9. Thoughts begin in the mind of the thinker, from which they reach outward. This is as true of God's Thinking as it is of yours.
- reach [ríːtʃ] : 「及ぶ、伸びる、向かう」
- outward [áutwərd] : 「外側へ、外へ」
- be true of : 「〜についてもいえる、〜に当てはまる」
❖ "Thoughts begin ~ "「思考は、思考する者の心の中で始まり、」"from which they ~ "「外側へと向かう」。"This is as ~ "「これは神の思考にも当てはまるし、あなたの思考にも当てはまる」。注意すべき点は、思考は頭脳から始まるのではなく、心から始まるという点。
Because your mind is split, you can perceive as well as think. Yet perception cannot escape the basic laws of mind.
- split [splít] : 「バラバラになる、裂ける」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
- as well as : 「〜と同様に」
- A as well as B : 「A も B も」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、感じ方」
- escape [iskéip] : 「逃げる、脱出する」
- basic [béisik] : 「基礎の、基本的な」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法則」
❖ "Because your mind ~ "「あなたの心は分裂しているので、」"you can perceive ~ "「あなたは思考するのはもちろんのこと、知覚もできる」。"Yet perception cannot ~ "「しかし、知覚は、心の基本的な法則から逃れることは出来ない」。心が分裂していなかったら、その心は統一性を保ち、神の下にある心である。神の世界は物質や形の世界ではなく、想念の世界なので、知覚という原始的な機能は必要ない。神から心が分離し、さらに心が分裂することで、形あるこの幻想世界が作られた。そこは物質と形の世界なので、分裂した私達の心は知覚という原始的機能を持つようになった。しかし、知覚は心に所属する機能であるから、心の法則に従わざるを得ない。
You perceive from your mind and project your perceptions outward.
- project [prədʒékt] : 「 〜を投影する、発射する」
❖ "You perceive from ~ "「あなたは、心で知覚し、」"from"とあるが、知覚の出所が心だということ、"and project your ~ "「あなたが知覚したものを外部へ投影する」。さりげない一文であるが、ACIMの思想の骨格をなす重要な文章である。ここは、心が知覚したいと望むものを外部世界に投影して、形ある世界を作っている、という意味である。投影されたものは実体ではなく(非実存)、幻想である。例えて言うなら、映写室が実相世界であり、心が映画のフィルムを生み出し、それが映し出されたスクリーンが幻想世界である。そのスクリーンに映し出された情景をあなたの知覚が見ている。圧倒的にリアルに見えるが、実体のない単なる映像である。
Although perception of any kind is unreal, you made it and the Holy Spirit can therefore use it well. He can inspire perception and lead it toward God.
- of any kind : 「いかなる種類の」
- unreal [ʌ̀nríəl] : 「実在しない、幻想的な」
- inspire [inspáiər] : 「活気を与える、吹き込む」
- lead [líːd] : 「〜を導く、案内する」
- toward [tɔ́ːrd] : 「〜の方へ、〜に向かって」
❖ "Although perception ~ "「いかなる種類の知覚であれ、それは実存しないのだが、」"you made it and ~ "「あなたはそれを作ったのであり、したがって、ホーリー・スピリットはそれを上手に使うことが出来る」。知覚は心が出発点となっているから、ホーリー・スピリットはあなたの心に作用して、誤った知覚を修正できるのだ。"He can inspire ~ "「ホーリー・スピリットは知覚に息吹を吹き込み、それを神の方向へと導いていく」。ホーリー・スピリットは時間と空間を学びのための補助装置として使うことを思い出そう。同様に、ホーリー・スピリットは非実在の知覚を学びのために利用するのである。
This convergence seems to be far in the future only because your mind is not in perfect alignment with the idea, and therefore does not want it now.
