●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-18.IV.8:1 ~ T-18.V.1:6

8. Forget not that it has been your decision to make everything that is natural and easy for you impossible.

  • forget [fə(r)gét] : 「〜を忘れる、見落とす」
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • natural [nǽt∫(ə)r(ə)l] : 「自然の、普通の、ありのままの」
  • easy [íːzi] : 「やさしい、容易な、簡単な」
❖ "Forget not that ~ "「that以下を忘れてはいけない」。"that it has been ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「あなたにとって自然で簡単なことをことごとく不可能にしてしまうのは、あなたの決定である」ということを忘れないように。真実は自然で簡単なものであり、それを知ることも実現することも自然で簡単なことである。しかし、それを複雑怪奇な難しいことにしてしまっているのはあなたの思い込みであり、真実は不可知、不可触であると決め込んだあなたの判断なのだ。



If you believe the holy instant is difficult for you, it is because you have become the arbiter of what is possible, and remain unwilling to give place to One Who knows.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • arbiter [ɑ́ː(r)bitə(r)] : 「権威者、決定者」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • unwilling [ʌnwíliŋ] : 「気が進まない、不本意の、嫌がる」
  • give place to : 「〜に場所を譲る、〜にとって代わられる」
❖ "If you believe ~ "「もしあなたが、聖なる瞬間はあなたにとって難しいものだと信じているなら、」"it is because ~ "「それは、あなたが、何が可能かを決定する者になって、それを知っている者にその場所を譲ろうとしないからなのだ」。可能か不可能かを自分で判断出来るものと思い込み、それを判断決定できるホーリー・スピリットに判断決定を委ねようとしないのである。だから、理解不可能なものは即座に実現不可能だと決めつけてしまうのである。科学的根拠のないものはまやかしだと決めつけてしまうのである。



The whole belief in orders of difficulty in miracles is centered on this. Everything God wills is not only possible, but has already happened.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信用、信頼」
  • order [ɔ́ː(r)də(r)] : 「順、順序、順番、順位、序列」
  • difficulty [dífikʌ̀lti] : 「困難、難事、難儀、面倒なこと」
  • centered [séntə(r)d] : 「集中した、中心となる」
  • not only A but also B : 「AだけでなくBも、Aのみならず Bも」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する」
❖ "The whole belief in ~ "「奇跡には、その難しさに序列があると信じることは、ほとんど、(その原因は)このことに集中している」。奇跡には難しいものも簡単なものも、可能なものも不可能なものもあると信じていることは、自分の理性的判断でそう思っているだけなのである。ACIMでは、奇跡の難易度に序列はない。つまり、奇跡はすべて自然で容易なことだと主張している。そうである奇跡の真実に、不自然さと難しさを持ち込んでいるのは、あなた自身なのである。あなたの思いが難易、可不可を決め、その思いが幻想世界で現実化しているだけなのだ。"Everything God wills ~ "「神が意思することのすべては、単に可能であるだけでなく、すでに起きているのだ」。



And that is why the past has gone. It never happened in reality. Only in your mind, which thought it did, is its undoing needful.
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • gone [gɔ́(ː)n] : 「go の過去分詞形」
  • in reality : 「実は、実際には」
  • undoing [ʌndúiŋ] : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
  • needful [níːdfəl] : 「入用な、必要な」
❖ "And that is why ~ "「それが、過去は過ぎ去ってしまったという理由である」。"It never happened ~ "「過去のことは、現実的には決して起きなかったのだ」。"Only in your mind ~ "「過去が起きたと思っているあなたの心の中においてのみ、」"is its undoing ~ "「過去の取り消しは必要なのである」。実相世界には時間は存在しない、空間も存在しない。それは、神が天の王国を創造する上での、確たる意思であったからだ。時間を妄想したのは、この幻想世界を心の外部に投射して疑似創造した神の子の心である。幻想世界がそもそも幻想なのだから、当然、時間も空間も幻想である。幻想世界で起きたことは幻想であり、したがって過去は実相的には決して起きたのではない。起きたようにあなたが錯覚しているだけだ。したがって、あなたが過去から解放されるには、あなたの心を幻想から解放させる必要がある。過去の取り消しが必要なのは、あなたの心の中においてのことなのだ。ところで、本文の最初の部分が疑問に残る。過去が過ぎ去ってしまったという理由は、神の意思だという内容にとることが出来るからだ。どういう意味だろう? 過去は単なる我々の幻想に過ぎず、神にはまったく関わりないものではないのか? しかし、過去が現実に起きたと幻想している我々にとって、もし、過去が過ぎ去らざるものだったらどうなるだろうか? 恐らく、いや確実に、我々は過去に押しつぶされて生きてはいけまい。そう考えると、我々が過去を幻想し、それを過ぎ去るものとして、過去を忘却していくことは、道に迷った我々に対する神の慈悲であると捉えていいのではないだろうか? ならば、神の慈悲にいつまでも甘んじていることは出来まい。時空間から解放されるために、つまり、時空間から救われるために、我々は幻想世界を捨て、実相世界に目覚めるべきではないか。
 
 
 
 
 
 
V. The Happy Dream
幸せな夢
 
 
 
