●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-25.VI.6:1 ~ T-25.VI.710

6. Salvation is no more than a reminder this world is not your home.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • no more than : 「ただの〜にすぎない、たかが〜」
  • reminder [rimáindər] : 「思い出させるもの」
❖ "Salvation is no more than ~ "「救いとは、この世界があなたの住み家ではないと思い起こさせる以上のものではない」。ACIMの救いは、幻想世界から実相世界への目覚めを意味する。この世界が幻想に過ぎず、実在する世界、神の子の故郷は天の王国なのだと認識することが救いなのだ。



Its laws are not imposed on you, its values are not yours. And nothing that you think you see in it is really there at all.
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす、かける、与える」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価、有用性、重要性」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "Its laws are not ~ "「この世界の法は、あなたの上に課せられているわけではないし、」"its values are ~ "「この世界の価値観は、あなたの価値観ではない」。幻想世界の法に従う必要はないし、その価値観を自分の価値観とする必要もない。"And nothing that ~ "「あなたがこの世界の中に見ていると思っているものは、何一つ現実にはまったく、そこにはないのだ」。そこにあるとあなたが知覚しているものは、実相的な視点に立って見ると、存在してはいない。すべて、幻想であり、あたかも実在しているかのように錯覚しているだけなのだ。すべて、あなたの心が作り出している映像に過ぎない。夢を見ているだけなのだ。



This is seen and understood as each one takes his part in its undoing, as he did in making it. He has the means for either, as he always did.
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • part [pάːrt] : 「分担、役、役目、役割、取り組み」
  • take one's part : 「本分を尽くす、役目を果たす、任務を果たす」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • undoing : 「解くこと、取り消し」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常にいつでも、相変わらず」
❖ "This is seen and ~ "「〜するにつれ、このことが見えてきて、理解されるのである」。"as each one takes ~ "「神の子がこの世界を作る役割を果たしたと同じように、神の子一人一人が、それを取り消しにする役割を果たしていくにつれ、」このことが見えてきて理解されるのである。神の子は、心の投射によってこの世界を偽創造した。それと同じ作業を逆方向へ、つまり、心の投射を止めることで、この世界を取り消しに出来るのである。映写機を止めて、スクリーンに映し出された映画を止めればいいのだ。そのとき初めて、この世界が実在ではなかったのだと理解出来るだろう。"He has the means ~ "「神の子は、いつもそうしてきたように、(幻想を)作ることも取り消すことも両方出来る手段を持っているのである」。つまり、心のパワーを持っているのだ。思いを現実化する強力なパワーである。心のパワーをもってすれば、思いを現実化して、そこにあるように感じることも出来るし、逆に、そこにあると知覚、錯覚しているものを消し去ることも出来るのである。



The specialness he chose to hurt himself did God appoint to be the means for his salvation, from the very instant that the choice was made.
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • chose [tʃóuz] : 「choose の過去形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • appoint [əpɔ́int] : 「〜を任命する、選任する、指名する」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "The specialness he ~ "「神の子が彼自身を傷つけるために選択した特別性を、神は、〜する瞬間にも、神の子の救いのためになる手段として任命したのである」。"from the very instant ~ "「その選択がなされた、まさにその瞬間にも」神の子の救いのためになる手段として、特別性がそうなることを神は命じたのだ。他者に罪を見出し、それを理由に攻撃を加え、自分の優位性を保持しようという特別性ではあるが、これは幻想なのだ。幻想である限り、それは取り消し出来るものであって、神は、特別性に対して、取り消されるべき使命を与えたのである。あなたが、特別性の取り消しを選択した瞬間、神は特別性を取り消しにしてくれる。幻想は消滅するのだ。取り消しと言ったが、正確には、あたかも弁証法の止揚(アウフヘーベン)のように、特別性を取り消して、さらに実相的な特別性へと質転換させるのである。



His special sin was made his special grace. His special hate became his special love.
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • grace [gréis] : 「恩恵、恩寵、神の愛」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • became [bikéim] : 「become の過去形」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
❖ "His special sin was ~ "「神の子の特別な罪は、神の子の特別な恩寵となる」。"His special hate ~ "「神の子の特別な嫌悪は、神の子の特別な愛になるのである」。特別性という幻想が取り消されたことで、幻想から実相へと質転換が起きる。それまで罪であり憎悪であった幻想が、恵みと愛という実相に質転換するのである。これが、ACIMの言う奇跡なのだ。あたかも、病を逆手にとって、病を取り消すことで殊更の健康を手に入れるようなものだ。これが、いわゆる、ヒーリングなのである。



7. The Holy Spirit needs your special function, that His may be fulfilled.
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • fulfill [fulfíl] : 「果たす、全うする、実行する、遂行する」
❖ "The Holy Spirit needs ~ "「ホーリー・スピリットは、〜するために、あなたの特別な役割を必要としている」。"that His may be ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、「ホーリー・スピリットの役割が成就出来るようにするために、」あなたの特別な役割を必要としている。ホーリー・スピリットは、神の子を実相世界に目覚めさせ、天の王国へ回帰させることを、その使命にしている。その役割を果たすためには、神の子であるあなたの協力が必要なのだ。あなたにはあなたの役割、あなたに特化した役割がある。