- convergence [kənvə́ːrdʒəns] : 「一点に集まること、収束」
- far [fɑ́ːr] : 「遠い、遠くへの」
- in the future : 「将来は」
- alignment [əláinmənt] : 「整列、1列に並んだもの、配列」
- in alignment with : 「〜と一直線になって、〜の路線に沿って」
❖ "This convergence seems ~ "「この(ホーリー・スピリットが知覚を神の方向へ導くという)収束は、遠い未来のことのように思えるかもしれない」。"only because ~ "「というのも、ただ〜だからだ」。"your mind is ~ "意訳すると「あなたの心がホーリー・スピリットの考えていることと完全には同じ方向を向いていないからであり、」"and therefore does ~ "「したがって、今、それを望んでいないからだ」。言い換えると、あなたの心がホーリー・スピリットの考えていることと完全に同じ方向を向き、それを心から望むなら、知覚が神の方向へ収束することは遠い未来ではなく今起きる、ということ。
10. The Holy Spirit uses time, but does not believe in it. Coming from God He uses everything for good, but He does not believe in what is not true.
- believe in : 「〜の存在を信じる」
❖ "The Holy Spirit uses ~ "「ホーリー・スピリットは時間を利用するが、信じてはいない」。"Coming from God ~ "分詞構文、理由、「ホーリー・スピリットは神からやって来ているので、すべてを良いことのために利用する」。"but He does not ~ "「しかし、ホーリー・スピリットは真実でないものを信じたりしない」。ホーリー・スピリットは時間が存在していないことを知っているが、それをうまく利用する。いわば、嘘も方便、というわけだ。
Since the Holy Spirit is in your mind, your mind can also believe only what is true. The Holy Spirit can speak only for this, because He speaks for God.
- speak for : 「〜を物語る、〜の代弁をする」
❖ "Since the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットはあなたの心の中にいるので、」"your mind can ~ "「あなたの心は真実であることのみを信じることが出来る」。"The Holy Spirit can ~ "「ホーリー・スピリットは、真実であることのためにのみ話しをすることが出来る」。"because He speaks ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットは神に代わって話をしているのだから」。神は幻想の一切と関わりをもたない。非実在のものと接触することはない。神の完全性から言って、それは不可能なのだ。そこで、神は神に代わって、幻想と関わり合いを持つことの出来るホーリー・スピリットを創造し、ホーリー・スピリットを神の子に遣わした。
He tells you to return your whole mind to God, because it has never left Him. If it has never left Him, you need only perceive it as it is to be returned.
- return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す、返却する」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
- left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
- leave [líːv] : 「〜から離れる、〜から出る」
❖ "He tells you to ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたの完全な心を神に返すようにあなたに言っている」。"because it has ~ "「なぜなら、あなたの心は決して神から離れたのではないからだ」。本当は、心は神から分離したのではない。心がそう思い込んでいるだけである。"If it has never ~ "「もし、心が神から決して離れていないのであれば、」" you need only ~ "「心を神に返すには、あなたは心をあるがままに知覚するだけでいい」。ここの文章にもACIMの基本思想が詰まっている。
The full awareness of the Atonement, then, is the recognition that the separation never occurred.
- full [fúl] : 「充満する、満ちた、完全な」
- awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、意識性 」
- atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い」
- recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、正当性の認識」
- separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、離脱」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
❖ "The full awareness ~ "「それならば、贖罪を十分に自覚するということは、」"is the recognition ~ "「(神からの)分離など決して起きなかったということを認識することである」。贖罪を十分に自覚するとは、贖罪の最終目的地をしっかり確保するということで、それは、神からの分離は決して起きなかったという認識なのである。神を裏切って神から分離してしまったという罪悪感は、分離が夢に過ぎないのだから、単なる幻想に過ぎない。罪を幻想だと認識し、夢を赦してしまう。それが贖罪である。罪は赦されて消滅するのだ。
The ego cannot prevail against this because it is an explicit statement that the ego never occurred.
- prevail [privéil] : 「勝つ、勝る、勝利を得る」
- prevail against : 「〜に打ち勝つ、〜をしのぐ」
- explicit [iksplísit] : 「明確な、明白な」
- statement [stéitmənt] : 「声明、メッセージ、陳述」
❖ "The ego cannot ~ "「エゴはこれに勝つことは出来ない」。これとは、神からの分離は起きなかったという事実。"because it is an ~ "「なぜなら、それは、エゴは決して生まれてこなかったという、明白なメッセージでもあるからだ」。エゴは、神から分離し、分裂した神の子の心が生み出したものである。したがって、神からの分離が起きなかったら、エゴも生まれなかったことになる。エゴとは、紛れもない幻想である。