9. Abilities must be developed before you can use them. This is not true of anything that God created, but it is the kindest solution possible for what you made.
- ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること、手腕」
- develop [divéləp] : 「開発する、発達させる、発展させる」
- be true of : 「〜についてもいえる、〜に当てはまる」
- kind [káind] : 「優しい、親切な、いたわる」
- solution [səlúːʃən] : 「解、解答、解決、解決策」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "Abilities must be ~ "「能力というものは、あなたがそれを使う前に開発されていなくてはならない」。"This is not ~ "「これは、神が創造したものには当てはまらないが、」"but it is the ~ "「しかし、あなたが作ったものに適用できる可能性のある、最も優しい解決策である」。まわりくどい言い方をしているが、要するに、神が創造したものは完璧であるから、能力というものを付与する必要はないが、あなたが作ったものは完璧ではないから、それが生き残るには何らかの能力を付与してやるのが、その作者の心優しさというものだ、ということ。
In an impossible situation, you can develop your abilities to the point where they can get you out of it. You have a Guide to how to develop them, but you have no commander except yourself.
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
- situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、場所、状態、立場」
- to the point of : 「〜まで、〜のところまで」
- get out : 「外へ出る、除去する、消す、外へ出す」
- guide [gáid] : 「案内人、指導者」
- commander [kəmǽndər] : 「司令官、指揮官、指揮者」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
❖ "In an impossible ~ "「不可能な状況において、あなたはあなたの能力を〜という地点まで発達されることが出来る」。"to the point ~ "「能力があなたをその不可能な状況から脱出させることが出来る地点まで、」能力を発達させることが出来る。ここでの"it"は"an impossible situation"。"You have a Guide ~ "「あなたには、能力の開発法を指導してくれる案内人がいる」。"but you have ~ "「しかし、あなたを除いて、命令を与えるような者は誰もいない」。"Guide"とはホーリー・スピリット、もちろん、イエス自身と考えてもいい。たとえば、肉体的な知覚はこの幻想世界を圧倒的にリアルに見せるので、夢から目覚めることはほとんど不可能に思える。しかし、ホーリー・スピリットの導きにしたがえば、その知覚を修正して、この世界を幻想だと認識出来るようになる。不可能と思われた知覚の能力を、可能な地点まで発達させ得るのだ。しかし、それを強制する命令者はいない。あなたが自分の自由意志で選択するのである。
This leaves you in charge of the Kingdom, with both a Guide to find it and a means to keep it.
- leave [líːv] : 「〜を任せる、頼む、委ねる」
- in charge of : 「〜を担当して、〜を任されて」
- both A and B : 「AもBも」
- means [míːnz] : 「手段、方法」
❖ "This leaves you ~ "「こうして、あなたは王国を任されることになる」。王国を任されるとは、神の下(もと)に回帰して神と供に暮らす、という意味合い。神の子が天の王国を神から継承すると考えてもいいが、難しく考える必要はなく、愛や喜びや美に包まれて、あなたの命を謳歌する、ということだ。"with both a ~ "「王国を見つけ出すための案内役を伴い、また、王国を維持する方法も与えられる」。案内役とは、ホーリー・スピリット、あるいはイエスのこと。王国を維持するとは、神と供に真実の拡張、実相的な創造を行う、という意味合い。
You have a model to follow who will strengthen your command, and never detract from it in any way.
- model [mɑ́dl] : 「手本、ひな型、見本、模範」
- follow [fɑ́lou] : 「〜の後について行く、〜に続く」
- strengthen [stréŋkθn] : 「〜を強くする、強化する」
- command [kəmǽnd] : 「自由に使える能力、駆使能力」
- detract [ditrǽkt] : 「減らす、損なう」
- in any way : 「何らか、多少なりとも、形はどうあれ」
❖ "You have a model ~ "「あなたには従っていける模範がいる」。関係代名詞"who"を使って「模範」を説明し、"who will strengthen ~ "「あなたの自由に使える能力を強化してくれ、どんなことでもその能力を弱めることのない」模範。ここの模範は案内役であるから、ホーリー・スピリット、あるいはイエスである。たとえばホーリー・スピリットは、あなたの知覚能力を修正強化して、真実を見極めることの出来るヴィジョンへと導いてくれる。
You therefore retain the central place in your imagined enslavement, which in itself demonstrates that you are not enslaved.
- retain [ritéin] : 「 〜を保有する、保つ」
- central place : 「中心地、中心位置」
- imagine [imǽdʒin] : 「想像する、心に描く」
- enslavement [ensléivmənt] : 「奴隷にすること、奴隷化」
- in itself : 「それ自体では、本質的に」
- demonstrate [démənstrèit] : 「実演する、はっきり示す」
- enslave [ensléiv] : 「〜をとりこにする、奴隷にする」
❖ "You therefore retain ~ "「だから、あなたは、想像された隷属状態において中心的な位置を維持する」。"which in itself ~ "「それは、それ自体、あなたは隷属していないことを示しているのだが」。さて、難解である。"your imagined enslavement"とはどういうことか? 想像する主体は『あなた』であろうから、隷属しているとあなたが勝手に想像していることになる。ではあなたが隷属していると感じている相手は誰か? エゴと同定したいところだが、文の流れから言って、ホーリー・スピリットととらえるのが自然であろう。ホーリー・スピリットはあなたが従わねばならない案内役(Guide)であり模範(model)であったから、あなたはあたかもホーリー・スピリットの命令に屈し、隷属しているように想像してしまうのである。しかし、そういう状況下にあっても、自由に使える能力を発揮している主体はあなたであるから、あなたは中心的位置に位置している(retain the central place)。しかたがって、隷属していると想像したあなたの判断は誤りであり、自由な想像や判断が可能であるから、すべての状況はあなたがホーリー・スピリットに隷属していない(you are not enslaved)ことを示している(demonstrates)。
ACIM原典のURTEXTには、神、ホーリー・スピリット、神の子、という主従関係があると記されている。しかし、それはこの世における支配や隷属を意味する主従関係ではなく、畏敬の念をもって接すべき関係性を意味している。ホーリー・スピリットの導きは命令ではなく、ホーリー・スピリットに従うあなたは奴隷ではない。あなたは、完全な自由意志をもって選択できるのだ。
