12. The experience of an instant, however compelling it may be, is easily forgotten if you allow time to close over it.
- experience [ikspí(ə)riəns] : 「経験、体験、見聞」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- however [hauévə(r)] : 「どんなに〜でも、いかに〜であろうと」
- compelling [kəmpéliŋ] : 「強制的な、抵抗し難い、人の心をつかんで離さない、人を引き付ける」
- easily [íːz(ə)li] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
- forgotten [fə(r)gɑ́tn] : 「forget の過去分詞形」
- forget [fə(r)gét] : 「忘れる」
- allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
- close over : 「〜を囲んで襲い掛かる」
❖ "The experience of ~ "「一瞬の経験は、それがどんなに心をつかんで離さないようなものであっても、」"is easily forgotten if you ~ "「あなたが、時間に対してその経験を破壊することを許してしまうなら、一瞬の経験は、たやすく忘れ去られるのだ」。幻想世界は時間の存在する世界であり、永遠不変性は存在しない。いかに素晴らしい経験であっても、時間と共に色あせていく。幻想の宿命である。あなたが幻想世界の時間に制約されている限り、一瞬の経験は時間によって破壊され、忘れ去られていく。
It must be kept shining and gracious in your awareness of time, but not concealed within it. The instant remains. But where are you? - kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
- keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく、状態を保つ、〜にしておく」
- shining [ʃáiniŋ] : 「光る、輝く、きらめく、明るい」
- gracious [gréi∫əs] : 「親切な、優しい、優雅な、恵み深い、慈悲深い」
- awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、」
- conceal [kənsíːl] : 「隠す、隠匿する、秘密にする」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜のうちに、〜の範囲内で」
- remain [riméin] : 「残る、残存する、とどまる、滞在する」
❖ "It must be kept shining ~ "「一瞬の経験は、あなたが時間を意識している中にあっても、輝き続け優雅さを保っていなければならない」。一瞬の経験は、時間と共に色あせるのではなく、鮮明な記憶として存在し続けなければならない。ここでいう「一瞬の経験」とは、聖なる瞬間のような、実相世界と接触する一瞬と考えていいだろう。実相的な真実は永遠不変であるから、本来は色あせてしまうわけがないのだ。"The instant ~ "「瞬間とは、(あなたの心の中に)残存するものなのだ」。"But where are ~ "「しかし、あなたはどこにいるのか」。真実の瞬間の経験は時間と共に色あせれるが、あなたの心の中にその瞬間は生き続ける。しかし、あなたは時間と共に変化し、意識はその瞬間からどんどん離れていく。あなたは、真実の瞬間から離れていって、忘却の彼方へと向かう。いったい、実相世界と瞬間的な接触をもったあなたという実在は、今はどこにいるのか。時間の存在しない実相世界か、時間の存在する幻想世界か。答えはお分かりだろう。
To give thanks to one another is to appreciate the holy instant, and thus enable its results to be accepted and shared. - give thanks to : 「~に礼を述べる、~感謝をささげる」
- one another : 「お互い」
- appreciate [əpríː∫ièit] : 「感謝する、真価を認める」
- enable [enéibl] : 「~を可能にする、~に可能性を与える」
- result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
- accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- share [∫éə(r)] : 「~を分ける、分かち合う、共有する、共用する、共にする」
❖ "To give thanks to ~ "「(同胞同士、) お互いに感謝し合うということは、聖なる瞬間に感謝することであり、」"and thus enable its ~ "「そうすることで、その結果が受け入れられ、分かち合われることを可能とするのである」。あなたが同胞の過ちをあげつらうのではなく、その過ちは存在しなかったのだと認識して同胞の過ちを赦し、同胞の存在に対して感謝の気持ちを抱けるようになったとき、あなたは、神の子としての自他一如を、叡智をもって受け入れたことになる。あなたと同胞は単一であり、同胞を赦すことは自分を赦すことであり、同胞の存在に感謝することは自分の存在を、感謝をこめて受け入れることだ。こうして、あなたは、神の子としての存在の真実に肉薄し、実相的な聖なる瞬間に出合うことになる。これが、同胞に感謝することの結果であり、聖なる瞬間を同胞と分かち合うことの意味である。そのとき同時に、あなたは聖なる瞬間に出合えたことを、神に、あるいはホーリー・スピリットに感謝することになる。
To attack your brother is not to lose the instant, but to make it powerless in its effects.- attack [ətǽk] : 「~を襲う、~を攻撃する、~を非難する」
- lose [lúːz] : 「~を失う、見失う、喪失する、なくす」
- powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
- effect [ifékt] : 「効果、効力、結果、影響、作用」
