●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-20.II.9:1 ~ T-20.II.10:5

7. You have the vision now to look past all illusions. It has been given you to see no thorns, no strangers and no obstacles to peace.

  • vision [víʒ(ə)n] : 「視覚、視力、先見、洞察力、想像力」
  • past [pǽst] : 「〜を過ぎて、〜を越えて」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • thorn [θɔ́ː(r)n] : 「とげ、はり」
  • stranger [stréin(d)ʒə(r)] : 「見知らぬ人、よそ者」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害、妨害、邪魔」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
❖ "You have the vision ~ "「あなたは今や、あらゆる幻想を越えてものを見るヴィジョンを手にしたのだ」。あなたは今や、ホーリー・スピリットのヴィジョンをもつに至った。幻想に惑わされることなく、真実を見抜ける視力である。"It has been given ~ "「イバラのトゲも、見知らぬ人も、平和に対する障害も、(そんな幻想を)見ないために、(ホーリー・スピリットの)ヴィジョンはあなたに与えられたのだ」。



The fear of God is nothing to you now. Who is afraid to look upon illusions, knowing his savior stands beside him?
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • look upon : 「〜を見る」
  • savior [séivjə(r)] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • stand [stǽnd] : 「立つ、立っている」
  • beside [bisáidz] : 「〜のそばに、〜の傍らに、〜の脇に」
❖ "The fear of God is ~ "「神に対する恐れは、今やあなたにとって無である」。無意味だととってもいいし、神への恐れ自体が消滅した、ととってもいいだろう。"Who is afraid to ~ "「救い主が側に立っているのだと知りながら、一体誰が、幻想を見ることを怖がるだろう」。怖い夢を見て恐れる子供に、『それは夢なんだよ、安心しなさい』と言って聞かせる母親を連想すればいい。"savior"「救い主」とは、幻想世界から実相世界へと救い上げてくれる者。よって、ホーリー・スピリットと考えてもいいし、キリストと考えてもいい。直接、神と考えても差し支えない。なぜなら、一元論世界の実相世界では、ホーリー・スピリットもキリストも神も、究極的には単一の存在であるからだ。



With him, your vision has become the greatest power for the undoing of illusion that God himself could give.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • great [gréit] : 「大きな、巨大な、偉大な、卓越した、素晴らしい」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • undoing : 「解くこと、取り消し」
❖ "With him, your vision ~ "「救い主がいたおかげで、あなたのヴィジョンは幻想を取り消しに出来る、最も大きなパワーとなり得たのである」。"that God himself ~ "「そのパワーとは、神自身だけが与えることの出来るパワーである」。したがって、ここでは、救い主を神として語っている。となれば、ホーリー・スピリットやキリストは、救い主である神の使者ということになる。しかし、役割分担については、あまりこだわらなくていい。ここの"power"「パワー」は、もちろん権力を意味しているのではない。実相的パワーのことであって、神のパワー、奇跡のパワー、愛のパワー、真実のパワー、等々と考えていいだろう。まさに、心が心を動かすパワーである。



For what God gave the Holy Spirit, you have received. The Son of God looks unto you for his release.
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • looks unto : 「〜を頼みにする、〜を期待する、〜に期待を寄せる」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "For what God gave ~ "「なぜなら、神がホーリー・スピリットに与えたものを、あなたが受け取ったのだから」。神が、使者たるホーリー・スピリットに神のパワーを託し、あなたに与えたのだ。"The Son of God looks ~ "「神の子は、解放を求めて、あなたに期待しているのだ」。神のパワーを授かったあなたは、そのパワーを利用して、まだ解放されていない同胞達を解放へと導いて行かなくてはならない。パワーを授かったあなたには、同時に使命も与えられたのだ。解放と救いを同胞と分かち合うという使命だ。



For you have asked for and been given the strength to look upon this final obstacle, and see no thorns nor nails to crucify the Son of God, and crown him king of death.
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
  • obstacle [ɑ́bstəkl] : 「障害物、妨害、邪魔」
  • nail [néil] : 「くぎ」
  • crucify [krúːsifài] : 「十字架に架ける、磔刑に処す、はりつけにする」
  • crown [kráun] : 「〜を王にする、〜に冠する」
❖ "For you have asked for ~ "「なぜなら、あなたはパワーを求め、そして、この最後の障害を直視出来る力を与えられたのだから」。"and see no thorns nor ~ "その結果、「神の子を十字架にはりつけにし、神の子を死の王とする、イバラのトゲもはりつけの釘も、もう見ることはない」。真実を見るパワーを与えられたあなたには、もはや幻想の、イバラのトゲも釘も見えないのだ。真実の存在である、純白のユリの花が見え始めるのである。なぜなら、神の子は完全に無辜(むこ)であるからだ。



8. Your chosen home is on the other side, beyond the veil. It has been carefully prepared for you, and it is ready to receive you now.
  • chosen [t∫óuzn] : 「choose の過去分詞形、選ばれた、好きな」
  • on the other side : 「〜の他の側に、〜の反対側に」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの」
  • carefully [kéə(r)f(ə)li] : 「注意深く、丁寧に、慎重に、入念に」
  • prepare [pripéə(r)] : 「〜を準備する、用意する、支度する」
  • be prepared for : 「〜に対応できるように準備する、〜に備える」
  • ready [rédi] : 「用意ができている、支度が整った」
  • be ready to : 「いつでも〜できる、すぐに〜できる、〜する心構えができている」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "Your chosen home ~ "「あなたが選んだ住家は、ベールを越えた向こう側にある」。あなたは、実相世界こそが自分の住むべき場所だと選択したのだ。"It has been carefully prepared ~ "「実相世界は、あなたを受け入れるために入念に用意され、」"and it is ready to ~ "「今や、あなたを受け入れる準備は整った」。神はいつでもあなたを受け入れてくれる。神はずっと、あなたの回帰を待ち望んでいるのだ。



