I. The Message of the Holy Relationship
神聖な関係性からのメッセージ
1. Let reason take another step. If you attack whom God would heal and hate the one he loves, then you and your Creator have a different will. - reason [ríːzn] : 「理性、理知良識、分別、正気」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- attack [ətǽk] : 「~を襲う、~を攻撃する、~を非難する」
- heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する」
- hate [héit] : 「~を憎む、~をひどく嫌う」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- will [wíl] : 「意志、精神力、願望、意欲」
❖ "Let reason take ~ "「正気さに、もう一歩先を進ませてみよう」。"If you attack whom ~ "「もしあなたが、神がヒーリングする者を攻撃し、神が愛する者を嫌悪したなら、」"then you and your ~ "「その時は、あなたとあなたの創造主である神は、異なる意思を持っていることになる」。あなたと神の意思が調和、共鳴していない。神と神の子が分離したままである。
Yet if you are his will, what you must then believe is that you are not yourself. You can indeed believe this, and you do. And you have faith in this and see much evidence on its behalf. - believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
- faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、信念、確信」
- evidence [évədəns] : 「証拠、証言、痕跡、形跡」
- behalf [bihǽf] : 「支持、味方、利益」
- on one's behalf : 「~のために、~の利益になるように」
❖ "Yet if you are ~ "「もしあなたが、神の意思であるなら、」"what you must then ~ "「あなたが信じているに違いないものは、あなたはあなた自身ではないということである」。神の子であるあなたは、神の意思によって創造された。いわば、神の意思の分身であり、神の意思から分離されるものではない。しかし、今あなたが、神の意思と異なる意思を抱いていると信じているなら、それは、あなたが本来の自分自身ではないと思っていることを意味するのだ。"You can indeed ~ "「確かに、あなたはそう信じることが出来るし、そう信じている」。あなたは、神の意思に無関係な意思を持っていると信じることが出来るし、そう信じている。"And you have faith ~ "「あなたは、そう信じ、その証拠も沢山見ているのだ」。神の意思に反して行動出来るものと信じているし、神の意思に反していると思われる行いの数々を目撃している。ここの数行は、非常に解釈に苦しむ部分である。少し、掘り下げて考えてみよう。神の住む天の王国にあって、神はその愛を拡張する。そのために、神は自分自身に似せて、神の子を創造し、神の属性のすべてを与えた。いわば、神の意思を神の子に与えたのだ。神と神の子は、その同一の意思を通じて、さらに愛を拡張していった。神と神の子の意思は調和、共鳴し合っていたのだ。しかし、あるとき、神の子はふと、自分が神なしで神のように生きていけないものかと思ったのだ(tiny mad thought)。つまり、神の意思を離れて、神の子自身の意思で存在出来ないかと思ったのである。次の瞬間、神の子の思いは現実化し、神の子は神と分離し、天の王国から墜落したのである。(本当は、神の子は、ただ、深い眠りに陥って、神からの分離と天の王国からの墜落を夢に見ているに過ぎないのだが・・・。) さて、神から分離した神の子は、神の属性を失う。むしろ、進んで忘れ去ったのであろう。叡智(knowledge)も失い、純粋で神聖な心(holy part of mind)も忘れ、正気さ(reason)を手放した。代わりに手に入れたものは、神を裏切ったという罪の意識(sin)であり、神から罰せられるだろういう恐れ(fear)である。神の子は、その罪と罰の重圧に耐えきれなくなって自己を乖離する(get dissociated)。別人格(ego)を作り出し、心の外部に幻想世界を投射する(project)。この世界が、その幻想世界である。