●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-20.II.11:1 ~ T-20.III.1:7

11. Here is your savior and your friend, released from crucifixion through your vision, and free to lead you now where he would be.

  • savior [séivjə(r)] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「十字架刑、磔刑、はりつけの刑」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • be free to : 「自由に〜できる、〜するのは勝手だ」
  • lead [líːd] : 「〜を導く、案内する」
❖ "Here is your savior ~ "「ここに、あなたの救い主であり、同時にあなたの友である者がいる」。"released from crucifixion ~ "分詞構文、先頭に"being"を補うといい、「あなたのヴィジョンを通して、十字架から解放され、救い主がそこにいたいと思う場所に、あなたを自由に導いてくれるのだ」。あなたは、イエス・キリストの磔刑を幻想と見破り(through your vision)、その幻想を赦して受け流し、イエスを磔刑から救ったのだ。そのイエスが、今度は、あなたの救い主になって、あなたを天の王国(where he would be)へと導いてくれるのである。



He will not leave you, nor forsake the savior in his pain.
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • forsake [fə(r)séik] : 「〜を見捨てる、〜を見放す」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
❖ "He will not leave ~ "「救い主であるキリストが、あなたを置き去りにすることはないし、」"nor forsake the savior ~ "「痛みの中にいる救い主を見捨てることもない」。文の後半の"the savior"「救い主」とは、あなたのこと。イエスを磔刑という幻想から救ったから、イエスから見れば、あなたは救い主なのだ。



And gladly will you walk the way of innocence together, singing as you behold the open door of Heaven and recognize the home that called to you.
  • gladly [ɡlǽdli] : 「喜んで」
  • innocence [ínəs(ə)ns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、共に、同時に」
  • behold [bihóuld] : 「見る、見守る、注視する」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • call to : 「〜に声をかける、〜に呼びかける」
❖ "And gladly will you ~ "「そしてあなたは、嬉々として、(救い主であるキリストと)共に、無辜(むこ)の道を歩んでいくのである」。幻想の罪の意識から完全に解放され、ユリの様に純白な無辜性を謳歌しつつ、天の王国へと続く道を、キリストを道連れに歩いていくのである。"singing as you behold ~ "「歌いながら歩いていくと、天の王国の開かれた扉を目にするだろう」。"and recognize ~ "「そのときあなたは、あなたを呼び続けていた故郷が、この天の王国であったと気付くのである」。かくして、神の子の、天の王国への回帰は達成されるのだ。



Give joyously to one another the freedom and the strength to lead you there.
  • joyously [joyousli] : 「喜んで、嬉しくて」
  • one another : 「お互い」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • lead [líːd] : 「〜を導く、案内する」
❖ "Give joyously to ~ "「喜びの中で、あなたを天の王国へ導いてくれる自由と力を、(同胞同士)互いに与え合いなさい」。天の王国へ回帰するのは、あなた一人ではない。すべての神の子が天の王国へ回帰しなくてはならないのだ。なぜなら、神の子は単一の存在であり、天の王国で再統一されることになるからである。だから、あなたは同胞と、自由と力を分かち合いながら、天の王国へと歩いて行くのである。もちろん、そこには苦痛はなく、喜びが溢れている。しかも、あなたに同伴しているのはキリストであり、ホーリー・スピリットなのだから、なおさらその喜びは倍増するだろう。



And come before each other's holy altar where the strength and freedom wait, to offer and receive the bright awareness that leads you home.
  • before [bifɔ́ː(r)] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして、面前で」
  • each other : 「お互い」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
  • wait [wéit] : 「じっとしている、待つ」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • bright [bráit] : 「輝く、輝いている、光っている、まぶしい」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "And come before ~ "「そして、力と自由があなたを待っている、互いの、神聖な祭壇の前に、やって来なさい」。"to offer and receive ~ "「あなたを故郷の天の王国へ導いてくれる輝ける自覚を、(互いに)差し出し、受け取るのために」。天の王国へ向かうあなたと同胞の、その強い意思はどこから生じてくるのか? 幻想を捨てた神の子は、心の中の最も神聖で純粋な部分に神の祭壇をもっている。この祭壇こそ、この世界と実相世界を結ぶチャンネルになっており、そのチャンネルを通して、真実の力と自由があなたの帰還を待っているのだ(where the strength and freedom wait)。その呼び声に支えられて、あなたと同胞の強い意思が確立したのである。今、あなたと同胞は、互いの心の祭壇の前に立ち、必ず天の王国へ回帰するのだという輝くような自覚と覚悟を確信し合うのである(to offer and receive ~ )。



The lamp is lit in both of you for one another. And by the hands that gave it to your brother shall both of you be led past fear to love.
  • lamp [lǽmp] : 「ランプ、照明器具、灯火」
  • lit [lít] : 「light の過去・過去分詞形」
  • light [láit] : 「〜を点灯する、つける、〜に火を付ける、〜を燃やす」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方、両者」
  • one another : 「お互い」
  • led [léd] : 「lead の過去・過去分詞形」
  • past [pǽst] : 「過ぎて、通り越えて、通り越して」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "The lamp is lit in both ~ "「お互いのために、あなたと同胞の心の中にランプが灯される」。あなたと同胞が、天の王国へ向かう道の途中で躓(つまず)かないように、互いの心のランプの明かりで足下を照らし合うのだ。"And by the hands ~ "「あなたの同胞にランプの明かりを与えるその手によって、」"shall both of you ~ "「あなたも同胞も、恐れを通り越して、愛へと導かれていくのである」。ランプの明かり照らし出され、幻想の闇に躓くことはない。天の王国の光と愛へ、あなたと同胞は導かれていくのだ。
 
