●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-25.III.8:1 ~ T-25.III.9:10

8. The Maker of the world of gentleness has perfect power to offset the world of violence and hate that seems to stand between you and His gentleness.
  • gentleness [gentlenessnis] : 「優しさ、穏やかさ」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
  • offset [ɔ́fsèt] : 「〜を相殺する、埋め合わせる、〜を弱める」
  • violence [váiələns] : 「暴力、暴行、暴力行為、暴力ざた、暴挙」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "The Maker of the world ~ "意訳する、「優しさの世界の作り手は、あなたと作り手の優しさの間に立ちはだかっているように見える暴力や憎悪を、この世界から取り除く完全なパワーをもっている」。"The Maker of the world of gentleness"「優しさの世界の作り手」とは、ホーリー・スピリットのこと。この世界は、神から分離した神の子の心が、心の外部に投射して作った幻想の世界である。これが、いわば、この世界の枠組みであって、その世界を動かしている二つの原理が、エゴの思考システムとホーリー・スピリットの思考システムである。ここで言う"The Maker"とは、したがって、思考システムのメーカーという意味である。そこで、あなたとホーリー・スピリットの間に立ちはだかっている暴力と憎悪とは、エゴの思考システムを象徴している。しかし、ホーリー・スピリットの思考システムは、そのエゴの思考システムを完全に駆逐することの出来るパワーを持っている、と言っているわけだ。つまり、あなたが、エゴの思考システムは幻想に過ぎないと見破ることの出来るヴィジョンを、ホーリー・スピリットはあなたに与えることが出来るのである。



It is not there in His forgiving eyes. And therefore it need not be there in yours.
  • forgiving [fərɡíviŋ] : 「寛大な、寛容な、赦しの」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
❖ "It is not there in ~ "「ホーリー・スピリットの赦しの目には、暴力と憎悪の世界は存在しない」。ホーリー・スピリットは、この暴力と憎悪の世界が単なる幻想に過ぎないと認識し、受け入れ受け流すことで、完全に赦したのである。そのとき、ホーリー・スピリットの目(His forgiving eyes)には、幻想の、暴力と憎悪の世界は消滅してしまったのだ。"And therefore it ~ "「したがって、あなたの目にも、この世界が存在する必要はない」。あなたも、ホーリー・スピリットと同様に、この幻想世界を赦すことで、幻想世界を消滅させることが出来る。なぜなら、ホーリー・スピリットはあなたの心の中に住んでいるからだ。



Sin is the fixed belief perception cannot change. What has been damned is damned and damned forever, being forever unforgivable.
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • fixed [fíkst] : 「固定した、定着した、一定の、不変の」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する」
  • damn [dǽm] : 「呪う、けなす、非難する、破滅させる、駄目と判定する」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • unforgivable [ʌ̀nfərɡívəbl] : 「許せない、容赦できない、弁解できない」
❖ "Sin is the fixed belief ~ "「罪は、知覚が変えることの出来ない固定概念(固着化した信念)である」。あなたの知覚が、同胞の心の中に罪を感知して、同胞に罪があると断定しているのではない。逆に、あなたが同胞の中に罪があって欲しいと望むから、あなたの知覚が同胞の心の中に罪を感知するのである。したがって、同胞の罪はあなたの欲望が作り出しているのであって、知覚が罪を変えることはない。罪とは、あなたの知覚が変えることの出来ない、あなたの欲望が作り出した固着的信念である。"What has been damned ~ "「非難されるべきものは非難され、永遠に非難され続け、永遠に赦されないのだ」。ここは、誤解を招きそうな箇所である。慎重に解釈しよう。まず、"damn"という言葉であるが、「罪を感知して非難する」という意味合いであろう。「地獄に落とす」という意味もあるのだが、ACIMには地獄という概念は登場しない。実際、対立概念の存在しない一元論実相世界なのだから、天の王国に対立する概念として地獄が存在する可能性はないのだ。もし、地獄が存在するとしたら、この幻想世界そのもの、ということになる。そこで、よく見ると、この文章は、エゴの思考システムから見たときの幻想世界の様相であることがわかる。罪という固定概念が知覚の有無にかかわらず存在し続けるのだから、本文のような光景が繰り広げられるのだ。したがって、全体の意味は、「エゴの思考システムを信じて、他者の心の中に罪があって欲しいと望む限り、この幻想世界にあっては、罪ありと断罪された者は、変わることなく断罪され続け、赦されることもない」という意味になる。"forever"「永遠に」とあるが、「変わることなく」と言い換えれば、意味が通りやすいだろう。