1. Prepare you now for the undoing of what never was.
  • prepare [pripéə(r)] : 「〜を準備する、用意する、支度する、〜に用意させる、〜に準備させる」
  • undoing [ʌndúiŋ] : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
❖ "Prepare you now ~ "「決して起きもしなかったことを取り消す準備をしなさい」。過去を取り消しにする準備、時間という幻想を払拭する心の準備をしなさい。解放への第一歩である。



If you already understood the difference between truth and illusion, the Atonement would have no meaning.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • understood [ʌ̀ndə(r)stúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • difference [díf(ə)r(ə)ns] : 「違い、差異、相違」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間の」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "If you already understood ~ "仮定法過去、現在の事実に反することを仮定している、「もし、あなたがすでに、真実と幻想の間の違いを理解しているなら、」"the Atonement would ~ "「贖罪は、何の意味も持ってはいまい」。が、現実はその逆だ。ACIMの贖罪(Atonement)とは、神から分離することによって神の子が感じた罪の意識は、その分離は本当は起きなかったのだ、したがって、罪の意識は幻想なのだと悟ることを意味している。つまり、真実と幻想の区別がついているなら、贖罪は必要ないのである。意味はないのだ。しかし、我々は真実と幻想の区別をつけることが出来ないでいるから、贖罪(Atonement)は絶対必要とされるのである。



The holy instant, the holy relationship, the Holy Spirit's teaching, and all the means by which salvation is accomplished, would have no purpose.
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • teaching [tíːt∫iŋ] : 「教えること、指導、教示、授業、教授」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、遂行する、果たす、達成する、完成させる」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ 同様に、あなたが真実と幻想の違いを理解しているなら、"The holy instant ~ "「聖なる瞬間も、聖なる関係性も、ホーリー・スピリットの教えも、救いが達成されるための方法も、全く意味がなくなってしまうだろう」。その必要がないからだが、現実は、あなたは真実と幻想の区別が出来ていないから、そのすべてが必要なのである。



For they are all but aspects of the plan to change your dreams of fear to happy dreams, from which you waken easily to knowledge.
  • aspect [ǽspekt] : 「形勢、局面、状況、側面、特徴、様子、外見」
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定」
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • waken [wéikn] : 「目覚める」
  • easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、苦もなく」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
❖ "For they are all but ~ "「なぜなら、それらはすべて、恐れの夢を幸せな夢へ変える計画の一側面であるからである」。"from which you ~ "「そして、その幸せな夢から、あなたは簡単に叡智へと目覚めるのである」。聖なる瞬間も、聖なる関係性も、ホーリー・スピリットの教えも、救いが達成されるための方法も、すべて、幻想世界の恐れの夢から、実相世界を夢見る幸せな夢に転ずるためのチャンスを与えてくれるものである。そして、その実相世界の夢から覚めたとき、あなたは悟りの境地に行き着き、叡智(knowledge)を獲得するのである。叡智とは、仏教で言うところの般若(はんにゃ)である。頭脳的理解や理性的、分析的理解を超越した、全的、直覚的把握のことである。



Put yourself not in charge of this, for you cannot distinguish between advance and retreat.
  • charge [t∫ɑ́ː(r)dʒ] : 「義務、責任、問責」
  • put in charge of : 「〜を任せる」
  • distinguish [distíŋgwi∫] : 「見分ける、区別する、識別する」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間の」
  • advance [ədvǽns] : 「前進、進展、進歩、躍進、進出」
  • retreat [ritríːt] : 「後退、撤退、退却、避難」
❖ "Put yourself not ~ "「あなた自身に、この仕事をまかせてはいけない」。幻想世界の恐れの夢から実相世界の幸せな夢へと転ずる仕事を、一人で請け負ってはいけない。あなたには荷が重過ぎるからだ。ホーリー・スピリットの助けと指導が必要なのだ。"for you cannot ~ "「なぜなら、あなたは前進と後退の区別さえ出来ないのだから」。実相世界に近づいているのか、幻想世界に後退しているのか、その区別さえ出来ないのだから、自分自身を自分だけの力で実相世界へ導こうとしてはいけないのだ。道案内と、旅の伴侶が必要だ。



Some of your greatest advances you have judged as failures, and some of your deepest retreats you have evaluated as success.
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する」
  • failure [féiljə(r)] : 「失敗、不成功」
  • deep [díːp] : 「深い、強度の、極端な、重大な」
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「評価する、審査する、判断する」
  • success [səksés] : 「成功、上首尾、上出来、幸運」
❖ "Some of your greatest ~ "「あなたの最も大きな前進を、あなたは失敗であると判断したこともあったし、」"and some of your deepest ~ "「最も深刻な後退を、あなたは成功だと評価したこともあったのだ」。あなたの理性的判断や評価は、かなりいい加減だ。寄って立つ判断基準が幻想世界の、そしてさらにエゴの思考システムの基準であるから、前進と後退の判断を大きに誤ってきたのだ。たとえば、社会的に出世すれば前進、大成功と判断し、清貧に甘んずることを後退、社会的敗者と見なしたこともあったろう。それほど、あやふやな判断と評価なのである。
 
 
 

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