●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-18.III.4:1 ~ T-18.III.5:7

4. You who hold your brother's hand also hold mine, for when you joined each other you were not alone.

  • hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に参加する、〜と交わる、〜と一緒になる」
  • each other : 「お互いに」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "You who hold your ~ "「同胞の手と手を結ぶあなたは、私(イエス)の手とも結ばれている」。"for when you joined ~ "「なぜなら、あなたが(同胞と)結ばれたとき、あなたはすでに一人ではないのだから」。後半の文章が過去形になっていることを少し説明しておく。仮定法過去に近い感覚で訳せばいいのだが、事情は少々違う。実相世界は無時間の世界であり、すべての出来事が一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。文字通り、すべての事象は、一瞬というホログラムに刻まれる。時間の存在するこの世界では、そのホログラムの断片を選択して、まるで映画を見るように、再生しているに過ぎない。したがって、幻想世界に住む我々の未来は、運命的に決定されているように見えるが、ホログラムの断片を自由に選択することを考えると、むしろ、運命を自由選択していると言った方がいいだろう。本文に戻ると、あなたが同胞と結ばれ、単一の存在となることは、実相世界ではすでに完了していることであって、ここにあるように過去形で表現される。しかし、その過去は、時間の存在するこの幻想世界ではまだ達成されておらず、その意味では未来なのだ。ACIMの文章は、過去形、現在形、未来形の入り乱れた構成になっているので、時制に関して、おやっ、と思ったときは、それは実相世界に立って見たものか、あるいは幻想世界に立って見たものか、ちょっと考えてみればある程度混乱は避けられる。より極端な言い方をすれば、ACIMでは時制を気にせず、過去形を未来形に、未来形を過去形にして訳してもいい、ということになるか。



Do you believe that I would leave you in the darkness that you agreed to leave with me?
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • agree [əgríː] : 「同意する、合意する、賛成する」
  • leave [líːv] : 「 〜から離れる、〜をから出る」
❖ ここは、2つの"leave"を別の意味に使って、いわば言葉遊びをしている箇所だ。また2つの"that"のうち後の"that"は関係代名詞で、先行詞は"darkness"。"Do you believe that ~ "「あなたはthat以下を信じているのか」。"that I would leave ~ "直訳してみると、「あなたが私と一緒に離れることに同意したところの闇の中に、私があなたを置いてきぼりにしたいと思っている」とあなたは信じているのか。イエスは、そんなことはしない、ということ。



In your relationship is this world's light. And fear must disappear before you now.
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • light [láit] : 「光、明かり」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • disappear [dìsəpíə(r)] : 「在しなくなる、なくなる、消滅する、消失する」
  • before [bifɔ́ː(r)] : 「〜の前に、〜を前にして、面前で」
❖ "In your relationship ~ "「あなたの関係性の中に、この世界の光がある」。あなたが特別な関係性の中にとどまっていたなら、その関係性は闇であるが、特別な関係性を神聖な関係性に質転換した今は、あなたの神聖な関係性は、この世界を実相世界へと目覚めさせる希望の光となった。"And fear must disappear ~ "「そして、恐れは、今や、あなたの目の前で消滅せざるを得ないのだ」。恐れさえ幻想であるので、実相世界に接した今、その恐れも消滅する。



Be tempted not to snatch away the gift of faith you offered to your brother. You will succeed only in frightening yourself.
  • tempt [tém(p)t] : 「〜を誘惑する、〜を唆(そそのか)す」
  • snatch [snǽt∫] : 「素早くつかむ、急いで取る、ひったくる、強奪する」
  • snatch away : 「ひったくる、もぎ取る、さらう、〜を取り上げる」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提共する」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
  • succeed in : 「〜に成功する」
  • frighten [fráitn] : 「〜を怖がらせる、脅かして追っぱらう」
❖ "Be tempted not to ~ "「あなたが同胞に差し出した信じる気持ちという贈り物を、引ったくって取り戻そうなどと、誘惑に駆られてはいけない」。あなたは同胞を信じたが、エゴは、それは偽りだと囁くだろう。そして、信じる気持ちを撤回して、同胞を敵と見なすようにあなたを唆(そそのか)す。その、エゴの企みに唆されてはいけない。"You will succeed only ~ "そんなことをしても、「あなたは単に、あなた自身を脅す結果になってしまうだけであろう」。あなたが同胞を信じる気持ちを撤回すれば、あなたの心の中の敵意、憎悪、嫌悪、攻撃性、等々を目の当たりにして、自分で自分が恐ろしくなってしまうだけだ。