If, then, it is forgiven, sin's perception must have been wrong. And thus is change made possible.
  • forgiven [fərɡív] : 「forgive の過去分詞」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "If, then, it is forgiven ~ "「そこで、もし罪が赦されるなら、罪という知覚は誤っていたに違いないのだ」。前文は、幻想世界から見た罪の光景であったが、実相世界から眺めれば、罪の光景は、完全に変化して見える。実相世界に立って(つまり、ヴィジョンをとして)、罪ありと断罪された者の、その罪を見てみれば、それが、実は幻想に過ぎないと認識出来、何だ夢だったのかと気付いて、その罪の夢を受け流してしまえるのである。つまり、幻想の罪を赦せるのである。と同時に、罪があると見ていたその知覚それ自体も、欲望に支配された過ちに過ぎなかったのだと気付くことが出来るのである。"And thus is change ~ "「こうして、変化は可能になるのである」。視点を幻想から実相に変えることで、罪から無辜への変化が可能となるのだ。赦され、救われることが可能となるのだ。



The Holy Spirit, too, sees what He sees as far beyond the chance of change.
  • far beyond [bijάnd] : 「〜をはるかに超えて」
❖ "The Holy Spirit, too, sees ~ "「ホーリー・スピリットも同様に、変化のまた変化をはるかに超越して見えてくるものを、見ているのだ」。エゴの視点に立てば、同胞は永遠に変化することなく罪人に見える。しかし、ホーリー・スピリットの視点に立てば、同胞は永遠に変化することなく無辜に見えるのである。"too"とあるのは、ホーリー・スピリットも、エゴ同様に永遠に変化なく、そう見ている(as far beyond the chance of change)、という意味合いで使っている言葉。しかし、エゴの『永遠』とホーリー・スピリットの『永遠』は、意味合いも内容も全く異なる。存在のレベルが完全に異なるからだ。方や、偽の永遠であり、方や、真実の永遠である。



But on His vision sin cannot encroach, for sin has been corrected by His sight.
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、先見の明、洞察力、想像力」
  • encroach [inkróutʃ] : 「侵入する、侵害する」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
  • sight [sáit] : 「見解、視界、景色、光景、視覚、視力」
❖ "But on His vision sin ~ "「しかし、ホーリー・スピリットのヴィジョンから見れば、罪は侵入することすら出来ない」。"for sin has been ~ "「なぜなら、罪は、ホーリー・スピリットの(ヴィジョンによる)視覚によって、正されたからだ」。ホーリー・スピリットのヴィジョンによって、罪は幻想に過ぎないと見破られた。幻想の罪は赦され、消滅してしまったのだ。消滅したものが心に侵入出来るわけがない。そもそも、幻想が実相に入り込むことなど不可能なのだ。なぜなら、実相世界は真実だけが存在出来る場所であって、虚偽や幻想は一瞬たりとも存在出来ないのだから。虚偽や幻想は、天の王国の扉の前で、一瞬にして消滅してしまうと思えばいいだろう。



And thus it must have been an error, not a sin. For what it claimed could never be, has been.
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • claim [kléim] : 「主張する、断言する」
❖ "And thus it must have ~ "「こうして、罪だと知覚されたものは、過ちだったに違いなく、罪などではなかったのだ」。"For what it claimed ~ "「なぜなら、決してありもしなかったものが、あるとされてきたからだ」。ないものをあると勘違いしただけだから、それは過ちに過ぎないのだ、ということ。



Sin is attacked by punishment, and so preserved. But to forgive it is to change its state from error into truth.
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • punishment [pʌ́niʃmənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する、貯蔵する」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "Sin is attacked by ~ "「罪は罰によって攻撃され、それによって罪は温存されるのだ」。罪は赦しによって消滅するが、罪は罰によって現実化する。"But to forgive it is ~ "「しかし、赦すことは、その状況を過ちから真実へと変えることなのである」。罪の幻想性を赦すことで、罪は消滅する。そこに無辜性という真実が顔を見せるのである。状況は、過ちから真実へと大きく変わるのだ。



9. The Son of God could never sin, but he can wish for what would hurt him.
  • sin [sín] : 「罪を犯す」
  • wish for : 「所望する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜の感情を損なう、〜に苦痛を与える」
❖ "The Son of God could ~ "「神の子は罪を犯すことは決して出来ないが、」"but he can wish ~ "「自らを傷つけることを望んでしまうことはあり得る」。実相的に見れば、神の子は罪を犯すことは不可能だ。罪は真実ではないからだ。しかし、この幻想世界にあっては、自らを傷つけることを往々にして望んでしまうのである。つまり、エゴの思考システムに、自ら取り込まれてしまうのだ。これが、過ちである。



