6. They are all the same; all beautiful and equal in their holiness. And he will offer them unto his Father as they were offered unto him.
- equal [íːkw(ə)l] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
- holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
❖ "They are all ~ "「同胞達はみな同じである」。"all beautiful and ~ "「みんな美しく、神聖さにおいて平等である」。"And he will offer them ~ "「彼らがキリストにささげられたように、キリストは彼らを父なる神にささげるであろう」。「ささげる」という言葉を使うと、まるで物のやりとりのように聞こえてしまうのだが、むしろ、「彼らが心の中のキリストの存在に気付かされたように、今度はそのキリストが、彼らが父なる神に気付くようにしてくれる」といった意味合いであろう。つまり、どんどん実相世界に近づき、神の元へと回帰していくのである。それを促しているのだキリストであり、ホーリー・スピリットでる。キリストはホーリー・スピリットの顕現であることを思い出そう。
There is one miracle, as there is one reality. And every miracle you do contains them all, as every aspect of reality you see blends quietly into the one reality of God. - reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する」
- aspect [ǽspekt] : 「面、側、局面、状況、側面」
- blend [blénd] : 「混ざる、溶け合う、一体となる、調和する、融合する」
- blend into : 「〜に溶け込む」
- quietly [kwáiətli] : 「静かに、音もなく、平穏に」
❖ "There is one ~ "「実相が一つであるように、奇蹟も一つである」。"And every miracle you ~ "「あなたが行うすべての奇蹟は、奇蹟のすべてを含んでいる」。"as every aspect of ~ "「ちょうど、あなたが目にする実相のすべての側面が、神の唯一の実相の中に静かに溶け込んでいくように」。奇蹟は、この幻想世界という範囲に閉じ込められた現象ではない。幻想世界にあって、実相世界の現象を誘発するものと考えた方がいいであろう。実相世界は一元論の世界であり、多々の現象は一なるものに収斂する。したがって、幻想世界において種々の奇蹟が誘発した現象は、実相世界で一なるものに統一されるのだ。たとえば、あなたが特定の同胞を愛したとしよう。また、別の同胞が彼を、あるいは彼女を愛したとしよう。その二つの愛の奇蹟は、この幻想世界では別個の奇蹟として数えられるだろうが、実相世界では、愛は完全に抽象化され、純化され、一なる神の愛に同化する。その一なる神の愛こそが、神の唯一の実相(the one reality of God)なのである。ASCIMは、実相世界には奇蹟は存在しないという。存在する必要がないからなのだが、見方を変えれば、幻想世界から実相世界への橋渡しをしてくれるのが奇蹟だと捉えてもいいのではないだろうか。ちょうど、ホーリー・スピリットが神の子と神の間の媒介者であるように、幻想世界と実相世界の間を媒介する現象が奇蹟である。
The only miracle that ever was is God's most holy Son, created in the one reality that is his Father. Christ's vision is his gift to you. His being is his Father's gift to him.- ever [évə(r)] : 「今までに、これまでに」
- holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ "The only miracle that ~ "「かつて存在した唯一の奇蹟は、神の最も神聖な神の子である」。"created in the one reality that ~ "分詞構文、単純接続、先頭に"being"を補う、「その神の子は、父なる神であるところの唯一の実相の中で創造されたのである」。神の最大の機能は創造と愛であると言っていい。むしろ、創造と愛は神にとって同一である。そして、創造も愛も、確かにその対象が必要な機能である。神は、その無限の愛の対象を必要とし、無限に神聖な創造の対象を欲した。そこに、神の分身としての神の子の創造があったのである。先に、ACIMは実相世界に奇蹟は存在しないと言っている、と言ったが、実相世界の原初にして唯一の奇蹟は存在したことになる。それが神の子の創造である。奇蹟という言葉が不適切であるなら、神の子の創造は、神の愛と創造の必然と言えばいいか。"Christ's vision is ~ "「キリストのヴィジョンは、あなたに向けられた神の贈り物である」。"His being is ~ "「キリストの存在は、キリストに向けられた神の贈り物である」。「キリストの存在」とは、「キリストの命」と捉えていいだろう。キリストに贈り物として命を吹き込んだのは神であり、それはキリストをあなたに贈り物としてささげるためである。まるで、神の子へ、その補佐役を与えるつもりでキリストの命を創造したかのように思える。幻想世界の暗闇で苦しむ神の子のために、神があらかじめ用意しておいてくれた一条の光、神の子を闇から救い出していくれるその光こそ、キリストである。
7. Be you content with healing, for Christ's gift you can bestow, and your Father's gift you cannot lose. - content [kɑ́ntent] : 「満足している」
- be content with : 「〜に満足して」
- bestow [bistóu] : 「〜を授ける、与える、贈る」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "Be you content ~ "「ヒーリングすることに満足しなさい」。"for Christ's gift you ~ "「なぜなら、あなたは、キリストから贈り物と、失うことの出来ない父なる神からの贈り物を与えることが出来るのだから」。キリストのヴィジョン、そして、キリスト自身を、あなたは同胞をヒーリングすることで、同胞にそれを与えることが出来る。
Offer Christ's gift to everyone and everywhere, for miracles, offered the Son of God through the Holy Spirit, attune you to reality. - Offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、ささげる、提供する」