この幻想世界にあって、神の子は肉体を作り出し、叡智の代わりに頭脳による理性的判断を利用する。正気さの代わりに、エゴの狂気を採用するのである。さて、本文との関わりであるが、この幻想世界で生きるあなたは、あなたの意思を神の意思として認識することはない。本当は、あなたは神の子であって、神と意思を共有しているはずのだ。したがって、今、あなたが自分だと信じているあなたは、本当のあなたではないのだ。あなたは、自分の意思で選択し、自分の考えで行動していると思っているが、それは叡智ではなく、頭脳による理性的判断に依存して行動しているだけであって、あなたの理性はことごとく狂気的な道筋を辿って行くのだ。エゴの思考システムにしたがって生きて行くときの当然の帰結である。
And where, you wonder, does your strange uneasiness, your sense of being disconnected, and your haunting fear of lack of meaning in yourself arise? - wonder [wʌ́ndər] : 「疑問に思う、不思議に思う」
- strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
- uneasiness [ʌníːzinəs] : 「不安、心配、困惑」
- sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
- disconnect [dìskənékt] : 「~との接続を切る、~の電源を切る」
- disconnected : 「切断された、分離された、切れぎれの、離ればなれの」
- haunt [hɔ́ːnt] : 「頻繁に出入りする、~に出没する」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
- arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
❖ "And where, you wonder, does ~ "ここは最後の"arise"に繋がる、「〜はどこから生じるのかと、あなたはいぶかしく思っている」。"does your strange ~ "「あなたの奇妙な不安感、つながりを断たれたような感覚、あなたの心の中にあって頻繁に出没する、意味を欠いた恐れ、」それらがどころから来るのか、あなたはいぶかしく思っている。もちろん、神との分離、天の王国から離れていることから生じるのだ。
It is as though you wandered in without a plan of any kind except to wander off, for only that seems certain.- as though : 「まるで~であるかのように、まるで~するかのように」
- wander [wάndər] : 「さまよう、迷う、歩き回る、ぶらつく」
- without [wiðáut] : 「~なしで、~を持たないで、~なしに」
- plan [plǽn] : 「計画、企画、意向、つもり、考え、意図」
- of any kind : 「いかなる種類の」
- except [iksépt] : 「~を除いて、~以外に」
- wander off : 「~からそれる、~から外れる、迷子になる」
- certain [sə́ːrtn] : 「確信している、確実な、確かな、確信して」
❖ "It is as though ~ "「それは、まるで〜であるかのようだ」。"you wandered ~ "「道に迷ってしまうということ以外にどんな種類の計画もなく、(この幻想世界を)さまよっている」かのようだ。"for only that ~ "「なぜなら、それだけが確かなように見えるからだ」。そして、それは確かなのだ。幻想世界をさまよい歩いても、どこに行き着くわけでもない。それは、夜見る夢の中の、はかない徘徊と等しいのである。仏教では、無明という。
2. Yet we have heard a very similar description earlier, but it was not of you. - heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
- similar [símələr] : 「似ている、よく似た、同じような」
- description [diskrípʃən] : 「記述、描写、説明、解説 」
- earlier : 「前に」
❖ "Yet we have heard ~ "「しかし、以前に、非常に似た記述を耳にしたことがあったが、それは、あなたのことではなかった」。エゴの思考システムにどっぷりと浸かった者達の末路について語ったことがあったが、それはあなたのことを名指して言ったことではなかった。あなたのことを語ったのではないのに、あなたの耳に染み込んでいる。なぜなか?
