3. There are two major errors involved in this attempt. First, strictly speaking, conflict cannot be projected because it cannot be shared.
- major [méidʒər] : 「主要な、重要な」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う」
- involved : 「関係している、関連する」
- attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
- strictly speaking : 「厳密に言えば」
- conflict [kɑ́nflikt] : 「摩擦、葛藤、軋轢」
- project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する」
- share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
❖ "There are two ~ "「この試みには、大きなミスが二つ含まれている」。この試みとは、エゴが他者の心にコンフリクトを投影すること。"First, strictly speaking ~ "「第一に、厳密に言えば、コンフリクトというものは、分かち合うことが出来ないので、投影され得ない」。分かち合いを基盤とする実相的な投射になり得ない。神の投射は、神自身の拡張であり、実体のある真実を投射するのだから、その実体を分かち合って増大させることが出来る。一方、エゴの投影は、神の投射を模倣したものであって、ありもしない幻想(コンフリクト)を心の外のスクリーンに映し出して虚像を弄んでいるだけだ。たとえて言えば、あなたは単に映画の画面を見ているだけであって、あなたは映画の中に入り込むことは出来ないのだ(分かち合うことは出来ない)。
Any attempt to keep part of it and get rid of another part does not really mean anything.
- keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
- get rid of : 「取り除く、排除する」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは」
- mean [míːn] : 「〜を意味する、重要性を持つ」
❖ "Any attempt to ~ "「コンフリクトの一部を保持したまま、別の一部を排除する試みは、実際、何の意味も持たない」。たとえば、怒りというコンフリクトをあなたが心に抱えているとしよう。あなたは怒りを他者に投影し、他者を憎むことで怒りを排除しようとする。ところが、コンフリクトは複合的なもので、恐れや罪の意識や愛の欠如感など、怒りとはまた別の側面が複雑に絡まり合ったものである。コンフリクトの一部である怒りだけを投影によって排除しても、恐れなどの他の要因を保持したままなので、それは何の意味もない。
Remember that a conflicted teacher is a poor teacher and a poor learner.
- remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
- conflicted : 「矛盾した」
- poor [púər] : 「下手な、貧しい」
❖ "Remember that ~ "「コンフリクトを起こしている師は貧弱な師であり、貧弱な学習者であると、覚えておきなさい」。心にコンフリクトを起こしている者は、他者に真実を教える資格はない。また、コンフリクトの一部を投影でごまかしてしまおうという者は、真実を学ぶ資格はない。
His lessons are confused, and their transfer value is limited by his confusion.
- confuse [kənfjúːz] : 「混乱させる、困惑させる」
- confused : 「困惑した、混乱した、支離滅裂な」
- transfer [trænsfə́ːr] : 「移動、移転」
- value [vǽljuː] : 「価値、真価、評価」
- transfer value : 「譲渡価値」
- limit [límit] : 「限定する、制限する」
- confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、混同、混乱状態」
❖ "His lessons are ~ "「コンフリクトを起こした教師の教えるレッスンは混乱している」。心に混乱をきたした教師は、混乱したレッスンを教えてしまう。"and their transfer ~ "「そして、そのレッスンの譲渡価値は、教師が混乱しているために制限される」。心に混乱をきたした教師の教える混乱したレッスンは、学ぶ価値がない(教える価値が制限される)ということ。エゴの思考システムとホーリー・スピリットの思考システムが混在し、何をどう教えていいのか、混乱してしまうのだ。
The second error is the idea that you can get rid of something you do not want by giving it away. Giving it is how you keep it.
- second [sékənd] : 「第2の、2番目の」
- get rid of : 「取り除く、排除する」
- give away : 「ただで与える、引き渡す」
❖ "The second error ~ "「第二の誤りは、あなたが望んでいないものを、それを譲渡することで、排除できると考えていることである」。"Giving it is ~ "「与えるとは、それを保持する方法なのであるが」。実相的には、与えることと得ることは同一であり、与えることでそれを保持できる。しかし、この世にあっては、嫌なものを他者に押しつけることによって、それを排除できると信じられている。あなたを悩ます怒りを他者に投影してしまえば、怒りが鎮まると思い込んでいるのだ。
The belief that by seeing it outside you have excluded it from within is a complete distortion of the power of extension.