And he has the power to think he can be hurt. What could this be except a misperception of himself?
  • think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
  • except [iksépt〜を除いて、〜以外に] :「」
  • misperception : 「誤った知覚、誤解」
❖ "And he has the power ~ "「しかも、神の子は、傷つけられ得ると考えるパワーをもっている」。思い、想念は、それを現実化するパワーを有している。その思いが、肉体的存在の自分は傷つけられ得ると考えてしまうのである。その結果、思いは現実化し、肉体は傷つけられ得るようになる。しかし、肉体という幻想が傷つけられるとはどういうことか? 幻想が傷つけられても、実在それ自体は決して傷つけられ得ないと考えることは不可能なのか? 言うまでもなく、これに対して、身をもって答えた人間がいる。2000年前、イエスは磔刑と復活をもって、我々に真実を明かしたのである。"What could this be ~ "「しかし、傷つけられ得ると思うことは、神の子自身に対する誤った知覚以外に、何である可能性があるか」。真実の存在は傷つけられ得ない。傷つけられる存在があるとすれば、それは虚偽であり幻想である。



Is this a sin or a mistake, forgivable or not? Does he need help or condemnation?
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • help [hélp] : 「助力、助け、援助、支援、力添え」
  • condemnation [kὰndemnéiʃən] : 「有罪宣告、激しい非難、糾弾」
❖ "Is this a sin or ~ "「これは罪なのか、過ちなのか、赦され得るものか、赦されざるものか」。"Does he need help ~ "「そんな神の子に手助けが必要なのか、有罪の宣告が必要なのか」。もちろん、肉体が傷つけられ得るという知覚は誤りであって、誤りである限り修正出来るのだ。赦しを通して救われ得るのだ。



Is it your purpose that he be saved or damned? Forgetting not that what he is to you will make this choice your future?
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • damn [dǽm] : 「呪う、けなす、非難する、破滅させる、駄目と判定する」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、見落とす」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • future [fjúːtʃər] : 「未来、将来、今後、先行き」
❖ "Is it your purpose that ~ "「あなたの目的は、神の子が救われることか、非難されることか」。"Forgetting not that ~ "「that以下を忘れてはいけない」。"that what he is to you ~ "「あなたにとって神の子が何であるか、それが、(救われるべき者か、非難されるべき者か)の選択によって、あなたの未来を決定するだろう」そのことを、忘れないように。まさに自他一如であって、同胞をどう見るかが、あなたの未来の自分の姿を決定する。



For you make it now, the instant when all time becomes a means to reach a goal. Make, then, your choice.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
❖ "For you make it ~ "「なぜなら、今あなたがその選択をすれば、」"the instant when all ~ "「その瞬間、あらゆる時間というものは、目的に到達するための手段になってしまうからだ」。"Make, then, your ~ "「ならば、(その覚悟で、)決定しなさい」。ACIMの時間というものを説明しておこう。実相世界は無時間の世界であり、すべての事象が一瞬にして起き、その一瞬が永遠不変に持続する。いわば、今という時だけが無変化のまま永遠に存在するのだ。時間という枠組みを通して表現しようとすれば、そういう言い回しになってしまう。さて、実相世界には、すべての可能な事象がすでに起き、永遠に保存されている。つまり、想念が思い描く、可能性のあるすべての姿が保存されているのだ。その実相世界にあって、神の子は深い眠りに落ち、この幻想世界を夢に見ている。その夢もまた想念であり、いわば、眠れる神の子は、すでに存在するあらゆる想念の中から、自分の見たい想念を選択しているのだ。しかも、幻想世界は分離の世界であり、今という一つの時も、過去、現在、未来に分裂されてしまったのだ。したがって、神の子は、自分の見たい想念を時間を軸にして一つ一つ選び取って見る以外に方法はないのである。すでに存在するあらゆるシナリオの中から、時間という枠組みを通して、シナリオを選択し、すでに決まっている未来を、夢の中で追体験しているのである。ACIMの言う実相世界がホログラム的であると言われるゆえんである。



But recognize that in this choice the purpose of the world you see is chosen, and will be justified.
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • chosen [tʃóuzn] : 「choose の過去分詞形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当だと説明する、弁明する、正当化する」
❖ "But recognize that ~ "「しかし、that以下を認識しておきなさい」。"that in this choice ~ "「この選択によって、あなたが目にする世界の目的は選択されるであり、正当化されるのだ」ということは認識しておきなさい。肉体を選択するか心を選択するか、罪を選択するか無辜を選択するか、攻撃を選択するか赦しを選択するか、有罪宣告を選択するか救いを選択するか、今あなたが選択することによって、あなたの未来の世界が決定される。その未来の世界にあなたの目的を託し、あなたは目的にそった世界を正当化することになるのだ。
  
 
  
 


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