力が眠っていただけであって、キリストとしてのあなたは眠っていなかった。あなたは目覚めることで、キリストの視力をもって実相の世界を見ることができるのである。"He is waiting ~ "「(あなたの中の)キリストは、気付いてもらうことを待っている」。"for he has never ~ "「なぜなら、キリストは決してあなたを見失ってはいないのだから」。
He looks quietly on the real world, which he would share with you because he knows of the Father's Love for him. And knowing this, he would give you what is yours. - quietly [kwáiətli] : 「静かに、音もなく、黙って」
- share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
- know of : 「〜について知っている」
❖ "He looks quietly ~ "「(あなたの中の)キリストは静かに実相の世界を見る」。"which he would ~ "「その世界を、キリストはあなたと分かち合う」。"because he knows of ~ "「なぜなら、キリストは、キリストに向けられた父なる神の愛を知っているからだ」。実相の世界を分かち合うとは、実相の愛を分かち合うことであって、その愛の源は、もちろん神である。神はキリストを、つまり神の子を愛しているので、愛を分かち合うことで愛を拡張し、愛が拡張することで実相の世界が永遠に拡張していくことを神は願っている。"And knowing this ~ "「そして、キリストはこのことを知っているので、キリストはあなたのものであるものをあなたに与えるのである」。つまり、キリストは神がキリストを愛していることを知っているし、その神の愛が同時にあなたへ向けられた愛であること、よって、神の愛があなたのものであることを知っているので、キリストは神の愛をあなたに与えるのである。
In perfect peace he waits for you at his Father's altar, holding out the Father's love to you in the quiet light of the Holy Spirit's blessing. - perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完ぺきな、完全な」
- wait [wéit] for : 「〜を待つ」
- altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
- hold [hóuld] out : 「差し出す、提供する、提出する」
- quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、平穏な、穏やかな、平和な」
- blessing [blésiŋ] : 「祝福、神の恵み、恩恵、承認」
❖ "In perfect peace ~ "「完全な平和のうちにあって、キリストは父なる神の祭壇であなたを待ち受けている」。" holding out the Father's ~ "分詞構文、単純接続、「そして、ホーリー・スピリットが祝福する穏やかな光の中で、キリストはあなたに父なる神の愛を差し出すのである」。ここは理屈でなく、朗読してみよう。イエスの息づかいを感じるにはもってこいの場所。
For the Holy Spirit will lead everyone home to his Father, where Christ waits as his Self.- lead [líːd] : 「〜を導く、案内する」
❖ "For the Holy Spirit ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはみんなを、父なる神の元へ、その家に導くであろうから」。"where Christ ~ "「そこでは、キリストが、キリストそのものとして待っている」。情景を描こう。神から分離した幻想のあなたを、ホーリー・スピリットは神の王国へ導いて行く。王国には神の祭壇があり、そこには神とキリストがあなたの帰りを待っている。キリストとは本当のあなた自身、一なる心そのものである。あなたはそのキリストを、あるがままに、つまり、神から分離したものとしてではなく、本来のキリストそのものとして目撃するのである。ここまで来ると、神の子としてのあなた自身、一なる心、ひとり子、キリスト、ホーリー・スピリット、神自身が、精妙に重なり合って、厳密な区別が付けられなくなってくる。純粋一元論の当然の成り行きであり、究極的にすべての存在はたった一つに、つまり、神に収斂される。それが、ACIMの言う究極の真実"God is"「神ありき」である。
6. Every child of God is one in Christ, for his being is in Christ as Christ's is in God. Christ's Love for you is his love for his Father, which he knows because he knows his Father's love for him. - being [bíːiŋ] : 「存在、実在、生存、生命」
❖ "Every child of God ~ "「すべての神の子はキリストの中で一つである」。"for his being ~ "「なぜなら、キリストの存在が神の中にあるように、神の子の存在はキリストの中にあるからだ」。入れ子構造を思い浮かべてもいいかもしれないが、必ずしもそうなっているということではない。"Christ's Love for ~ "「あなたに対するキリストの愛は、キリストの父なる神に対する愛でもある」。"which he knows "「キリストはそのことを知っている」。"because he knows ~ "「なぜなら、キリストは、キリストに対する父なる神の愛を知っているからだ」。神の子、キリスト、神が重なり合うと同時に、愛自体も重なり合って渾然一体となる。愛を分かち合うとはそういうことなのであろう。つまり、誰に向けられた誰の特別な愛というのではなく、様々な波長の光が混じり合い美しい白色の光となって周囲全体を照らし出すように、あるいは実相世界全体を光が満たすように、愛が実相世界全体に放射していく。
When the Holy Spirit has at last led you to Christ at the altar to his Father, perception fuses into knowledge because perception has become so holy that its transfer to holiness is merely its natural extension. - at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと」
- led [léd] : 「lead の過去・過去分詞形」
- altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
- perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
- fuse [fjúːz] : 「溶ける、溶解する」
- knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