You will not see it with the body's eyes. Yet all you need you have.
  • eye [ái] : 「目、目玉、視力、視覚」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
❖ "You will not see ~ "「あなたは、肉体的な目を使っては、(ベールの向こうの)実相世界を見ることは出来ない」。"Yet all you ~ "「しかし、あなたは、必要なものはすべて持っているのだ」。心の目、ホーリー・スピリットのヴィジョンは、すでにあなたのものである。



Your home has called to you since time began, nor have you ever failed entirely to hear.
  • call to : 「〜に声をかける、〜に呼びかける」
  • since [síns] : 「以来ずっと、〜以後に、〜のときから」
  • began [bigǽn] : 「begin の過去形」
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
  • entirely [entáiə(r)li] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
  • hear [híə(r)] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる、耳にする」
❖ "Your home has ~ "「あなたの住家は、時が始まって以来ずっと、あなたに呼びかけている」。"nor have you ever ~ "「その呼び声が、あなたにまったく聞こえないということはあり得ないのだ」。あなたが神から分離し、実相世界を離れた瞬間、あなたは幻想世界を心の外部に投射した。その世界は時間と空間と物質の世界である。時間はあなたが作ったのだ。その瞬間から、あなたが捨てた実相世界は、あなたの回帰を待ち望んで、声を掛けているのである。しかも、あなたは気付いていないが、その声はあなたの心に届いているのである。



You heard, but knew not how to look, nor where. And now you know.
  • heard [hə́ː(r)d] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • knew [n(j)úː] : 「know の過去形」
  • how to : 「〜する方法、〜のやり方、〜の仕方」
❖ "You heard, but knew ~ "「あなたには呼び声は聞こえたのだが、どこをどうやって見ればいいかわからなかったのだ」。"And now you ~ "「しかし、今や、あなたは知っている」。あなたはこの世界が幻想の世界であることも、自分の故郷が実相世界であることも知った。しかも、あなたは、ホーリー・スピリットのヴィジョンを受け取ったのだ。



In you the knowledge lies, ready to be unveiled and freed from all the terror that kept it hidden. There is no fear in love.
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • ready to : 「いつでも〜できる、すぐに〜できる、〜する心構えができている」
  • unveil : 「〜のベールを取る、明かす、明らかにする、公表する」
  • free [fríː] : 「〜を自由にする、解放する」
  • terror [térə(r)] : 「恐怖、テロ」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
  • hidden [hídn] : 「hide の過去分詞形、隠された、秘密の」
❖ "In you the knowledge ~ "「あなたの心の中に、叡智が存在している」。"knowledge"「叡智」は、直覚的な全的把握のこと。仏教でいう「涅槃(ねはん:ニルヴァーナ)」「般若(はんにゃ)」に近い。"ready to be unveiled ~ "「その叡智は、ベールが取り除かれ、叡智を隠したままにしておいた恐怖から自由にされる準備が整っている」。叡智を欠いた神の子は、肉体的な感覚器官による知覚に頼らざるを得なかったのだ。その知覚が、神の子に恐怖を覚えさせるものだから、ますます叡智は心の中に隠されて来たのである。しかし、今、その肉体も知覚も幻想に過ぎないと知ったのだから、つまり、ベールが取り払われたので、叡智は神の子の心に復活するのである。復活祭は、神の子の復活を、そして、叡智の復活を祝う祭りだと言えよう。



The song of Easter is the glad refrain the Son of God was never crucified. Let us lift up our eyes together, not in fear but faith.
  • glad [glǽd] : 「嬉しい、満足して」
  • refrain [rifréin] : 「リフレイン、反復句、繰り返し文句」
  • crucify [krúːsifài] : 「十字架に架ける、磔刑に処す、はりつけにする」
  • lift up : 「〜を持ち上げる」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること信仰、信条、確信」
❖ "The song of Easter is ~ "「復活祭の歌は、神の子は決して十字架刑にされたのではないという、喜びの歌である」。イエスが磔刑に処せられたのは史実ではない、と言っているのではない。史実がどうであれ、イエスの磔刑は、幻想世界における夢であったのだ、と言っているのだ。"Let us lift up ~ "「恐れをもたず、信じる気持ちをもって、共に目を上げよう」。ホーリー・スピリットのヴィジョンをもって、真実を見よう。真実を見ることは恐ろしいことではない。それは喜びであり、平和である。そのことは、完全に信じていい。



And there will be no fear in us, for in our vision will be no illusions; only a pathway to the open door of Heaven, the home we share in quietness and where we live in gentleness and peace, as one together.
  • pathway [pǽθwèi] : 「小道、歩道、通路、経路、進路」
  • open door : 「開けっ放しの戸口、開□扉」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • quietness [kwáiətnis] : 「静寂、静けさ、平穏、沈静性」
  • gentleness [dʒéntlnis] : 「優しさ、穏やかさ」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
❖ "And there will be ~ "「そして、私たちの中に恐れはなくなるだろう」。"for in our vision ~ "「私たちのヴィジョンの中には、幻想の一かけらもないからだ」。恐れをもたらすのは幻想である。実相を見るヴィジョンには恐れはない。私たちのヴィジョンに見えてくるのは、"only a pathway to ~ "「ただ、天の王国の開かれた扉へ続く道であり、」"the home we share in ~ "「私たちが、静寂のなかで分かち合う住家である」。"and where we live ~ "「そして、その住家で、私たちは、優しさと平和の中、共に一体となって暮らすのである」。神の子は天の王国へ回帰し、静けさと平和の中、単一の神の子として生きるのである。
 
 
 

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