8. Forgive me your illusions, and release me from punishment for what I have not done.
- forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
- forgive A B : 「Aに対してBを赦す」
- illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
- punishment [pʌ́ni∫mənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
- done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Forgive me your ~ "直訳すると、「私(イエス)に対して、あなたの幻想を赦しなさい」。このままだと意味が混乱する。イエスもあなたも神の子だから、二つは同等と考えて、「私」も「あなた」も、すべて「神の子」に置き換えてしまえば意味がはっきりするだろう。「神の子が幻想をもってしまったことを許しなさい」。"and release me from ~ "「そして、私がしてもいないことで罰せられることから、私を解放しなさい」。ここも、「そして、神の子がやってもいないことで罰せられることから、神の子を解放しなさい」。つまり、神の子であるあなたは、もちろん、イエスも含めて、神に対して罪を犯してしまったと思っているが、それは幻想であり、神から罰せられる違いないという幻想からも解放されなさい、ということ。神を裏切って神から分離したという事実はない。それは幻想であり、夢の中の出来事だった。ACIMの赦しとは、それが幻想であると認識して受け流してしまうこと。
So will you learn the freedom that I taught by teaching freedom to your brother, and so releasing me. - learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
- freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
- taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
❖ "So will you learn ~ "「そうすればあなたも、〜である自由が学べるだろう」。"that I taught by ~ "「私が、あなたの同胞に自由を教え、そして私を解放することで、(あなたに)教えることとなる」自由が学べるだろう。ちょっと物語的に解釈してみようか。2000年前、私(イエス)は、神を裏切ったという罪が幻想であると知り、罪の意識と罰の恐れから解放され、本当の自由を知った。私はそれを、私を慕ってくれた同胞に密かに教え、彼らも私を解放し、同時に彼ら自身も解放した。今、時は2000年が経過したのだが、私はあなたに、昔と同じような開放を促し、あなたに自由を学んで欲しいのだ。なぜなら、2000年前の私も、その時の同胞も、2000年が経過した今のあなたも、神の子として単一の存在であるからだ。私たちは永遠に同胞であり、一なる存在なのだ。
I am within your holy relationship, yet you would imprison me behind the obstacles you raise to freedom, and bar my way to you. - within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
- holy [hóuli] : 「神聖な」
- relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
- imprison [imprízn] : 「〜を刑務所に入れる、監禁する、拘置する、投獄する」
- behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に、〜の陰に」
- obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害物、邪魔」
- raise [réiz] : 「起こす、立てる」
- bar [bɑ́ː(r)] : 「ふさぐ、妨げる、出入りを禁じる、閉じ込める」
❖ "I am within your ~ "「私が、あなたの神聖な関係性の中にいるにも関わらず、」"yet you would imprison ~ "「あなたは、自由を妨害する障害物を立てて、その背後に私を閉じこめ、あなたに至る私の道を塞ぎたいと思っているのだ」。あなたは、ホーリー・スピリットとの神聖な関係性を構築しており、当然、キリストとしてのイエスの存在も、その神聖な関係性の中に含まれているのだ。しかし、あなたは、イエスは特別な存在であったと考え、あなたとイエスの間に垣根を作っている。しかし、本当は、あなたとイエスは神の子として単一であり、同体なのだ。ならば、イエスを自分として受け入れるべきだろう。ACIMの中には、具体的にどうしろ、とは書いていないが、あなたが何かの問題に直面したなら、イエスならどうするだろうかと考え、イエスならこうするだろうと思ったなら、勇気をもってそうすべきなのだ。それが、イエスを受け入れるということではないだろうか。イエスのように生きよとは、そこから始めるべきだろう。イエスのまねをせよということではない。そうではなく、イエスがあなたの中に住んでいると知って、イエスと同体で生きよ、ということである。
Yet it is not possible to keep away One Who is there already. - possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
- keep away : 「〜を離れた状態にしておく、近づけない、避ける」
- already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
❖ "Yet it is not possible ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「しかし、すでに神聖な関係性の中にいる一なる者を遠ざけておくことなど不可能なのだ」。"One"「一なる者」と訳したが、イエスのことだと思っていいだろう。もちろん、キリストだと思ってもいいし、神自身だと考えてもいい。所詮、すべては同一で、すべては神に収斂してしまうのだから。蛇足になるが、"one"を、他の者とは異なる特別な存在者と解釈しても、解釈出来ないことはない。しかし、実相世界が完全な平等世界であることを考えると、あるいは、神は決して特別扱いすることがないことを考えれば、"one"を他の者とは異なる特別な存在者と解釈することは、正道を外すように思える。思い過ごしだろうか?