- outside [áutsáid] : 「外側に、外部に」
- exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、締め出す」
- within [wiðín] : 「内部、内側」
- complete [kəmplíːt] : 「完全な、徹底的な」
- distortion [distɔ́ːrʃən] : 「歪めること、歪曲」
- extension [iksténʃən] : 「拡張、延長、伸展」
❖ "The belief that ~ "「コンフリクトを外側に見ることで、あなたがそれを内側から排除したと信じることは、拡張のもつパワーの完全な歪曲である」。コンフリクトを外側に見るとは、コンフリクトを投影して、他者の中にそれを見る、ということ。拡張のもつパワーとは、創造や愛が分かち合われることで増大、拡張していく、そのパワーのこと。投影はコンフリクトを排除するパワーを持っていると信じることは、実相的な拡張のもつパワーを歪曲した結果である。
That is why those who project are vigilant for their own safety.
- vigilant [vídʒələnt] : 「油断がない、用心深い」
- safety [séifti] : 「安全、無事」
❖ "That is why ~ "「それは、投影した者が、自らの身の安全に用心深くなる理由である」。真の拡張は喜びを生むが、投影は、いつ相手から攻撃されるかと、心配ばかりしなくてはならない。自分の悪感情を投影したのだから、他者から悪感情をもって見られるに違いないと無意識的に分かっているからだ。人を憎めば、その人から憎まれるのは必至だ。他者の憎悪から身を守らなくてはならないと思うのだ。
They are afraid that their projections will return and hurt them.
- afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
- projection [prədʒékʃən] : 「投射、投影」
- return [ritə́ːrn] : 「戻る、帰る、返還する」
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
❖ "They are afraid ~ "「彼らはthat以下を恐れる」。"that their projections ~ "「彼らが投影したものが返ってきて、彼らを傷つけはしまいかと」恐れる。「投影したものが返って〜」とは、投影された相手が投影を返す、ということ。投影だけで済むならまだしも、肉体的な攻撃という形で返される危険性はある。どちらにしても、傷つかずにおれまい。
Believing they have blotted their projections from their own minds, they also believe their projections are trying to creep back in.
- blot [blɑ́t] : 「ふき取る、ぬぐい取る」
- creep [kríːp] : 「ゆっくり近づく、忍び寄る」
- creep in : 「はって入る、忍び込む」
❖ "Believing they have ~ "ここは分詞構文、譲歩「〜だけれど」「彼らは、彼ら自身の心から、投影したものをぬぐい去ってしまったと信じているが、」"they also believe ~ "「彼らはまた、彼らが投影したものが、元に戻って(再び心の中に)忍び込もうとしているのだとも信じている」。他者は自分を映す鏡であるから、いわば、他者への投影は鏡の中の自分に投影していることになる。投影は確実に自分自身に返ってくる。
Since the projections have not left their minds, they are forced to engage in constant activity in order not to recognize this.
- left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
- leave [líːv] : 「〜から離れる」
- force [fɔ́ːrs] : 「〜を強要する、強いる」
- engage [engéidʒ] : 「従事する、関与する」
- engage in : 「〜に従事する、〜に携わる」
- constant [kɑ́nstənt] : 「持続する、絶えず続く」
- activity [æktívəti] : 「活動、行動、取り組み」
- in order to : 「〜するために」
- recognize [rékəgnàiz] : 「認める、〜を認識する」
❖ "Since the projections ~ "「投影されたものは彼らの心から離れないので、」他者に投影しても、投影される本体は心に残ったままだ。映像はスクリーンに映し出されても、フィルムは映写機の中に入ったままである。"they are forced ~ "「彼らは、これを受け入れないようにするために、持続的な活動に従事しなくてはならない」。投影したものの本体が心に残っているので、それに目が行かないように、たえず忙しく仕事に没頭していなくてはならない。つまり、次から次へと投影を続けなくてはならない。幻想に幻想を重ねるのだ。恐れから逃れるためである。映画に例えるなら、スクリーンに映し出された映像を途絶えさせるわけにはいかない。映像が途絶えたりしたら、途端に映写機の中のフィルムに関心が向かってしまう。映画は見続けなくてはならない。映画の中に没入しなくてはならないくなるのだ。
4. You cannot perpetuate an illusion about another without perpetuating it about yourself.
- perpetuate [pərpétʃuèit] : 「〜を永続させる」
- illusion [ilúːʒən] : 「錯覚、空想、幻想」
❖ "You cannot perpetuate ~ "「あなたに関しての錯覚を永続させることなくして、他者についての錯覚を永続させることはできない」。逆に、自分自身への錯覚を消滅させれば、他者への錯覚も消滅する。
There is no way out of this, because it is impossible to fragment the mind.