❖ "To attack your brother ~ "「同胞を攻撃するとは、瞬間を失うことではなく、その効果の面において、瞬間のもつパワーを奪うことである」。実相世界への目覚めである聖なる瞬間に出合って、同胞との自他一如を知ったにも関わらず、また逆戻りして同胞の過ちを攻撃したりしたら、それは幻想世界に逆戻りしたことを意味する。一度経験した聖なる瞬間は失われてしまうことはないが、たとえあなたの記憶の中に残ってはいるものの、何のパワーも効果も発揮しない。したがって、実相的瞬間を経験したなら、逆戻りすることなく、実相世界へと突き進まなくてはならないのだ。それが、瞬間をあなたの中に生かし続ける唯一の方法であり、実相的パワーを身に付ける唯一の方法である。結局、聖なる瞬間は、それが最終目的ではない、ということである。瞬間を永遠に変えるために、実相世界へ命を再生することこそ、あなたの最終目的であるのだ。
13. You have received the holy instant, but you may have established a condition in which you cannot use it. - receive [risíːv] : 「~を受ける、受け取る、受領する、入手する」
- establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する、設置する、設立する」
- condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
❖ "You have received ~ "「あなたは、聖なる瞬間を受け取ったにもかかわらず、」"but you may have ~ "「それを利用できない状況を生み出してしまったのかもしれない」。実相世界に目覚める聖なる瞬間を授かったなら、その後に、実相世界へ旅立つ必要があるのだ。それを怠れば、何のための聖なる瞬間か、ということになる。聖なる瞬間を、単なる夏の花火で終わらせてはならない。
As a result, you do not realize that it is with you still. - result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果」
- as a result : 「結果として、結果的に」
- realize [ríːəlàiz] : 「~に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
- still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに、今もなお」
❖ "As a result, you ~ "「結果的に、あなたは、聖なる瞬間が今なおあなたと共にあることに気付かないのだ」。実相世界に目覚めはしたが、実相世界へ旅立つ気持ちがないために、実相世界それ自体を忘れてしまっている。聖なる瞬間がまだあなたの元にあるのに、つまり、実相世界へ旅立つ用意は出来ているのに、それに気付いていないのだ。
And by cutting yourself off from its expression, you have denied yourself its benefit. - cut off : 「切り取る、切除する、切断する、切り離す」
- expression [ikspré∫n] : 「表現、表出」
- deny [dinái] A B : 「AにBを与えない」
- benefit [bénəfit] : 「利益、収益、利点、メリット、便益、利得」
❖ "And by cutting ~ "「あなた自身を、聖なる瞬間の表現から切り離すことで、」"you have denied ~ "「あなたは、聖なる瞬間のメリットをあなた自身に与えないでいるのだ」。"its expression"「聖なる瞬間の表現」とは、聖なる瞬間を経験した後で、今度は自らの意思で実相世界へ旅立つこと。実相世界へ辿り着けば、あなたは真実なる実在をすべて得ることが出来るのに、旅立ちを怠ることでそのチャンスをみすみす逃しているのだ。
You reinforce this every time you attack your brother, for the attack must blind you to yourself. - reinforce [rìːinfɔ́ː(r)s] : 「強化する、補強する、強固にする、強める」
- attack [ətǽk] : 「~を襲う、~を攻撃する、~を非難する」
- attack : 「攻撃、暴行、襲撃」
- blind [bláind] : 「〜を失明させる、〜を盲目にする」
❖ "You reinforce this ~ "「あなたが同胞を攻撃するたびに、あなたはこのことを強化しているのだ」。同胞を攻撃するたびに、実相世界が与えてくれるメリットからどんどん遠ざかっていく。同胞は本来あなたと同一な存在である。実相的には同胞とあなたは単一なのだ。ところが、あなたが同胞を攻撃するとき、あなたは同胞を分離した者として扱っているのだから、真実から自らを遠ざけていることになる。幻想世界にとどまるあなたに、実相のメリットが与えられるわけがない。"for the attack must ~ "「なぜなら、攻撃はあなたをあなた自身に対して盲目とするに違いないからだ」。攻撃することで、真実が見えなくなり、あなたが神の子として同胞と同一なのだということさえ、あなたには見えなくなってしまう。
And it is impossible to deny yourself, and to recognize what has been given and received by you.- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- deny [dinái] : 「~を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- recognize [rékəgnàiz] : 「~を認識する、~を認証する、認める、受け入れる」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- receive [risíːv] : 「~を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "And it is impossible ~ "it ~ to ~ "の構文、「あなた自身を否定しておいて、あなたによって与えられたり受け取ったりしたのものを認識することは不可能である」。"deny yourself"「あなた自身を否定する」とは、あなたが神の子であることを否定すること。同胞を否定することはあなた自身を否定することと同じであるから、同胞を攻撃することは、結局、実相世界の真実を否定することと同様なのである。実相的な真実を否定しておきながら、真実の聖なる瞬間を受け取ったとか、真実なる愛をホーリー・スピリットに与えるとか、そういった真実の経験をあなたが受け入れることなど、まったく不可能なのだ。