●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-21.VII.13:1 ~ T-21.VIII.1:7

13. Elusive happiness, or happiness in changing form that shifts with time and place, is an illusion that has no meaning.

  • elusive [ilúːsiv] : 「とらえどころのない、理解しにくい」
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき」
  • shift [ʃíft] : 「変わる、移る、転換する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "Elusive happiness ~ "「とらえどころのない幸せ、」つまり、掴んだと思ったら、すぐ消えてしまうような幸せ、"or happiness in ~ "「あるいは、時と場所によってころころ形を変える幸せは、」"is an illusion that ~ "「まったく意味のない幻想である」。実相世界は永遠不変の世界であり、実相的幸せもまた、永遠不変である。時間と共に変化し、消えてしまうような幸せは、実相世界の幸せではなく、したがって、幻想世界の幸せである。つまり、虚偽の幸せである。虚偽であるから、存在意味はない。



Happiness must be constant, because it is attained by giving up the wish for the inconstant.
  • constant [kάnstənt] : 「不変の、一定な」
  • attain [ətéin] : 「手に入れる、獲得する」
  • give up : 「断念する、放棄する、捨てる、見捨てる」
  • wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
  • inconstant : 「変わりやすい、気まぐれな、浮気な、移り気」
❖ "Happiness must ~ "「幸せは、不変でなくてはならない」。"because it is attained ~ "「なぜなら、(本当の)幸せは、変化することへの願望を放棄することによって得られるからである」。"the wish for the inconstant"「変化することへの願望」とは、すなわち、変化を常とする幻想を手に入れたいという願い。それを放棄するとは、究極、幻想世界を放棄することを意味する。幻想と虚偽を放棄することで、本当の実相的幸せは手に入る。変化を放棄して、永遠を手に入れるのである。



Joy cannot be perceived except through constant vision. And constant vision can be given only those who wish for constancy.
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、展望、構想」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • wish for : 「所望する」
❖ "Joy cannot be perceived ~ "「不変のヴィジョンを通して見る以外、喜びは知覚され得ない」。喜びも、幸せ同様、実相的実在であるから、肉体的知覚によって知ることは出来ない。実相を見ることの出来る心の目を通して、つまり、ヴィジョンをもって見ることで、喜びは感得できるのだ。



The power of the Son of God's desire remains the proof that he is wrong who sees himself as helpless.
  • desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • helpless [hélpləs] : 「無力な、頼りない」
❖ "The power of ~ "「神の子の願いがもつパワーは、依然として、自分自身を無力な者と見るのは誤りであるという証拠である」。思いや願いは、必ず現実化し、叶う。それが、願いのもつパワー、想念のパワーである。その想念のパワーを持っているのだから、自分自身を無力だと見ることは誤りなのだ。



Desire what you want, and you will look on it and think it real.
  • desire [dizáiər] : 「〜を望む、希望する、欲する」
  • look on : 「〜を見る」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の、実質的な」
❖ "Desire what ~ "「あなたの望むものを願ってみなさい」。"and you will ~ "「そうすれば、あなたはそれを目にすることになり、それが実在すると思うであろう」。思いは、必ず現実化するのだ。と言われて、札束の出現を願ってみる輩もあろう。それを願うなら、百万年ほど、じっと待ってみることだ。札束は現れるかも知れない。そんなに待てないと言うのであれば、ACIMを読むのは止めて、魔術の本でもを読むべきである。あるいは、手品の本でもいいかもしれない。



No thought but has the power to release or kill. And none can leave the thinker's mind, or leave him unaffected.
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、熟考、考え、見解」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜と別れる」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする」
  • unaffected : 「影響を受けない」
❖ "No thought but has ~ "「どんな思いも、解放するか殺すか、そのどちらかのパワーをもっている」。思いは正の向きのパワーも負の向きのパワーも、どちらの向きももつことが出来る。俗な言い方をすれば、呪いのパワーも実在する、ということになるか。"And none can leave ~ "「そして、どんな思いも、それを思った者の心から離れてしまうことは出来ないし、」"or leave him ~ "「思った者に影響を与えずにいることも出来ない」。思いは、独り歩きするものではなく、思った者の心を離れないのだ。そして、思いを抱く者に影響を与える。呪いのパワーも実在すると書いたが、その呪いは、呪った本人にも影響を与えるのだ。人を呪わば穴二つ、と言うではないか。あなたが人を呪うのであれば、墓穴を二つ用意しておく必要があるのだ。逆に、他者の幸せを願ったなら、当然、その願いは実現し、願ったあなたも幸せになるということである。
 
  
 
 
VIII. The Inner Shift
内面の転換
 
 
 
1. Are thoughts, then, dangerous? To bodies, yes! The thoughts that seem to kill are those that teach the thinker that he can be killed.
  • dangerous [déindʒərəs] : 「危険な、物騒な」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する、学ばせる、悟らせる」
❖ "Are thoughts ~ "「では、思いは危険なのか」。"To bodies ~ "「肉体にとっては、そうである」。"The thoughts that ~ "「人を殺すかもしれない思いは、that以下であるような思いのことだ」。"that teach the thinker ~ "「思いを抱いた者に対して、彼もまた殺される可能性のあることを教える、」そういう思いのことだ。簡単に言えば、人を殺そうと思うこと自体に、自分も殺される可能性を含んでいるということ。まさに、人を呪わば穴二つ、である。



And so he "dies" because of what he learned. He goes from life to death, the final proof he valued the inconstant more than constancy.
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し」
  • value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、重視する、大事にする」
  • inconstant : 「変わりやすい、気まぐれな、浮気な、移り気」
  • constancy [kάnstənsi] : 「不変性、恒常性」
❖ "And so he "dies" because of ~ "「そこで、殺され得ると学んだゆえに、彼は『死ぬ』のである」。殺すという思いは、死を現実化する。その死の現実化は自分も含めて現実化する。思いは、思う人を離れないのだ。したがって、彼も死ぬのである。"He goes from life ~ "「彼は生を離れて死に向かう」。"the final proof ~ "「彼が、不変なるものより変化を尊重したという、決定的な証拠である」。殺意を抱くとは、死を肯定することであって、永遠の命を捨てて、生から死へ向かう変化を選択したことを意味するのだ。その証拠なのである。



Surely he thought he wanted happiness. Yet he did not desire it because it was the truth, and therefore must be constant.
  • surely [ʃúərli] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に、必ず」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • desire [dizáiər] : 「〜を望む、希望する、欲する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • constant [kάnstənt] : 「不変の、一定な」
❖ "Surely he thought ~ "「確かに、彼は幸せを望んだと思ったのだ」。殺意を抱いたのも、死を肯定したのも、もとを正せば、自分が幸せになりたいと思っただけのことかもしれない。"Yet he did not desire ~ "「しかし、彼は、本当に幸せを願ったとは言えないのだ」。"because it was ~ "「なぜなら、幸せとは真実であって、したがって、不変なるものでなければならないからだ」。殺意と死は、変化を受け入れたことを意味する。反して、本当の幸せは、実相的不変性を有している。変化を受け入れながら、不変なるものを希求することは、原理的に不可能なのだ。したがって、殺意と死を願う者は、幸せを望んでいるとは言えないのだ。最後に、逆を考えておこう。実相的不変性を有する真の幸せを希求する者は、決して変化の象徴である死を受け入れることはない。死は幻想であると知っているからだ。彼は死なないのだ。さらに、死が幻想であるなら、どうして、他者を殺そうなどと発想するだろうか? かくして、彼は完全に平和と調和する。平和主義者になったいうのではない。彼の存在それ自体が、平和そのものになるのだ。
 
 
 

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