- attune [ət(j)úːn] : 「調和させる、適合させる、調音する」
❖ "Offer Christ's gift to ~ "「キリストの贈り物を、どこでも誰にでも、ささげなさい」。"for miracles, offered ~ "「なぜなら、奇蹟は、ホーリー・スピリットを通して神の子に与えられるので、」"attune you to ~ "「あなたを実相に調和させるからだ」。キリストの贈り物とは、キリストのヴィジョンと考えていい。ホーリー・スピリットによって修正された正しい知覚である。あなたは、そのキリストのヴィジョンを同胞に与える。つまり、あなたは同胞をヒーリングするのである。あなたの内部のホーリー・スピリットを通して同胞の知覚を修正する奇蹟を授けるのだ。そのとき何が起きるか? あなたは同胞と、ホーリー・スピリットを通じてキリストのヴィジョンを分かち合い、それまで見えなかった実相に目覚めていく。あなたのヴィジョンの波長が実相の波長が合ってくるのである。つまり、あなたも同胞も実相と調和していくのだ。
The Holy Spirit knows your part in the redemption, and who are seeking you and where to find them. - part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割、一部、部分」
- redemption [ridém(p)∫n] : 「贖い、贖罪、救済、解放、償い、救出」
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "The Holy Spirit knows ~ "「ホーリー・スピリットは、救済におけるあなたの役割を知っている」。"and who are seeking you ~ "「そして、誰があなたを探しているか、あなたがどこで彼らを見いだせるか、知っているのである」。贖罪を通した魂の救済は、あなた一人がそれを達成すればよいというものではない。神の子全体が救済され、神の元に回帰しなくては意味がないのである。なぜなら、分裂したすべての神の子の心が、神の元で再統一され、一なる心にならなくてはならないからだ。したがって、あなたは自分自身の救済と、同時に他者の救済を担っている。あなたは不思議な偶然で他者と出会うことがあるだろうが、それはホーリー・スピリットがあなたに、あなたを必要としている同胞を導き、あなたが彼らと出会えるように計らっているからである。したがって、この世界に偶然の出会いはない。すべてはホーリー・スピリットの聖なる計らいによる必然的な出会いである。仏教用語で言うと、縁起(えんぎ)ということになるか。
Knowledge is far beyond your individual concern. You who are part of it and all of it need only realize that it is of the Father, not of you. - Knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
- far [fɑ́ː(r)] : 「遠く離れて、遠くに、遠くへ 」
- beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
- individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人の、個人的な、個性的な、個々の、個別の」
- concern [kənsə́ː(r)n] : 「関心事、懸案事項、懸念、心配」
- realize [ríːəlàiz] : 「悟る、自覚する、実感する、理解する、体得する」
❖ "Knowledge is far beyond ~ "「叡智とは、あなたの個人的な関心をはるかに超越している」。たとえば、ホーリー・スピリットが、いつどこであなたと誰を出会わせたらいいか、それを図るのは、ホーリー・スピリットの叡智である。そういったことは、あなたが好むと好まざるに関わらず、それを超越して図られることである。"You who are part of it ~ "「叡智の一部であり、叡智のすべてであるあなたは、ただ、その叡智が神のものであって、あなたのものではないと悟る必要がある」。日本語に訳すると、まるで叡智の所有権を云々しているように聞こえてしまうが、そうではない。あなたは神の子として創造されたとき、神の属性のすべてを継承した。したがって、叡智も当然継承したのである。あなたは自分の叡智を忘れてしまっているが、あなたの心の中にそれはある。完全に正しい心の部分としてのキリストが叡智であると思ってもいいし、ホーリー・スピリットが叡智を代表していると思ってもいい。実は厳密な線引きなど出来ないのだ。いずれにせよ、その叡智はあなた個人の由来のものではない。神由来のものなのである。そこを取り誤ると、あなたは尊大になれることはあっても、偉大な神の子とはなれまい。したがって、たとえば、あなたが他者をヒーリングする場合でも、そのパワーはあなた個人の由来のものではなく、ホーリー・スピリット、あるいは、神そのものの由来である。あなたのパワーの源は神なのである。
Your role in the redemption leads you to it by re-establishing its oneness in your mind.- role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
- lead [li':d] : 「〜を導く、案内する、〜を連れていく」
- establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する」
- reestablish : 「〜を再建する、回復する、復旧する」
❖ "Your role in the redemption ~ "「救済におけるあなたの役割は、あなたを叡智へと導く」。"by re-establishing its ~ "「あなたの心の中で、叡智が一つであると再確立することによって、」あなたを叡智へと導く。救済とは、あなたは実は神から分離したものでもなく、心が分裂したのでもなく、あなたは完全な無辜(むこ)であり、神とともにあると知ることである。分離分裂、罪と罰の夢から目覚めることなのである。したがって、救済、あるいは目覚めは、叡智の一つの結果であると言っていい。その目覚めを、あなた個人だけでなく、同胞を含めた広い範囲で成し遂げよ、というのがあなたの救済における役割である。その叡智の結果として、あなたは同胞とともに実相に目覚めるわけで、実相に移行したあなたを含めた同胞達は、心が一つであること、各々の心の中に住んでいたホーリー・スピリットもキリストも一つであることを知るのである。なぜなら、実相世界は一元論の世界であり、あらゆる現象の側面が抽象化され純化され、一なるものだけが構成する世界であるからだ。もちろん、叡智も究極は一つに収斂する。それは神の愛であると言ってもいいだろう。