- way out of : 「〜から抜け出る道」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、出来ない」
- fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
❖ "There is no way ~ "「これには抜け道がない」。"because it is ~ "「なぜなら、心を寸断することは不可能であるから」。他者に対する錯覚を保持しながら、自分の錯覚を消滅させることも、逆に自分に対する錯覚を保持しながら、他者への錯覚を消滅させることも、どちらも不可能。抜け道はない。それは、心の寸断を意味しており、心は寸断できない。つまり、錯覚を覚えながら覚醒することも、覚醒しながら錯覚することも出来ない。心は、幻想の世界で夢を見るか、覚醒して実在の世界を見るか、二つに一つである。
To fragment is to break into pieces, and mind cannot attack or be attacked.
- break into : 「割れて〜になる、壊れて〜になる」
- piece [píːs] : 「断片、部分品、一片」
❖ "To fragment is ~ "「寸断するとは、割って断片にすることだ」。しかし、心を寸断することは出来ない。したがって、"and mind cannot ~ "「そして、心は攻撃することも出来なければ、攻撃されることもない」。
The belief that it can, an error the ego always makes, underlies its whole use of projection.
- underlie [ʌ̀ndərlái] : 「〜の基礎にある、下に横たわる」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "The belief that ~ "「それが出来ると信じることは、」それとは、心を幻想と実相に分断し、攻撃したり攻撃されたりしながら傷つき得るということ。"an error the ego ~ "「エゴがいつも犯すミスなのだが、」"underlies its whole ~ "「それは、エゴが投影を利用するすべての根拠になっている」。エゴは心のもつパワーを利用して投影するのだが、実相的な心の力を誤解している。誤解と言うより、知らない、誤用していると言った方がいいかもしれない。
It does not understand what mind is, and therefore does not understand what you are.
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる」
❖ "It does not ~ "「エゴは、心が何たるかを理解していない」。"and therefore ~ "「したがって、エゴは、本当のあなたを理解していない」。"what mind is"は「本当の心」と訳してもいい。
Yet its existence is dependent on your mind, because the ego is your belief. The ego is a confusion in identification.
- existence [igzístns] : 「存在、実存、実在」
- dependent [dipéndənt] : 「頼っている、依存している」
- be dependent on : 「〜によって決まる、〜に依存している」
- identification [aidèntifəkéiʃən] : 「同一化、同定」
❖ "Yet its existence ~ "「しかし、エゴの存在はあなたの心に依存している」。"because the ego ~ "「なぜなら、エゴはあなたの信念なのだから」。つまり、あなたの心が信じて投影した幻想が、とりもなおさずエゴなのだ。心が神から分離したとき、心は神を恐れた。その堪え難い恐怖から逃れるために、自己を乖離し、別人格の自分を幻想の世界に投影した。それが、エゴである。したがって、"The ego is ~ "「エゴとは自己同一化の混乱である」。自己同一化の混乱から生まれたのがエゴ。神の復讐を恐れる自分を乖離し、神に対抗するエゴを自分と見立てたのだから、心は、投影した自己と投影された自己の、どちらの自己も抱え込んだのである。そこに、自己同一化の混乱が生じる。
Never having had a consistent model, it never developed consistently.
- consistent [kənsístənt] : 「一貫した、一貫性のある」
- model [mɑ́dl] : 「手本、見本、模範」
- develop [divéləp] : 「発展する、発達する」
- consistently [kənsístəntli] : 「一貫して、変わらず」
❖ "Never having had ~ "分詞構文、理由、「一貫したモデルをもったことがないので、」一貫したモデルとは、一貫した自己同定ということ。"it never developed ~ "「エゴは首尾一貫した発展をしなかった」。その場しのぎのごまかしで生き延びてきた。
It is the product of the misapplication of the laws of God by distorted minds that are misusing their power.
- product [prɑ́dəkt] : 「生産品、成果、結果」
- misapplication [misæ̀pləkéiʃən] : 「悪用、誤用」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令 」
- distort [distɔ́ːrt] : 「〜を歪める、歪曲する 」
- distorted : 「歪んだ、歪曲した」
- misuse [mìsjúːz] : 「誤用する、悪用する」
❖ "It is the product ~ "「エゴは、神の法を誤用してできた産物である」。"by distorted minds ~ "「自らのパワーを誤用し、歪められた心によって、」神の法を誤用してできた産物である。真実の拡張を幻想の投影として誤用した結果がエゴ。