IV. The Only Answer
唯一の答え
1. Remember that the Holy Spirit is the Answer, not the question. The ego always speaks first.
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
- answer [ǽnsə(r)] : 「答え、回答、返事、応答」
- question [kwéstʃən] : 「質問、問題、疑問、問い」
- first [fə́ːrst] : 「初めて、最初に」
❖ "Remember that the ~ "「ホーリー・スピリットは答えであって、問いではないのだと、覚えておきなさい」。"The ego always ~ "「エゴはいつも、真っ先にしゃべり出す」。真っ先に疑問を呈し、脅し、しかし答えないのがエゴのやり方。
It is capricious and does not mean its maker well. It believes, and correctly, that its maker may withdraw his support from it at any moment.
- capricious [kəpríʃəs] : 「気まぐれな、移り気な」
- mean well : 「善かれと思う、好意を抱く」
- correctly [kəréktli] : 「正確に、正確に言えば」
- withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「引っ込める、取り消す、取り下げる」
- support [səpɔ́ːrt] : 「支え、支持、援助、応援」
- at any moment : 「今すぐにも、いつ何時 」
❖ "It is capricious ~ "「エゴは気まぐれであり、エゴを生み出した者を善かれと思っていない」。エゴを生み出したものとは、とりもなおさず、あなたの心である。"It believes, and ~ "「正確に言えば、エゴはthat以下を信じている」。"that its maker ~ "「エゴの生みの親は、今すぐにでも、エゴの支持を取り下げるかもしれない」とエゴは信じている。エゴは、あなたがエゴを裏切るのではないかと恐れている。だから、エゴは常にあなたを脅し、すかし、答えを与えずに逃げ隠れするのだ。エゴはまったく気まぐれである。
If it meant you well it would be glad, as the Holy Spirit will be glad when He has brought you home and you no longer need His guidance.
- meant [mént] : 「meanの過去・過去分詞形」
- glad [glǽd] : 「満足して、うれしく思う」
- brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
- bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って行く」
- no longer : 「もはや〜でない」
- guidance [gáidns] : 「助言、指導すること」
❖ "If it meant you ~ "仮定法過去、現在の事実に反することを言う、「もし、エゴがあなたを善かれと思っているなら、エゴは喜ぶであろうに」。"as the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットがあなたを家に連れ戻し、あなたがホーリー・スピリットの指導をもはや必要としなくなって、ホーリー・スピリットが喜ぶとき」エゴも喜ぶであろう。しかし、こんなことはない、というのが仮定法過去。エゴはあくまでもホーリー・スピリットに対立する立場を押し通す。
The ego does not regard itself as part of you. Herein lies its primary error, the foundation of its whole thought system.
- regard [rigɑ́ːrd] : 「〜を〜と見なす、考慮する」
- Herein [hìərín] : 「ここに、この中に、この点で」
- lie [lái] : 「横たわる、寝る、横たわっている」
- primary [práimèri] : 「第一の、主要な、最初の」
- foundation [faundéi∫n] : 「土台、礎、基盤」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
- thought system : 「思考システム」
❖ "The ego does ~ "「エゴは、自分があなたの一部だと見なしてはいない」。エゴはあなたの支配者であり、あなたはエゴの奴隷だと思っている。"Herein lies its ~ "「ここに、エゴの第一の誤りがある」。"the foundation of ~ "「そのエゴの第一の誤りは、エゴの思考システム全体の基礎となっている」。つまり、分離を基礎としているのだ。
2. When God created you He made you part of Him. That is why attack within the Kingdom is impossible. You made the ego without love, and so it does not love you.
- create [kriéit] : 「〜を創造する、作り出す」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃 」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
❖ "When God created ~ "「神があなたを創造したとき、神はあなたを神の一部とした」。あなたと神は分離していない。"That is why ~ "「それが、王国内での攻撃が不可能な理由である」。分離が存在しない実相世界では、自他の区別はない。したがって、他者を攻撃するという概念は存在しない。"You made the ~ "「あなたはエゴを愛なしで作った」。エゴは分離を象徴して神の子がでっち上げた幻想である。"and so it ~ "「それゆえ、エゴはあなたを愛してはいない」。
You could not remain within the Kingdom without love, and since the Kingdom is love, you believe that you are without it.