The gift is given forever, for God himself received it. You cannot take it back. You have accepted God.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • take back : 「元に戻す、取り戻す、連れ戻す、返す、引き取る」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "The gift is given ~ "「贈り物は永遠に与えられたのだ」。あなたが同胞に差し出した贈り物は、奪い返すことなど出来ない。"for God himself ~ "「なぜなら、神自身が、その贈り物を受け取ったのだから」。あなたが同胞に与えた贈り物は、神が受け取ったのである。"You cannot take ~ "「あなたは、その贈り物を取り戻すことは出来ない」。"You have accepted ~ "「あなたは神を受け入れたのである」。あなたが同胞の実在性を認めたことは、あなた自身の実在性を認めたことと等しく、さらに、神の実在性と神の子の実在性を認めたことにつながる。



The holiness of your relationship is established in Heaven. You do not understand what you accepted, but remember that your understanding is not necessary.
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する、成立させる」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
❖ "The holiness of your ~ "「あなたの関係性の神聖さが、天の王国で確立させる」。幻想世界の特別な関係性は実相世界の関係性に質転換し、さらに天の王国において、神と神の子の神聖な関係性に昇華する。"You do not understand ~ "「あなたは、あなたが受け入れたものが何なのか理解出来ないかも知れないが、」"but remember that your ~ "「あなたがそれを理解することは、(必ずしも)必要ではないのだ、と覚えておきなさい」。あなたに叡智(knowledge)が備わったなら、おのずと理解されることであって、今々理解しなくてはならないことではない。



All that was necessary was merely the wish to understand. That wish was the desire to be holy.
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • wish [wí∫] : 「願い、願望、希望」
  • desire [dizáiə(r)] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ "All that was necessary ~ "「必要なことのすべては、理解しようという願いだけである」。"That wish was ~ "「その願いは、神聖になりたいという望みである」。ここも過去形で書かれているが、過去形にこだわる必要はない。真実を理解したいという願いが、やがて実相世界で叡智に結びついていく。あなたは叡智をもって、すべての真実を直覚的に、全的に、把握出来るようになるのである。



The Will of God is granted you. For you desire the only thing you ever had, or ever were.
  • grant [grǽnt] : 「許諾する、共与する、与える」
  • desire [dizáiə(r)] : 「〜を望む、希望する、欲する、〜を要求する」
❖ "The Will of God is ~ "「神の意思が、あなたに与えられたのである」。"For you desire ~ "「なぜなら、あなたは、あなたがかつてもっていたもの、あるいはかつてそうであったもの、ただそれだけを望んでいるからだ」。あなたがかつて神と共にあったとき、神は神の属性のすべてを神の子であるあなたに与えた。あなたは神の子として、かつては神聖な存在であったし、神聖な属性だけをもっていた。幻想世界に堕落した今でも、それは消えることはない。神はあなたにそれを思い出して欲しいと意思しているのである。そして、あなたが神の意思を受け入れたということは、あなたの神の子として過去の姿を希求したことになるのである。あなたは、新たな自分を創造する必要はないのだ。真実の存在であった過去のあなたに戻るだけでいい。



