●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-18.IV.6:1 ~ T-18.IV.7:7

6. And that is all. Add more, and you will merely take away the little that is asked.

  • add [ǽd] : 「加える、足す、追加する」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する、運び去る」
❖ "And that is ~ "「それがすべてである」。聖なる瞬間に出合うには、聖なる瞬間を強く求めるだけでいい。神聖な自分を受け入れるだけでいい。"Add more, and you will ~ "「それに何かを付け加えてしまえば、単に、求められたわずかなものさえ取り逃がしてしまうだろう」。聖なる瞬間に出合うために準備をしようとして、苦行をしたり、教団に大金を布施したり、良き人間になろうとしたり、尊敬を勝ち取ろうとしたり、そんな要らざることを付け加えると、要求されたわずかのこと、つまり、聖なる瞬間を強く求め、神のプランの邪魔をするな、ということを疎かにしてしまうだろう。



Remember you made guilt, and that your plan for the escape from guilt has been to bring Atonement to it, and make salvation fearful.
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
  • escape from : 「〜から逃避する」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • fearful [fíə(r)fl] : 「恐ろしい、怖い」
❖ "Remember you ~ "「あなたが罪の意識をつくってしまったことを思い出しなさい」。"and that your plan ~ "「そして、罪の意識から逃れるためのあなたのプランは、罪の意識に贖罪をもたらすことだったこと、そして、救いを恐ろしいものにしてしまったことを思い出しなさい」。ここの「贖罪」は"Atonement"となっていて、大文字で始まっているので、実相的贖罪、つまり、罪の意識は幻想に過ぎないと認識して罪の意識を払拭するという意味合いになるのだが、しかし、そう捉えると、全体の意味がおかしくなる。ここは小文字で始まる"atonement"、単なる「罪滅ぼし」と解釈するべきだろう。つまり、ACIMの編者の誤りだと、大胆に判断することにする。そうすると、全体の意味は、「あなたは、神から分離したと思い込み、そのことで勝手に罪の意識を自分で作ってしまい、その罪の意識から逃れるためには、罪滅ぼしをしなくてはならないと思い込み、罪からの救済が恐ろしいものだと感じるようになった」となる。つまり、余計なものをどんどん付け加えることで、自分を窮地に陥れたのである。だから、要らざることを考えるな、付け加えるな、となるのだ。



And it is only fear that you will add, if you prepare yourself for love.
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • prepare [pripéə(r)] : 「〜を準備する、用意する、支度する」
  • prepare oneself for : 「〜の準備をする、〜を準備する、〜の覚悟を決める」
❖ "And it is only fear ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、後ろから訳して、「あなたが、愛に対して準備をしようとすると、あなたが付け加えようとすることは、ただ単に、恐ろしいものとなるのだ」。上記の罪の意識の解消の場合と同様に、神の愛を受け入れるために、その愛にふさわしい自分になろうと準備をし、良き人間になろう、尊敬される人間になろう、寄付もいっぱいしよう、罪深さをお払いをすることで払拭しよう、等々、要らざる課題を自分に付け加えることで、それがなかなか達成されないことで恐ろしさを感じてしまうのだ。それは、誤りだと言っているのである。あなたは、今あるあなたでいい。今のあなたを、神は十分愛しているのであって、その愛を素直に受け入れてしまえばいいだけの話なのである。そして、神はほんの小さなことを要求しているのであり、それに答えるだけでいい。それは、もう一人で彷徨(さまよ)うのを止めて、神の元に帰って来なさい、という要求である。



The preparation for the holy instant belongs to him who gives it. Release yourself to him whose function is release.
  • preparation [prèpəréi∫n] : 「用意、準備、支度」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「属する、所属する」
  • belong to : 「〜に属する、〜に所属する、〜の所有物である」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「機能、作用、働き、効用」
❖ "The preparation for ~ "「聖なる瞬間のための準備は、聖なる瞬間を与える神に属していることだ」。聖なる瞬間に出合うための準備は、あなたがするものではなく、神がするものなのだ。神が、あるいはホーリー・スピリットが聖なる瞬間のお膳立てをしてくれる。したがって、あなたがすべきことは、"Release yourself to him ~ "「あなたを解放することを役割としている神(ホーリー・スピリット)に、あなた自身を解放しなさい」。つまり、あなた自身を、すべて、ホーリー・スピリットに任せてしまいなさい、委ねてしまいなさい、ということ。お分かりのように、ACIMの絶対他力性である。