Think not you lack a special value here. You wanted it, and it is given you. All that you made can serve salvation easily and well.
  • lack [lǽk] : 「〜を欠く、〜が欠けている、十分にない」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く、〜に役立つ」
  • easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく」
❖ "Think not you lack ~ "「この世界において、あなたは特別な価値を欠いているなどと思ってはいけない」。あなたは、この世界で特別な役割を担っているのだから、確実に特別な価値を持っているのだ。神の子としての仕事があり、その仕事を担うことでホーリー・スピリットの仕事を助けるというパワーをもっている。決して、無価値な存在ではないのだ。"You wanted it ~ "「あなたは、その特別な価値を望んだのであるし、それはあなたに与えられたのだ」。幻想の特別性を望んだ心理の裏側には、特別な価値を担いたいという望みが隠されてあったのだ。あなたは、その望みの実現の方法を誤っただけである。しかし、今、あなたは本物の特別な役割を与えられ、実相的な真実の特別性に目覚めたのだ。"All that you made ~ "「あなたが(幻想として)作ったものはすべて、いともたやすく、そして十分に、救いの役に立つことが出来るのである」。幻想を取り消し、質転換して、実相へと目覚める救いの役に立つのだ。



The Son of God can make no choice the Holy Spirit cannot employ on his behalf, and not against himself.
  • make a choice : 「選択する、選んで取る、よって取る」
  • employ [emplɔ́i] : 「用いる、採用する、使用する」
  • on one's behalf [bihǽf] : 「〜のために、〜の利益になるように」
  • against [əgénst] : 「〜に不利に 、〜に反対して、〜に逆らって」
❖ "The Son of God can ~ "「神の子は、〜であるような選択は出来ない」。"choice the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットが、神の子のために、あるいは、神の子自身に反しないように、採用出来ないような選択は」神の子は出来ないのだ。二重否定になっているので、日本語的にはぐちゃぐちゃになってしまう。肯定文として意訳してみると、「ホーリー・スピリットが、神の子のために、そして神の子自身に反しないように、用意することの出来る選択だけを、神の子は出来るのだ」。神の子は、神の子の利益にならないような選択をすることは出来ない。利益になるような選択肢は、ホーリー・スピリットがちゃんと用意してくれる。



Only in darkness does your specialness appear to be attack.
  • darkness [dάːrknis] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • appear [əpíər] to be : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "Only in darkness ~ "「闇の中においてのみ、あなたの特別性は攻撃であるように見えるのだ」。幻想世界においてのみ、あなたの特別性は、他者に罪を見つけ出し、それを理由に攻撃するのだ。自分の優位を確信して、特別性を確保するためである。しかし、実相的には、その特別性を利用して、特別な救いの役割を担わせる手段に質転換することが出来るのである。



In light, you see it as your special function in the plan to save the Son of God from all attack, and let him understand that he is safe, as he has always been, and will remain in time and in eternity alike.
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で、別状がない」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
  • alike [əláik] : 「同様に、一様に」
❖ "In light, you see ~ "「光の(実相世界の)中にあっては、あなたは、特別性を、あらゆる攻撃から神の子を救ってくれる計画における特別な役割と見ることが出来るのだ」。"and let him understand ~ "「そして、その特別な役割は、that以下を神の子に理解させるのである」。"that he is safe, as he ~ "「神の子は、いつも安全であったように、安全であるし、」"and will remain ~ "「時間という枠組みの中にあっても、永遠の枠組みにあると同様に、安全であり続けるのである」ということを、神の子に理解させるのである。幻想世界における特別性が、実相的な特別な役割へと質転換するとき、神の子は実相に目覚め始め、過去も現在も未来も、かわらず安全であったし安全であると理解出来るのだ。なぜなら、特別性が追求する罪は幻想であり、攻撃さえも幻想であると理解出来るからだ。誰からも攻撃されることがないから安全なのだ。さらに、一時も離れることなく、神の子の側に神が付き添っていてくれることが肌で感じ取れるはずだ。これほど、安心を確信させてくれるものがあろうか。



This is the function given you for your brother. Take it gently, then, from your brother's hand, and let salvation be perfectly fulfilled in you. Do this one thing, that everything be given you.
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に」
❖ "This is the function ~ "「これが、あなたの同胞のために、あなたに与えられた役割である」。特別な関係性において特別性を追求していたあなたの、特別性が質転換した後の役割である。パートナーの罪を暴き攻撃するのではなく、パートナーの罪を幻想と認識して赦し、幻想世界から救い出すことが、あなたの特別な役割になったのだ。"Take it gently, then, from ~ "「ならば、あなたの同胞の手から、そっと、その役割を受け取りなさい」。同胞に対するあなたの役割を受け入れなさい。"and let salvation be ~ "「そして、あなたの心の中で、救いを完璧に成し遂げなさい」。"Do this one ~ "「これだけを成し遂げなさい」。"that everything ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、また、"be"は"should be"のこと、「その結果、あらゆるものがあなたに与えられることになるのだ」。もちろん、あらゆるものとは、実相世界のあらゆる真実、ということ。幻想世界のあらゆる物質という意味ではない。
 
 
 


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