5. Each instant that we spend together will teach you that this goal is possible, and will strengthen your desire to reach it.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • spend [spénd] : 「使う、費やす、浪費する」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • teach [tíːt∫] : 「〜を教える、学ばせる、悟らせる」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • strengthen [stréŋ(k)θn] : 「〜を強くする、強化する、増強する」
  • desire [dizáiə(r)] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • reach [ríːt∫] : 「〜に達する、〜に至る、〜に届く」
❖ "Each instant that ~ "「私たちが共に過ごす瞬間の一つ一つが、この目的(の達成)が可能であり」、"and will strengthen your ~ "「その目的に到達したいというあなたの望みを強くするであろう」。闇から抜け出し、光の世界へ入っていき、神聖な存在になりたいとう望み、そして目的は、あなたが同胞達と共に、あるいはホーリー・スピリットと共に、互いに望みを強化しつつ、協力し合って達成されるものである。



And in your desire lies its accomplishment. Your desire is now in complete accord with all the power of the Holy Spirit's Will.
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「成就、偉業、成果、達成、完成」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、徹底的な、全面的な」
  • accord [əkɔ́ː(r)d] : 「調和、一致、合意、合致」
  • in accord with : 「~と一致して、〜に調和して、~に合って」
❖ "And in your desire ~ "「あなたの望みの中に、その達成が存在する」。つまり、あなたが望めば、必ず叶えられる、ということ。なぜなら、"Your desire is now ~ "「あなたの望みは今や、ホーリー・スピリットの意思のパワー全体と完全に調和している」。実相世界の意思は、その創造性のパワーによって、現実化する。あなたの望みがホーリー・スピリットの創造的パワーと共鳴したのだから、それは必ず現実化し、あなたの望みは達成されるのだ。つまり、あなたは実相に目覚めて、真実を知る神聖な存在となる。



No little, faltering footsteps that you may take can separate your desire from his will and from his strength.
  • falter [fɔ́ːltə(r)] : 「よろめく、つまずく、行き詰まる、たじろぐ、くじける」
  • footstep [fútstèp] : 「足跡、歩み」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
  • desire [dizáiə(r)] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • will [wíl] : 「意志、精神力」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、強み、長所」
❖ "No little, faltering footsteps ~ "「あなたの歩みがどんなに小さく、またよろめくようなものであっても、」"can separate your ~ "「それによって、あなたの望みがホーリー・スピリットの意思や力から引き離されてしまうことはない」。実相世界へ向かうあなたはホーリー・スピリットを旅の伴侶としているが、あなたの歩みが如何におぼつかないものであっても、ホーリー・スピリットは決してあなたを放り出したりしない。ホーリー・スピリットの意思も、またその強さも、変化することはないのだ。



I hold your hand as surely as you agreed to take your brother's.
  • hold [hóuld] : 「~を手に持つ、握る」
  • surely [∫úə(r)li] : 「しっかりと、確かに、確実に、必ず、きっと、間違いなく」
  • agree [əgríː] : 「承諾する、承知する」
❖ "I hold your hand as surely ~ "「あなたが、同胞の手を取ることを承知したのと同じくらい確実に、私はあなたの手を握っている」。あなたは、たった一人で天の王国を目指しているのではなく、同胞と一緒に実相世界へ回帰しつつある。あなたは同胞と手を取り合っているのだ。同時に、イエスは、キリストとして、あるいはホーリー・スピリットとして、あなたの手を取って、天の王国へ案内しているのである。



You will not separate, for I stand with you and walk with you in your advance to truth. And where we go we carry God with us.
  • separate [sépərèit] : 「分かれる、分離する、別居する」
  • advance [ədvǽns] : 「前進、進展、進歩、躍進、進出」
  • carry [kǽri] : 「~を運ぶ、~を持ち運ぶ」
❖ "You will not ~ "「あなたは、(私と)離れ離れになることはあるまい」。"for I stand with you ~ "「なぜなら、私は、あなたと共に立ち、あなたが真実に向かって進むとき、あなたと一緒に歩いていくからだ」。"And where we go ~ "「そして、私たちが向かう先へ、私たちは、私たちと一緒に神を運んでいるのだ」。神を運ぶとは、何ともお粗末な訳ではある。道中、常に、心に神を抱いている、という意味である。神の元へ回帰するのだから、神を忘れるわけがない。それが最終目的なのだから。
 
 
 

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