10. You are in an impossible situation only because you think it is possible to be in one.
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
- situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、場所、状態、立場」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
❖ "You are in an ~ "「あなたが不可能な状況にいるのは、ただあなたが、不可能な状況にいることが可能だと思っているからである」。"one"は"an impossible situation"のこと。たとえば、肉体的な知覚は事象の全的把握は不可能なのだが、それは、そんな状況が可能だと信じているせいだ。ホーリー・スピリットはそんな知覚を修正し、いわば心の知覚、心の目を育ててくれる。ヴィジョンはすべてを見通し、叡智には不可能がない。
You would be in an impossible situation if God showed you your perfection, and proved to you that you were wrong.
- perfection [pərfékʃən] : 「完全、完成」
- prove [prúːv] : 「証明する、〜であると分かる」
- wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
❖ "You would be ~ "ここは典型的な仮定法過去、現在の事実に反することを仮定して述べている、「もし、神があなたにあなたの完全性を示しておいて、その上、あなたが誤っていると証明したなら、あなたは(まさに)不可能な状況にある」。神自体が創造した神の子に解決不可能な矛盾を突きつけたなら(そんなことは決してないのだが)、それこそ私達は解決不可能な状況に陥ってしまうしかない。しかし、神が、欠陥のある創造を行う道理はない。もし、道理があるなら、神が神自身を辱めていることになるではないか。
This would demonstrate that the perfect are inadequate to bring themselves to the awareness of their perfection, and thus side with the belief that those who have everything need help and are therefore helpless.
- inadequate [inǽdəkwət] : 「不十分な、不適切な」
- be inadequate to : 「〜するには不十分である」
- awareness [əwéərnəs] : 「認識、気付いていること」
- side with : 「〜側につく、〜に味方する」
- helpless [hélpləs] : 「無力な、頼りない」
❖ "This would demonstrate ~ "「こうしたことはthat以下を示している」。"that the perfect ~ "「完璧であることは、自身を完璧だと自覚させるには不十分であることを」示している。"and thus side ~ "「また、こうしたことはthat以下を信じることを支持する」。"that those who ~ "「すべてを持っているものでさえ助けは必要であり、それゆえ、無力だと」信じることを支持する。入り組んだ表現で理解しにくいのだが、この世では、完璧であることも、すべてを所有することもそれだけでは自己完結しない、ということだ。この世の知覚に依存すれば、完璧な者でさえ自己の完璧さを自覚できないし、すべてを持っている者でさえ欠落感を感じて安住できずに助けを求めてしまう。なぜなら、そこに神の承認が欠けているからだ。神なしで完璧さを手に入れることは出来ないし、神なしですべてを手に入れることも出来ない。あなたの完全性を示してくれるのは、神をおいて他にない。ここで、前文の"if God showed you your perfection"という表現がクローズアップされる。
This is the kind of "reasoning" in which the ego engages. God, Who knows that His creations are perfect, does not affront them.
- kind of : 「〜のようなこと、〜ようなもの」
- reasoning [ríːzəniŋ] : 「論法、推理、論理的思考、根拠」
- engage [engéidʒ] : 「従事する、携わる」
- affront [əfrʌ́nt] : 「〜を公然と侮辱する、辱める」
❖ "This is the kind ~ "「これは、エゴが関与する『論法』のようなものである」。"God, Who knows ~ "「神が創造したものは完璧であると知っている神が、創造したものを辱めることはない」。エゴの論法においては、完璧な者でさえ自己の完璧さを自覚できないし、すべてを持っている者でさえ欠落感を覚えて助けを必要とする。そこでエゴは、だから完璧な神などこの世界には存在しないのだ、とささやく。完璧、すべて、永遠、完成、完全、無限、等々は単なる想像の産物でしかなく現実に存在し得ない、とささやく。そして、エゴは、そういうあなたにさえも、エゴだけは助けの手を差し伸べてやろう、と誘惑する。神がいない今、あなたを救えるのはエゴしかいないのだから、と。
ところで、完璧さを自覚できない者は完璧でないのか? 欠落感を覚えて助けを求める者はすべてを持っていないと言い切れるか? しかし、両者とも神が創造したものである。ならば、両者とも完璧ですべてを持っているはずだ。神は創造物を辱めはしない(does not affront them)。完璧な者もすべてを持っている者も、それを自ら確信的に知覚できないだけなのである。それを知るには神の叡知が必要である、ということになる。
This would be as impossible as the ego's notion that it has affronted Him.
- notion [nóuʃən] : 「概念、考え、意見、意志」
"This would be ~ "「エゴの論法は、エゴのthat以下の考え同様不可能である」。"that it has ~ "「エゴが神を辱めた」という考え同様不可能である。エゴの思惑はことごとく神に通用しない。エゴと神は存在のレベルがあまりにも違うのだ。エゴの巧妙なへ理屈はまったく神には通じない。そもそも、神は幻想の一切と関わりをもたない。神はこの幻想世界と完全に無縁である。エゴがどんなに神を辱めても、その声は一切神の耳に聞こえない。