- holy [hóuli] : 「神聖な」
- transfer [trænsfə́ː(r) ] : 「移動、移転、移送、転移」
- holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
- natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「自然の、普通の、天然の」
- extension [ikstén∫n] : 「拡張、伸長、延長、伸展」
❖ "When the Holy Spirit has ~ "「ホーリー・スピリットがついにあなたを、父なる神の祭壇にいるキリストの元へ導いたとき、」"perception fuses into ~ "「知覚は融けて叡智となる」。"because perception has become ~ " ここは"so ~ that ~ "の構文、「なぜなら、知覚はあまりにも神聖になるので、知覚の神聖さへの移行は単に自然な拡張であると言えるからだ」。少々回りくどい述べ方なのだが、要するに、幻想の世界における五感としての知覚が、実相の世界では、キリストの知覚に変化するのである。それは知覚の自然な拡張であって、知覚は叡智へと変身する。
Love transfers to love without any interference, for the two are one. - transfer [trænsfə́ː(r)] : 「移動する、移る」
- interference [ìntərfíərəns] : 「干渉、妨害、障害、邪魔、支障、衝突」
❖ "Love transfers to ~ "「愛は、何の障害もなく愛へと移行する」。"for the two are ~ "「なぜなら、二つの愛は一つであるからだ」。幻想のこの世界の愛、つまり憎悪という対極のある愛は、実相の世界の、対極のない純粋な愛へと移行していく。二元論の愛が一元論の愛へと変身するのである。幻想の愛は実相の愛へと統一され、したがって、二つの愛は一つとなる。
As you perceive more and more common elements in all situations, the transfer of training under the Holy Spirit's guidance increases and becomes generalized. - more and more : 「ますます」
- common [kɑ́mən] : 「共通の、共有の、公の」
- element [éləmənt] : 「成分、要素、原理、基本」
- situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場」
- training [tréiniŋ] : 「訓練、トレーニング、練習、教育、鍛錬」
- guidance [gáidns] : 「指導、助言、アドバイス」
- increase [inkríːs] : 「増える、増大する」
- generalize [dʒénərəlàiz] : 「〜を一般化する、総合する、一般的に言う、法則化する」
❖ "As you perceive ~ "「あなたが、すべての状況いおいて共通の要素をますます知覚するにしたがい、」"the transfer of training ~ "「ホーリー・スピリットの指導の下での訓練における移行が増大し、一般化されてくる」。さて、どういう意味であろうか? 前文に出てきた愛について具体的に考えよう。この幻想の世界では様々な愛の形態が考えられる。親子の愛、男女の愛、祖国への愛、人類への愛、生き物への愛、等々、その様々な愛を感じるすべての状況下において、あなたが、具体的な愛から共通の要素を抽出し知覚し始めるにしたがい、つまり、愛を抽象化し始めるにしたがい、愛の質の層転換が起こり始める。幻想の世界が具象の世界であるのに対して、実相の世界は抽象の世界であることを思い出そう。あなたが幻想の世界で知覚する具象的愛が、抽象化を通して、実相における抽象的、つまり純粋な愛に質転換、移行していくのである。その抽象化こそが、ホーリー・スピリットの教える訓練であり、あなたの知覚が具象から抽象に移行するにしたがい、愛にとどまらず、喜びも平和も慈しみもどんどん抽象化されていくのだ。幻想世界における様々な知覚と概念は、抽象化、一般化されて、実相世界の実在へと移行していく。簡単に言えば、二元論的知覚が、一元論的叡智へと層転換、質転換していくのである。では、抽象化され、一般化された愛は、実相の世界で究極何になるのか? 一元論が何に収斂するか考えればわかる。"Love is"「愛ありき」という一点に収斂するのだ。それは"God is"「神ありき」と完全な対称をなし、したがって"God is Love, Love is God"「神即是愛、愛即是神」「神愛一如」、神と愛が完全同一であることが鮮明に浮かび上がってくる。
Gradually you learn to apply it to everyone and everything, for its applicability is universal. - Gradually [grǽdʒu(ə)li] : 「徐々に、次第に、だんだん」
- apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する、生かす、当てはめる」
- applicability : 「適用性」
- universal [jùːnəvə́ː(r)sl] : 「普遍的な、世界共通の、一般的な」
❖ "Gradually you learn to ~ "「徐々に、あなたはそれをすべての人に、すべての事に適用することを学んでいく」。それとは、すべての状況下で共通の要素を知覚していくこと。つまり抽象化していくこと。もちろん、ホーリー・スピリットの指導の下で学んでいくのである。"for its applicability ~ "「なぜなら、その適用は普遍的であるからだ」。抽象化の適用は普遍的である。
When this has been accomplished, perception and knowledge have become so similar that they share the unification of the laws of God.- accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、成就する、達成する」
- similar [sím(ə)lə(r)] : 「似ている、よく似た、同じような、同様の」
- unification [jùːnəfikéi∫n] : 「統一、結合、一体化、単一化」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
❖ "When this has ~ "「これが成し遂げられたとき、」"perception and knowledge ~ " ここは"so ~ that ~ "の構文、「知覚と叡智とがあまりに似たものになってしまうので、それらは、神の法の単一化を分かち合うのである」。どういうことか? 抽象化によって、知覚されたものが一つに統合され、知覚は叡智にどんどん近づいていく。もちろん、神の法もまた、抽象、単一化を推し進めるものであり、究極たった一つに収斂する。それが"God is"「神ありき」であり、神の法もその一点に収斂する(絶対一元)。実相世界における知覚と叡智は、その一点に統合される神の法を支持し、法を分かち合うのである。つまり、その法に従うことを喜びをもって受け入れるのである。