 
 
 
 
III. Sin as an Adjustment
罪への順応
 
 
 
1. The belief in sin is an adjustment. And an adjustment is a change; a shift in perception, or a belief that what was so before has been made different.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • adjustment [ədʒʌ́stmənt] : 「調節、適応、適合、加減、修正、調整、調停」
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • shift [∫íft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "The belief in sin ~ "「罪の存在を信じることは、罪に順応することである」。"And an adjustment ~ "「そして、順応するとは、変化することである」。"a shift in ~ "「それは知覚のシフトであり、」"or a belief that what ~ "「もともとそうであったものが、違うものに作り代えられ得ると信じることである」。本来、真に存在するものは実相世界のものであって、実相世界は永遠不変の世界であるから、真に存在するものも不変であるはずだ。不変であるものを、変化させ得るものと信じ込み、それを変化させてしまうことが順応である。まさに目先をごまかしてしまうことなので、知覚のシフト、ということになる。



Every adjustment is therefore a distortion, and calls upon defenses to uphold it against reality.
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがめること、歪曲、曲解、こじつけ」
  • call upon : 「求める、要求する」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • uphold [ʌphóuld] : 「支持する、支える、維持する」
  • against [əgénst] : 「〜に対して、〜に反対して、〜に逆らって」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "Every adjustment is ~ "「あらゆる順応は、したがって、歪曲に過ぎない」。"and calls upon defenses ~ "「したがって、順応したものを真実に対抗して維持するために、順応は防御を必要とするのである」。真実は一番安定しており、いわばエネルギー準位が一番低い状態である。その真実を歪曲すれば、状態は不安定になり、エネルギー準位は一気に高まる。高まったエネルギー準位は、より低い準位へ自然に落下するのであるが、それに抵抗するには、つまり、落下を阻止するには更なるエネルギーをつぎ込んで状態を維持、防御する必要がある。真実の歪曲である順応も、まったく同様なのだ。



Knowledge requires no adjustments and, in fact, is lost if any shift or change is undertaken.
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • require [rikwáiə(r)] : 「〜を必要とする、求める」
  • adjustment [ədʒʌ́stmənt] : 「調節、適応、適合、加減、修正、調整、調停」
  • in fact : 「事実上は、実は、内実は、実際に」
  • lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形、道に迷った、失った」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • shift [∫íft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • undertake [ʌ̀ndə(r)téik] : 「企てる、始める、〜に着手する、引き受ける、請け負う」
❖ "Knowledge requires ~ "「叡智は、まったく順応を必要としない」。"and, in fact, is ~ "「事実、何らかのシフトや変化が起きれば、叡智は失われてしまうのだ」。"Knowledge"「叡智」は、実相世界における、直覚による瞬時の全的把握のことである。仏教でいう「般若(はんにゃ)」に近いものだ。叡智は、最も心が安定した状態で生まれるものである。その意味では、叡智は、最もエネルギー準位の低い状態で出現するものなのだ。つまり、この世界のような、変化流動する、エネルギー準位の高い状態では、叡智は失われてしまうのである。



For this reduces it at once to mere perception; a way of looking in which certainty is lost and doubt has entered.
  • reduce [rid (j)úːs] : 「減らす、減じる、〜を…に変形する」
  • reduce to : 「〜まで減らす、〜に帰着する、〜に変換する」
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻、即座に、速やかに」
  • mere [míə(r)] : 「ほんの、単なる、全くの」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • way of looking : 「見方」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確信、確実なこと、必然」
  • doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
❖ "For this reduces it at once ~ "「なぜなら、シフトや変化は、瞬時にして叡智を単なる知覚に変えてしまうからだ」。したがって、実相世界の叡智は、この幻想世界では、肉体的な感覚器官による知覚へと堕落してしまうのだ。"a way of looking ~ "「その知覚とは、確信を失い、疑いが介入してくるももの見方のことである」。逆に言えば、疑いが介入してこない確信的なももの見方、まさに信じる心でものを見る、ということが叡智である、と言えるわけだ。



To this impaired condition are adjustments necessary, because it is not true.
  • impair [impéə(r)] : 「悪くする、損なう、害する、減じる、弱める」
  • condition [kəndí∫n] : 「状態、状況、様子、様相、事情、条件」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "To this impaired condition ~ "「(確信喪失と疑惑介入という)損(そこ)なわれた状態のために、順応が必要とされるのである」。つまり、確信喪失と疑惑介入に順応するのだ。"because it is ~ "「なぜなら、それは真実ではないからだ」。もし確信喪失と疑惑介入が真実なら、心がそれに順応する必要はない。それが、一番自然なことだからだ。しかし、順応せざるを得ないということは、確信喪失と疑惑介入は真実ではないからなのだ。



Who need adjust to truth, which calls on only what he is, to understand?
  • adjust [ədʒʌ́st] : 「順応する、適応する、慣れる」
  • adjust to : 「〜に適応する、順応する」
  • call on : 「求める、要求する、所望する、頼む」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "Who need adjust ~ "「誰が、真実に順応する必要があろう」。一番安定した状態が真実であるから、一時的に安定するために順応する必要はないのだ。"which calls on only ~ "「何かを理解しようとするとき、真実は、ありのままを要求するのだから」。虚偽に順応し粉飾した状態を、真実が求めるわけがない。真実は、ありのままを求めるのだ。むしろ、ありのままが真実である。
 
 
 

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