3. You have not realized it is impossible to understand what fails entirely to reach you.
- realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
- fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
- fail to : 「〜しない、〜しそこなう、〜できない」
- entirely [intáiərli] : 「全く、完全に、全体に、ひたすら」
- reach [ríːtʃ] : 「〜に届く、〜に達する、〜に至る、影響が及ぶ、〜の心を動かす」
❖ "You have not realized ~ "「あなたは、まだ、〜であることを自覚していない」。"it is impossible to ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「まったくあなた(の心)に届かないものを理解することは不可能なのだ」と自覚していない。あなたは、肉体の目で見て、頭脳による判断を経て、それを理解したように思っているだろうが、それは幻想世界の現象に対して有効な理解の仕方であって、心の目で見て、叡智で全的に把握するという、実相的理解があるのだということを、あなたは知らない。心に達しないものを、理解することは不可能なのだ。
You have received no messages at all you understand. For you have listened to what can never communicate at all. Think, then, what happens. - receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
- message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、連絡事項、通信」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
- listen to : 「耳を傾ける、聴く、聞く」
- communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、伝える、伝達する」
- happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸かる」
❖ "You have received no ~ "「あなたは、あなたが理解出来るようなメッセージをまったく受け取っていないのである」。あなたの能力不足を言っているのではない。あなたが心の目を閉ざし、心の最も純粋で神聖な部分にある正気さが受け取るべきメッセージを無視していることを言っているのだ。"For you have listened ~ "「なぜなら、あなたは、まったくコミュニケーション出来ないものに耳を傾けてきたからだ」。"what can never communicate"「コミュニケーション出来ないもの」という部分であるが、本来、コミュニケーションとは実相世界の実在との間のコミュニケーションを言うのであって、コミュニケーション出来ないものという表現には、結局、幻想世界の雑多な諸現象にばかり関わってきたというニュアンスがある。あなたは、実在しない幻想世界の諸現象にばかりに心を奪われ、実相世界を心の目で見てコミュニケーションを交わすという基本を忘れているのだ。"Think, then, what ~ "「ならば、何が起こるか、考えてみなさい」。
Denying what you are, and firm in faith that you are something else, this "something else" that you have made to be yourself becomes your sight. - deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- firm [fə́ːrm] : 「断固とした、確固たる、しっかりした、安定した」
- faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、信念、確信」
- something else: 「何か他のもの」
- become : 「〜になる」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
❖ "Denying what ~ "分詞構文、理由、「本来のあなたを否定し、」"and firm in faith ~ "「あなたが、(本来の自分とは)別の何かであると頑(かたく)なに信じているので、」"this "something else" that ~ "「あなたがあなた自身だとした、この『別の何か』が、あなたの視力になったのである」。つまり、『別の何か』が見る光景を、あなたが見ている光景だと信じたのである。あなたは、その昔、自己を解離し、神の子であるという本来の自分を否定して、エゴという別人格を作った。その別人格こそ、自分自身だと思い、別人格が見た幻想世界の諸現象を、実在の現象だと信じて来たのである。
Yet it must be the "something else" that sees, and as not you, explains its sight to you. - explain [ikspléin] : 「〜を説明する、明らかにする、釈明する」
❖ "Yet it must be ~ "意訳する、「しかし、あなたではない『別の何か』がものを見て、それがあなたの見た光景だと説明しているに違いないのだ」。本来のあなたではない『別の何か』が幻想世界を夢に見て、その見た夢が現実の光景であるとあなたに説明しているだけなのだ。あなたはそれを信じて疑わないから、夢の向こうに、真に実在する実相世界が広がっていることも、心の目がその実在の光景をとらえることが出来ることも、何も知らない。
Your vision would, of course, render this quite unnecessary. - vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、考え方、展望、構想」
- of course : 「もちろん、確かに、言うまでもなく、当然」
- render [réndər] [SVOC] : 「〜の状態にす」
- quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
- unnecessary [ʌnnésəsèri] : 「不必要な、無用な、不要な、意味のない」
❖ "Your vision would ~ "「もちろん、あなたのヴィジョンは、こんなことはまったく不要なものに変えてくれるのだ」。別人格を仕立て上げ、その人格に肉体の目を持たせ、ありもしない幻想の光景を見せて、これこそが現実の光景だ、などと語らせることなど、本来備わっている心の目、その目が捉えるヴィジョンを使えば、まったく不必要なことなのだ。
