●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-13.VIII.4:1 ~ T-13.VIII.5:6

4. Apart from the Father and the Son, the Holy Spirit has no function.

  • Apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
❖ "Apart from the Father ~ "「父なる神と神の子から離れては、」"the Holy Spirit has no ~ "「ホーリー・スピリットは全く機能しない」。ホーリー・スピリットは神と神の子の間の媒介役である。両者を度外視しては、ホーリー・スピリットのパワーは全く機能しない。



He is not separate from either, being in the mind of both, and knowing that mind is one.
  • either [íːðə(r)] : 「どちらの〜でも、どちらの〜も」
  • separate [sépərèit] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "He is not separate ~ "「ホーリー・スピリットは父なる神からも神の子からも分離していない」。"being in the mind ~ "分詞構文、単純接続、「ホーリー・スピリットは両者の心の中に存在しているからであり、」"knowing that ~ "「心は一つだと知っているからだ」。無数に存在しているように見える我々の心も、実相世界では単一の心(Mind)に統一される。という言うより、もともと我々の心は一つであったのだ。神からの分離後、心は散り散りに分裂したのである。



He is a thought of God, and God has given him to you because he has no thoughts he does not share.
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思い付き、思考、思索、熟考、思想」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "He is a thought ~ "「ホーリー・スピリットは、神の思いである」。"and God has given ~ "「神はホーリー・スピリットをあなたに与えた」。"because he has no thoughts ~ "「なぜなら、分かち合わないような思いを神は一つも持っていないからだ」。神の思いは愛であるから、ホーリー・スピリットは神の愛であると言ってもいい。思いは言葉であるから、ホーリー・スピリットは神の言葉であると言ってもいい。神の言葉、思い、愛は、神の中では分離したりしない。すべてはホーリー・スピリットの中に調和、統一されている。一元論世界では当然のことである。



His message speaks of timelessness in time, and that is why Christ's vision looks on everything with love. Yet even Christ's vision is not his reality.
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報」
  • speak of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
  • timelessness : 「無時間、非時間」
  • vision [víʒ(ə)n] : 「洞察力、想像力、考え方、視覚、視力」
  • look on : 「〜を見る、〜を見渡す」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "His message speaks of ~ "「ホーリー・スピリットのメッセージは、時間の枠組みの中にあって、無時間を語る」。つまり、時間の存在する幻想世界にあっても、ホーリー・スピリットのメッセージは非時間の実相の世界を語る、という意味であろう。"and that is why ~ "「それが、キリストのヴィジョンが愛をもってすべてを見る理由だ」。キリストはホーリー・スピリットの顕現である。キリストのヴィジョン、キリストのものの見方は、したがって、ホーリー・スピリットの思いが反映されたものであり、ホーリー・スピリットが神の愛であるから、当然、キリストのヴィジョンは愛をもって世界を見ることになる。しかし、"Yet even Christ's vision ~ "「しかし、キリストのヴィジョンは、ホーリー・スピリットの実相ではない」。キリストのヴィジョンは愛を伴う正しい知覚である。しかし、正しい知覚がホーリー・スピリットの実相そのものではない。ホーリー・スピリットの実相は、実相世界における知覚を超越した叡智そのものであって、叡智は神の愛そのものであると言ってもいい。ところで、この文の"his"をホーリー・スピリットとして訳してみたのだが、"his"をキリストと解釈しても意味は通じる。すると「しかし、キリストのヴィジョンは、キリストの実相ではない」となる。しかし、この場合も、キリストがホーリー・スピリットの顕現であることを考えると、意味合いに大きな変化は生じないであろう。



The golden aspects of reality that spring to light under his loving gaze are partial glimpses of the Heaven that lies beyond them.
  • golden [góuldn] : 「金の、金色の、金製の、黄金の、貴重な、高額の、高品質の」
  • aspect [ǽspekt] : 「面、側、局面、状況、側面」
  • spring [spríŋ] : 「跳ねる、跳ぶ、はじく、生じる、湧き出る」
  • gaze [géiz] : 「凝視、注視」
  • partial [pɑ́ː(r)∫l] : 「部分的な、一部の、一部分の」
  • glimpse [glím(p)s] : 「一目、ちらりと見えること、一瞥、垣間見ること」
  • lie [lái] : 「ある、横たわる」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "The golden aspects of ~ "「キリストが愛をもって見つめる、その下で、光の中に飛び出てくる実相の黄金の側面は、その側面を超越して存在する天の王国がその一部をちらっと見せたようなものである」。幻想のこの世界に、実相の片鱗が顔を見せるのである。それを可能とするのは、キリストの愛のヴィジョンである。正しい知覚があれば、実相の片鱗を見ることが出来るのだ。全体像を把握するには叡智が必要なのであるが・・・。



5. This is the miracle of creation; that it is one forever. Every miracle you offer to the Son of God is but the true perception of one aspect of the whole.
  • creation [kriéi∫n] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "This is the miracle ~ "「これは創造の奇跡である」。"that it is one ~ "「すなわち、創造とは永遠に一つである」。ここは、神の創造は一度だけであり、その瞬間が永遠に続く、という解釈。または、「すなわち、創造されたものは永遠に一つである」と訳してみると、神が創造したものはすべて一なるものに収斂し、たった一つである、という解釈になる。いずれにしても、それは奇跡的なことだ、ということ。"Every miracle you ~ "「あなたが神の子に差し出すすべての奇跡は、全体性の一側面の正しい知覚である」。「知覚である」という部分を「知覚の結果である」と意訳すると意味が通じやすいだろう。あなたが神の子に差し出す奇跡とは、たとえば同胞をヒーリングすることであり、あるいは同胞を愛することであり、同胞とともに夢から目覚めること、そのように考えてみよう。それらはすべて奇跡である。なぜなら、幻想の世界において、実相への移行を促すものであるからだ。では、なぜそのような奇跡を起こすことが出来たのだろうか? それは、実相世界の全体性から見れば断片に過ぎないだろうが、あなたが正しい知覚をもってこの世界にその断片を見ることが出来たからであり、この世界に真実の断片を見いだしたからだ。その真実の断片こそが奇跡である。つまり、キリストのヴィジョンで世界を見ることこそ、奇跡を起こす発火点となるのである。ここでは"the whole"を「全体性」と訳してみたが、「奇跡全体」と解釈してもいいだろう。そう捉えても文章全体の意味合いはさほど変わらない。