Do not assume his function for him. Give him but what he asks, that you may learn how little is your part, and how great is his.
  • assume [əs(j)úːm] : 「引き受ける、担う、負う、肩代わりする、引き継ぐ」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な、重要な、重大な」
❖ "Do not assume ~ "「神にとっての役割を担ってはいけない」。聖なる瞬間の準備は神の仕事であるから、わざわざ自分でその役割を引き受けることはない。"Give him but ~ "「神が要求したことだけに答えなさい」。"that you may learn ~ "ここの"that" は"so that"のことで「その結果」という意味、「そうすれば、あなたの役割がいかに小さいか、神の役割がいかに大きいかがわかるであろう」。あなたは、神から求められる、ほんの少しのことをするだけでいい。残りの大部分はホーリー・スピリットが処理してくれる。つまり、聖なる瞬間を心から希求するだけでいいのだ。奇跡が起きるにはあなたの意思が欠かせないからだ。



7. It is this that makes the holy instant so easy and so natural.
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「自然な、普通の、ありのままの」
❖ "It is this that makes ~ " 意訳する、「聖なる瞬間の実現が簡単で、自然であることは、そうした理由からである」。聖なる瞬間の実現のためには、神の役割が大半で、あなたの役割は極くわずかであるから、聖なる瞬間は容易に、かつ自然に実現される。



You make it difficult because you insist there must be more that you need do, and it is very hard for you to realize it is not personally insulting that your contribution and the Holy Spirit's are so extremely disproportionate.
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • insist [insíst] : 「強く主張する、強く断言する」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある」
  • hard [hɑ́ː(r)d] : 「難しい、困難な、つらい」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • personally [pə́ː(r)s(ə)nəli] : 「個人的に、自分自身で」
  • insulting [insʌ́ltiŋ] : 「侮辱的な、侮辱の、無礼な、失礼な」
  • contribution [kɑ̀ntribjúː∫n] : 「貢献、寄付、出資、寄与、寄贈」
  • extremely [ikstríːmli] : 「極度に、極めて、非常に、すこぶる」
  • disproportionate [dìsprəpɔ́ːrʃənət] : 「不釣り合いな、不均衡な」
❖ "You make it ~ "「あなたは、容易なことを難しくしているのだ」。"because you insist there ~ "「なぜなら、あなたがそこで主張していることは、あなたはもっと何かする必要があるはずだという主張に違いないからだ」。つまり、あなたの役割はもっともっとあるはずだと駄々をこねるのである。"and it is very hard for ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「あなたにとって、〜することは非常に難しいことになってしまう」。"to realize it is not ~ "ここも"it ~ that ~ "の構文、「聖なる瞬間に対するあなたの貢献度とホーリー・スピリットの貢献度が極度にアンバランスであることは、決して個人的な侮辱ではないと知ることは」非常に難しいことになってしまう。あなたの役割が小さいことで、まるで子供扱いされているような錯覚を覚え、侮辱されてでもいるかのように感じてしまうのだ。誤った自尊心の使い方である。



You are still convinced that your understanding is a powerful contribution to the truth, and makes it what it is.
  • still [stíl] : 「まだ、今もなお、未だに」
  • convince [kənvíns] : 「確信させる、納得させる、説得する」
  • convinced : 「確信して」
  • understanding [ʌ̀ndə(r)stǽndiŋ] : 「理解、理解力、知力」
  • powerful [páuə(r)fl] : 「強い、強力な、力強い、影響力のある」
  • contribution [kɑ̀ntribjúː∫n] : 「貢献、寄付、出資、寄与、寄贈」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "You are still convinced ~ "「あなたは未だに、that以下を確信している」。"that your understanding is ~ "「あなたの理解が、真実に対してパワフルな貢献をし、真実をあるがままの姿とする」と確信している。理解がなければ真実を知ることも出来ず、真実を真実たらしめることさえ出来ないと考えている。つまり、頭脳的理性による理解、判断が、真実に先行すると考えているのだ。これが大きな障害になっていることに、そろそろ気付いてもいい時期ではないだろうか? 



Yet we have emphasized that you need understand nothing.
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、重要視する、重視する、力説する」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "Yet we have emphasized ~ "「しかし、私たちはthat以下を強調してきた」。"that you need ~ "「あなたは何も理解する必要がないのだ」と強調してきた。あなたが実相世界に目覚めることさえ出来れば、あなたは叡智(knowledge)を獲得し、真実を全的に把握することが出来るようになるからだ。真実を幻想世界の理知によって理解することなど不可能なのである。



Salvation is easy just because it asks nothing you cannot give right now.
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
  • ask [ǽsk] : 「〜を求める、〜を頼む、依頼する」
  • right now : 「現在、現時点では、今は、たった今、目下のところ」
❖ "Salvation is easy ~ "「救いは、単に〜であるから、容易なのである」。"just because it ~ "「救いは、今々あなたが与えられないものを何一つ要求することはないので、」救いは容易なのだ。あなたが幻想世界から実相世界に救われるには、今のあなたで不足はない。何一つ、特別に用意することも準備することも必要ないのだ。心から救いを希求するだけでいい。その声をホーリー・スピリットがちゃんと聞き取って、ホーリー・スピリットがあなたを救ってくれるのであるから。委ねること、その一言に尽きる。絶対他力。
 
 
 

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