Yet if your eyes are closed and you have called upon this thing to lead you, asking it to explain to you the world it sees, you have no reason not to listen, nor to suspect that what it tells you is not true. - close [klóuz] : 「〜を閉じる、〜を閉める、〜を閉鎖する」
- call upon : 「求める、要求する、所望する、頼む」
- lead [líːd] : 「〜を導く、案内する、〜を率いる、指導する」
- explain [ikspléin] : 「〜を説明する、明らかにする、釈明する」
- reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
- suspect [səspékt] : 「〜を疑わしく思う、〜を本当ではないと思う、〜を信用しない」
- tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "Yet if your eyes are ~ "「しかし、あなたが心の目を閉じ、別の何かにあなたを導いて欲しいと頼み、別の何かが見る世界をあなたに説明して欲しいと頼めば、」"you have no reason not ~ "「あなたは、別の何かの言うことに耳を傾けないでいられる正当な理由はないし、別の何かがあなたに告げることは本当ではないのではないかと疑う正当な理由もない」。あなたは、ホーリー・スピリットの目を閉ざし、エゴの導きを求め、エゴに世界の説明を求め、エゴの言うことに耳を傾け、エゴの言うことを信じてきた。その結果は、どうであったか? 蛇足になるが、おもしろいことに、この文章をそっくりそのまま、『別の何か』をヴィジョンに置き換えて反転させても意味はきれいに通じるのだ。参考までに、反転させてみると、"Yet if your eyes are ~ "「しかし、もしあなたが、肉体の目を閉じ、このヴィジョンにあなたを導いて欲しいと頼み、ヴィジョンが見る世界をあなたに説明して欲しいと頼めば、」"you have no reason not ~ "「ヴィジョンが言うことに耳を傾けないでいられる正当な理由はないし、ヴィジョンがあなたに告げることは真実ではないのではないかと疑う正当な理由もないのだ」。
Reason would tell you it cannot be true because you do not understand it. God has no secrets. - reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
- secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事」
❖ "Reason would tell ~ "「正気さはあなたに、それは真実であり得ないと告げるだろう」。"because you do not ~ "「なぜなら、あなたはそれが理解出来ないからだ」。"God has no ~ "「神は、(理解出来ないような)秘密をもたない」。あなたの心の最も純粋で神聖な部分に住む正気さは、つまり、ホーリー・スピリットは、エゴの言うことは真実ではないと教えてくれる。なぜなら、あなたは、この世界の不条理が理解出来ないからであり、神は理解不能の不条理など創造しなかったからだ。簡単に言えば、真実は理解不能ではないのだ。逆に、理解不能であれば、それは真実ではない。神は、神の子が理解出来ないような謎も秘密も創造したことはない。
He does not lead you through a world of misery, waiting to tell you, at the journey's end, why he did this to you.- through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して、〜を介して」
- misery [mízəri] : 「悲惨、不幸、苦痛、惨めさ」
- wait [wéit] : 「〜を待つ」
- journey [dʒə́ːrni] : 「旅、行路、長期の旅行、道のり、道程」
❖ "He does not lead ~ "「神は、あなたを、悲惨な世界をくぐらせ、旅の終わりになってやっと、なぜあなたにこの悲惨さを与えたのか、(その理由を)告げようと待っているようなことはしない」。神は、この世界の悲惨さや不条理に、まったく無関係である。もう一歩踏み込んで言えば、神は、この世界にあってあなたに試練など与えない。人は苦境にあって、この試練は神が自分に与えた試みだなどと勘違いするが、神は試練を与えない。実相世界には、試練などという概念はない。神の辞書に試練という言葉はないのだ。本文は短いが、内容は非常に重要である。既成のキリスト教の教義と、真っ向からぶつかり合う部分である。
4. What could be secret from God's Will? Yet you believe that you have secrets. - secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事」
- will [wíl] ] : 「意志、精神力、意欲」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
❖ "What could be ~ "「いったい何が、神の意思から秘密にしておけるだろう」。神の意思は、秘密をもたないことである。その意思に反して、誰が真実を秘密にしておけるだろうか? 実相世界には秘密の真実など存在しない。実相世界の真実は、誰に対しても、いわば、無料で公開されているのだ。それが、神の意思である。"Yet you believe ~ "「しかし、あなたは、自分は秘密があると信じている」。この場合の秘密は、真実の秘密ではなく、暗い秘密、罪の匂いのする秘密のことである。
What could your secrets be except another "will" that is your own, apart from his? - except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
❖ "What could your ~ "「あなたの秘密とは、神の意思から離れた、あなた自身の別の『意思』以外に、何であり得るか」。つまり、あなたが秘密をもっていると主張している、そのあなたは、神の意思とはまったくかけ離れた『別の何か』であるあなたである。つまり、あなたのエゴが、神に対して、自分は秘密を保持出来ると主張しているのだ。エゴは、エゴの意思は神の意思から独立していると信じているのだ。
Reason would tell you that this is no secret that need be hidden as a sin. But a mistake indeed! - reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
- tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
- hidden [hídn] : 「hideの過去分詞形」
- hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち、手違い」
- indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
❖ "Reason would tell ~ "「正気さはあなたに、これは、罪として隠しておく必要のある秘密ではない、と告げている」。あなたの別人格であるエゴは、秘密は保持出来ると主張し、その秘密とは罪の意識なのだと言うだろうが、正気さそのものであるホーリー・スピリットは、罪の意識など秘密でも何でもない、と言う。"But a mistake ~ "「そうではなく、それは、まさに誤りだ」と、正気さは告げる。罪の意識は秘密にするべきものではなく、つまり、秘密でも何でもなく、罪の意識自体が誤りなのだと告げる。罪の意識は幻想に過ぎず、罪の意識の存在それ自体が誤りなのだ。
Let not your fear of sin protect it from correction, for the attraction of guilt is only fear. - fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
- correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正、補正」
- attraction [ətrǽkʃən] : 「引き付けるもの、魅力、誘引」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "Let not your fear ~ "「あなたの罪への恐れが、罪を正そうとすることを阻止しようとさせてはいけない」。罪を正すことに対する抵抗勢力は恐れである。"for the attraction ~ "「なぜなら、罪の意識に引き寄せるものは、ただ、恐れだけなのだから」。罪の意識と恐れは一体であり、罪の意識を修正することに抵抗しているのは、その恐れである。
Here is the one emotion that you made, whatever it may seem to be. - emotion [imóuʃən] : 「感情、情緒、感動」
- whatever [hwʌtévər] : 「何の〜が〜でも」
❖ "Here is the one ~ "「ここに、あなたが作った唯一の感情がある」。恐れという感情は実相世界には存在しない。あなたが幻想世界で作り出した感情である。"whatever it may ~ "「それが、どんな形に見えようとも」。つまり、恐れがどんな形に姿を変えようが、恐れという感情は、あなたが勝手に作り出した幻想なのだ。恐れという感情に実体はない。
This is the emotion of secrecy, of private thoughts and of the body. - secrecy [síːkrəsi] : 「内密、秘密、秘密にしておくこと、秘密主義」
- private [práivət] : 「個人の、私有の、私的な」
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思考、思索、熟考」
❖ "This is the emotion ~ "「これが、秘密の感情であり、個人的な思考の感情、肉体の感情である」。秘密にしておきたいという望みや個人的な思考や肉体的感覚の根底には、恐れという感情が存在する。むしろ、恐れという感情が、秘密や個人的思考や肉体感覚を生んでいると言った方がいいかもしれない。つまり、恐れが分離を生み出し保持しているのだ。
This is the one emotion that opposes love, and always leads to sight of differences and loss of sameness. - oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
- always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常に」
- lead to : 「〜に通じる、〜につながる、結果として〜に導く、結局〜となる」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
- difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
- loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
- sameness [séimnis] : 「同一性、類似、酷似、単調」
❖ "This is the one ~ "「これこそ、愛に対抗する唯一の感情である」。愛を汚し、かき消そうとするのは、恐れという感情である。"and always leads to ~ "「そして、常に、異質性を際立たせる光景に導き、同一性を失わせる結果となる」。恐れは分離を生み出し維持するから、すべてが異質でバラバラに見えるのである。恐れは、調和統一、同質性をかき消してしまうのだ。結合し、一体となることが恐ろしいのである。
Here is the one emotion that keeps you blind, dependent on the self you think you made to lead you through the world it made for you.- keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ、〜にしておく」
- blind [bláind] : 「目の不自由な、目の見えない、盲目の」
- dependent [dipéndənt] : 「頼っている、依存している、依存性の」
- dependent on : 「〜に頼っている、〜に依存している、〜次第である」
❖ "Here is the one ~ "「ここに、あなたを盲目に保とうとする唯一の感情がある」。恐れはあなたを盲目にする。つまり、真実から遠ざけるのだ。"dependent on the self ~ "「恐れがあなたのために作った世界をくぐり抜けるようにあなたを導くために、あなたが作ったと思っている自己なるものに依存させ続けるのだ」。少々意味が曖昧な訳になってしまった。解説しよう。神から分離した後、あなた(神の子)は、神を裏切ったという罪の意識に耐えきれなくなって自己を解離し、この幻想世界を心の外に投射して作ったのである。いわば、恐れがあなたのために作った世界である(the world it made for you)。その幻想世界を生き抜くためにあなたを導いてくれると思っているものが、あなたが別人格として作ったエゴであり(the self you think you made to lead you )、その別人格を、あなたはあなた自身であると信じているのだ。信じて依存しているのである(dependent on)。その依存を維持しているのが、恐れという感情なのだ。