And in him it is possible that our communion, where we are joined already, will be the focus of the new perception that will bring light to all the world, contained in you.- communion [kəmjúːniən] : 「交わり、親交、正餐」
- join [dʒɔ́in] : 「〜に加わる、〜に加入する、結び付ける、結合する」
- focus [fóukəs] : 「焦点、中心、的」
- perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
- light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
- contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、〜が入っている」
❖ "And in him it is ~ "「その一なる者の中にあってこそ、that以下は可能なのだ」。"that our communion, where ~ "「私たちの聖なる集いは、その集いで、私たちはすでに結合しているのだが、その聖なる集いは、」"will be the focus of ~ "「新しい知覚の中心になるであろう」。つまり、コミュニオン(聖なる集い)を通して、世界を見ることになるだろう。"that will bring light ~ "「その新しい知覚は、あなたの心の中に包み込まれた全世界に、光をもたらすことになるのだ」。新しい知覚は、あなたの心が幻想しているこの世界に、新しい光をもたらし、その光が照らし出した本当の姿があなたに見えてくるだろう。
i. The Attraction of Pain
痛みの魅力
9. Your little part is but to give the Holy Spirit the whole idea of sacrifice. - part [pɑ́ː(r)t] : 「分担、役、役目、役割」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
❖ "Your little part is but ~ "「あなたのほんの小さな役割とは、ホーリー・スピリットに、犠牲という考えのすべてを渡してしまうことである」。実相世界に犠牲という概念はないので、ホーリー・スピリットはあなたから受け取った犠牲という概念を、平和という概念に質転換して、あなたに返してくれる。
And to accept the peace he gives instead, without the limits that would hold its extension back, and so would limit your awareness of it. - accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、その代わりに」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- limit [límit] : 「限度、制限、限界」
- hold [hóuld] : 「〜の状態にしておく」
- extension [ikstén∫n] : 「拡張、伸長、延長、伸展」
- awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "And to accept the peace ~ "ここは前文からの引き続きで、あなたのほんの小さな役割とは、「その外に、ホーリー・スピリットが代わりに与えてくれる平和を受け入れることである」。"without the limits ~ "「平和の拡張を押しとどめるような制限を持たずに、」平和を受け入れることである。"and so would ~ "「制限を持ったとすれば、あなたの平和に対する意識を制限することになるのだ」。平和を独占しようなどと考えずに、平和を同胞達と分かち合って、拡張増大させなさい、ということ。
For what he gives must be extended if you would have its limitless power, and use it for the Son of God's release. - extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
- limitless [límitlis] : 「無限の」
- release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
❖ "For what he gives ~ "「なぜなら、もしあなたが、ホーリー・スピリットの無限のパワーを得て、そのパワーを、神の子の解放のために使いたいのであれば、ホーリー・スピリットが与えてくれるものは、拡張されねばならないからだ」。実相世界では、拡張と分かち合いは表裏一体である。したがって、あなたが、同胞の解放のためにホーリー・スピリットのパワーを使いたいのであれば、そのパワーを増大させるために、パワーを同胞達と分かち合い、拡張していく必要があるのだ。
It is not this you would be rid of, and having it you cannot limit it. If peace is homeless, so are you and so am I. - rid [ríd] : 「取り除く、取り出す、自由にする、解放する」
- be rid of : 「〜を免れる、脱する」
- homeless [hóumlis] : 「家のない、住む家もない」
❖ "It is not this you ~ "「あなたが逃れたいと思っているのは、これではない」。ホーリー・スピリットの無限のパワーから逃れたいと思っているはずはない。"and having it you ~ "「そのパワーを持ってしまえば、あなたはそれを制限することなど出来ないのだ」。無限に拡張増大するホーリー・スピリットのパワーに制限を掛けることなど不可能だ。いずれ、ホーリー・スピリットのパワーによって、平和は拡張増大していくのである。"If peace is ~ "「もし、平和に宿る家がなかったなら、あなたにも、私にも宿る家がないことになる」。つまり、平和はあなたの、そして神の子の、心の最も神聖な部分に宿るのだ。そのあなたと同胞達は、生まれた故郷の天の王国に回帰しなくてはならない。そこに家があるからだ。
And he who is our home is homeless with us. Is this your wish? Would you forever be a wanderer in search of peace? - wish [wí∫] : 「願い、願望、希望」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- wanderer [wάndərər] : 「放浪者、歩き回る人、さまよい歩く人」
- in search [sə́ː(r)t∫] of : 「〜を探し求めて」
❖ "And he who is ~ "「そして、私たちの家であるホーリー・スピリットもまた、我々と同じく家を無くしてしまうだろう」。平和が宿る場所があなたの心の最も神聖な部分であると同時に、その神聖な部分にホーリー・スピリットは宿る。そこが実相世界との接点になっており、我々が宿るべき場所でもあるのだ。したがって、心の神聖な部分を失ってしまったら、ホーリー・スピリットの宿る場所はなくなるし、我々の回帰すべき場所も失われてしまう。"Is this your ~ "「宿る場所を失うことが、あなたの望みであるのか」。"Would you forever be ~ "「あなたは、平和を求めて歩く、永遠の彷徨(さまよ)える人になりたいのか」。ホーリー・スピリットを失い、エゴと組して、永遠に、幻想世界を、平和を求めて彷徨い歩きたいのか。
Would you invest your hope of peace and happiness in what must fail?- invest [invést] : 「〜を注ぎ込む、〜を投資する、出資する、運用する」
- fail [féil] : 「失敗する、しくじる、破産する、倒産する」
❖ "Would you invest ~ "「あなたは、成功の見込みが全くないものに、平和と幸福の望みを投資したいと思っているのか」。まさに、あなたは、エゴと幻想世界に、あなたの命を預けてしまいたいのか。そんなことをしたら、あなたは、確実に平和も幸福も失ってしまうのだ。