Though every aspect is the whole, you cannot know this until you see that every aspect is the same, perceived in the same light and therefore one.
  • Though [ðóu] : 「 〜にもかかわらず、たとえ〜でも、〜とはいえ」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • same [séim] : 「同じ人・物、同じこと」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "Though every aspect ~ "「あらゆる側面は全体であるとは言え、」つまり、あらゆる側面に全体性が反映しているとは言え、"you cannot know this ~ "「あなたが、すべての側面は同一であるとわかるまでは、このことを知ることは出来ない」。"perceived in the same ~ "分詞構文、理由、先頭に"being"を補う、「同じ光の中で知覚されたので、一つであるからだ」。非常に難解な部分である。まず、あらゆる側面に全体性が反映しているとは、実相世界の存在形態はホログラム的であり、どの一部分を切り取っても、そこに全体像が映し出されている、ということ。これは華厳経の宝珠の喩えに似ている。世界を織りなす縦糸横糸の交錯点に無数の宝珠が結ばれている。その水晶玉のような宝珠は外界のすべてを映し出しており、一つの一つの宝珠の中に全世界が展開するのである。ところで、「同じ光の中で知覚されたので」の部分であるが、幻想の世界の物理的電磁波としての光によって知覚されれば異なるものと認識されるだろうが、実相世界の非時間非空間的光によって知覚されれば、すべてが重なり合い、統一されて一なるものと認識される。実際、実相世界ではすべてが究極的にたった一つに収斂する。それが"God is"「神ありき」であり、純粋一元論の所以である。いずれにしても、たとえば、我々が幻想世界で個性を持った一人一人の個人として認識されるのに対して、実相世界では心は統一され、たった一つの一なる心となるのである。自他一如、多即一、不二一元、而二不二、等々の仏教用語も、その事情を語っているものと思われる。



Everyone seen without the past thus brings you nearer to the end of time by bringing healed and healing sight into the darkness, and enabling the world to see.
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って行く」
  • near [níə(r)] : 「近い、近くにある、接近した、近接した」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、視覚、視力」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜に可能性を与える」
❖ "Everyone seen without the past thus ~ "「このように、過去を抜きにして見られたすべての者は、」ACIMでは過去は幻想であるから、過去抜きとは幻想を抜きにして、という意味合いである。つまり、実相世界の一なるものとしてすべての者を見るとき、という意味。"brings you nearer ~ "「あなたを時間の終わりの近くに連れて行く」。時間の消滅に近づける。つまり、幻想世界の消滅に近づけるのである。"by bringing healed and ~ "「ヒーリングされ、あるいはヒーリングする視力を暗闇に持ち込むことで、そして、」"and enabling the world ~ "「世界が見えるようにすることによって」。ホーリー・スピリットによって知覚が修正され、正しい知覚が出来るようになれば、つまり、暗闇の幻想世界にヒーリングされた視力を持ち込めば、今まで見えなかった実相世界が次第に見えるようになって、分裂したかに見えるものが実は一つのものであると認識できるようになり、幻想世界の終焉、時間の消滅が近づいてくる。



For light must come into the darkened world to make Christ's vision possible even here.
  • darken [dάːrkən] : 「〜を暗くする」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
❖ "For light must come into ~ "「なぜなら、キリストのヴィジョンがこの幻想世界でも可能であるようにするために、光が暗闇の世界に差し込んで来るに違いないからだ」。キリストのヴィジョンとは、正しい知覚のこと。実相世界の叡智に極く近いものと思っていいだろう。それは、この幻想世界でも可能である。心の中の最も正しい部分、最も神聖で純粋な部分がキリストである。あなたがそのキリストに目覚めることでキリストのヴィジョンが獲得できる。そのとき、暗闇の幻想世界に実相の光が差し込み、あなたは真実の実在を目撃出来るのである。



Help him to give his gift of light to all who think they wander in the darkness, and let him gather them into his quiet sight that makes them one.
  • wander [wɑ́ndə(r)] : 「さまよう、迷う、迷子になる」
  • gather [gǽðə(r)] : 「集める、拾い集める、かき集める」
  • quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、平穏な、穏やかな、平和な」
❖ ここの"him"、"his"をキリストとして解釈する。"Help him to give ~ "「キリストが、暗闇の中を彷徨(さまよ)っていると思っているすべての者に、光の贈り物を与えことが出来るように、キリストを援助しなさい」。"and let him gather ~ "「そして、キリストが、彼らを一つとする穏やかな視界の中に、彼らを集められるようにしなさい」。闇の幻想世界を彷徨う同胞達にキリストの光が届くように、あなたも協力しなさい。あなたがキリストのヴィジョンを持てば、自他一如によって同胞もキリストのヴィジョンを持つことになる。こうして、あなたを先頭に、多くの同胞がキリストの光を得ることが出来、その光の中、キリストの穏やかな視界の中で自分たちを見れば、まさに自他一如、自分たちは分離してはおらず、一なる心であることがわかる。
 
 
 

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