- remain [riméin] : 「とどまる、残る」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜のうちに」
- without [wiðáut] : 「外に、外側に」
❖ "You could not ~ "「あなたは、愛なくして王国の内に留まることは出来なかった」。"and since the ~ "「そして、王国は愛そのものなので、」"you believe that ~ "「あなたは、あなたが王国の外にいると信じている」。愛なきエゴを作ったのだから、愛のみの王国には入場できないと思い込んでいる。したがって、王国に入るには、エゴを捨ててホーリー・スピリットを選択すればいいのだ。しょせん、愛なきものは永遠ではないのだから。
This enables the ego to regard itself as separate and outside its maker, thus speaking for the part of your mind that believes you are separate and outside the Mind of God.
- enable [enéibl] : 「〜を可能にする」
- regard [rigɑ́ːrd] : 「〜を〜と見なす」
- separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の」
- speak for : 「弁護する、代弁をする」
- outside [áutsáid] : 「外側に、外部に」
❖ "This enables the ~ "「このことが、エゴが自分自身をその作り手の外に離れて存在しているのだと見なすことを可能にしている」。エゴはその作り手であるあなたの心から分離し、その外に独自に存在しているような顔をしている。"thus speaking for ~ "「このようにして、あなたが神の心から離れてその外に存在していると信じているあなたの心の一部に代わって話をしている」。つまりエゴが、あなたの心の、神から分離した部分の代弁者になっている、ということ。分裂した心の一部をエゴが支配しているわけだ。エゴは、独裁者としてあなたの心に君臨し、あなたを奴隷としている。
The ego, then, raised the first question that was ever asked, but one it can never answer. That question, "What are you? " was the beginning of doubt.
- raise [réiz] : 「引き起こす、提起する」
- beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり」
- doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑 」
❖ "The ego, then ~ "「そうしてエゴは、それまで一度も尋ねられたことのない初めての疑問を呈した」。"but one it ~ "「それは、エゴさえも答えられない疑問である」。"That question ~ "「その疑問とは『あなたは何ものであるか』というもので、これが疑いの始まりとなった」。つまり、アイデンティティの疑問である。心が神と共にあったときは、"What are you? "という疑問は存在しなかった。しかし、心が神から分離したとき、当然のこととして、"What are you? "という問題が生じた。エゴはその事情をよく知っている。あなたの心の弱みをしっかりとらえているのだ。
ところで、"What are you? "という疑問と、アテネのデルフォウスの神殿に刻まれた『汝自身を知れ(Know thyself)』という言葉には共通した命題が隠されている。そして、ソクラテスはその命題の哲学的重要性に気付いていた。
The ego has never answered any questions since, although it has raised a great many.
- answer [ǽnsə(r)] : 「〜に答える」
- great many : 「数々の、非常に多数の」
❖ "The ego has ~ "「エゴは、以来、いかなる疑問にも決して答えることはなかった」。"although it has ~ "「ただし、エゴは多数の疑問を呈してきたのが」。あなたの心をエゴの支配の内にとどめ置くために、エゴは、多くの疑問であなたに投げかけて、あなたの心をがんじがらめにしておく。しかし、決して答えという開放の鍵を与えない。
The most inventive activities of the ego have never done more than obscure the question, because you have the answer and the ego is afraid of you.
- inventive [invéntiv] : 「創作力のある、独創的な」
- activity [æktívəti] : 「活動、行動、営み」
- more than : 「〜を超える、〜より多い、〜を上回る」
- obscure [əbskjúər] : 「〜を曖昧にする」
- afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "The most inventive ~ "「エゴの最も独創的な活動と言っても、疑問を曖昧にすること以上のことをなしたことはない」。"because you have ~ "「なぜならば、あなたには答えはわかっているし、エゴは(そんな)あなたを恐れているからだ」。あなたは自分がスピリットであると知っているが、エゴはその答えをあなたから聞くのが恐ろしい。なぜなら、その答えはエゴの存在の否定へとつながってしまうからだ。そこで、エゴは疑問を呈するだけで、その後を曖昧にしてごまかそうとするわけである。