But still this strange idea which it does accurately describe, you think is you. - idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想」
- accurately [ǽkjurətli] : 「正確に、正しく、きちんと、的確に」
- describe [diskráib] : 「~を表現する、述べる、言葉で表す、描写する、記述する」
❖ "But still this strange idea ~ "「しかし、的確に述べられた、この奇妙な思いは、なお、あなたについてのことだと、あなたは思っている」。この奇妙な思いとは、前段落の「あなたの奇妙な不安感、つながりを断たれたような感覚、あなたの心の中にあって頻繁に出没する、意味を欠いた恐れ」のこと。つまり、神からの分離感、天の王国という故郷を失った喪失感である。あなたは、確かにそれを感じているのだ。
Reason would tell you that the world you see through eyes that are not yours must make no sense to you. - tell [tél] : 「~に話す、言う、告げる、教える、伝える」
- through [θruː] : 「~を通じて、~の手を経て、~を介して」
- make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない、要領を得ない」
- make no sense to : 「〜に全く理解できない」
❖ "Reason would ~ "「正気さは、あなたにthat以下を告げてくれるだろう」。"that the world you see ~ "「あなたのものではない目を通してあなたが見る世界は、あなたにとってまったく意味をもたないに違いない」と告げてくれるだろう。"eyes that are not yours"「あなたのものではない目」とは、他者の目、という意味ではない。あなたの肉体的な目のことだ。肉体は幻想であり、肉体の目も幻想であり、幻想の目が捉える世界自体も幻想であって、意味がないのだ。神から分離し、叡智を失った神の子が、叡智の代わりに肉体的感覚器官を作り出しただけなのである。したがって、本文は、肉体的な目は、実相的存在であるあなたのものではない、という意味である。
To whom would seeing such as this send back its messages? - send back : 「送り返す、返送する、返信する」
- message[mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報、連絡事項、通信」
❖ "To whom would ~ "「いったい誰に向けて、このような目が見たメッセージを送り出すのか」。幻想の肉体的な目が捉えた幻想の光景を、いったい誰に見せようとするのか? 幻想を欲しがるものは幻想でしかない。つまり、幻想の頭脳(brain)が欲しがるだけなのだ。
Surely not you, whose sight is wholly independent of the eyes that look upon the world. - surely [ʃúərli] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に、必ず」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
- wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に、すっかり」
- independent [ìndipéndənt] : 「独立した、自主性のある、自立した、単独の」
- be independent of : 「~から独立している、~と無関係である」
- look upon : 「〜を見る」
❖ "Surely not you ~ "「確かに、この(幻想)世界を見ている目から完全に独立した視力を持つあなたに向かってではない。」実相的存在であるあなたには、心の目で見たヴィジョンが送られてくるのであって、肉体的な目が送ってくる幻想のメッセージは、あなたには不要だ。もちろん、言うまでもなく、"sight is wholly independent of the eyes that look upon the world"「この(幻想)世界を見ている目から完全に独立した視力」とは、心の目の視力、ヴィジョンのことである。
If this is not your vision, what can it show to you? The brain cannot interpret what your vision sees. - vision [víʒən] : 「視覚、視力、見ること、洞察力、想像力、展望、構想」
- brain [bréin] : 「脳、大脳、頭脳、知力」
- interpret [intə́ːrprit] : 「解釈する、解明する、説明する」
❖ "If this is not ~ "「もしこれが、あなたのヴィジョンでないなら、」"what can it ~ "「目で見た光景は、いったい何をあなたに見せてくれるのか」。目で見た光景は、あなたに真実のメッセージを伝えない。幻想の、錯覚のメーッセージだけである。あなたに真実を伝えるのはヴィジョンだけだ。"The brain cannot interpret ~ "「頭脳は、あなたのヴィジョンが見たことを解釈出来ないのだ」。肉体の頭脳が解釈出来るのは、肉体の目で見た幻想のメッセージだけである。心の目で見たヴィジョンは実相であり、頭脳とはその存在レベルが完全に異なるので、頭脳にはヴィジョンが理解出来ないのだ。
This you would understand. The brain interprets to the body, of which it is a part. - understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
- part [pάːrt] : 「一部、部分、体の一部、器官」
❖ "This you would ~ "「これは、あなたも理解するであろう」。"The brain interprets ~ "「頭脳は、肉体のために解釈するのであり、」"of which it ~ "「頭脳は、肉体の一部に過ぎないのだ」。頭脳は心ではない。心の目が捉えたヴィジョンとは無縁なのである。レベルがかけ離れているのだ。幻想の頭脳と、実相のヴィジョンである。
But what it says you cannot understand. Yet you have listened to it. And long and hard you tried to understand its messages.- listen to : 「耳を傾ける、聴く、聞く」
- long and hard : 「長く厳しい」
- try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
❖ "But what it says ~ "「しかし、頭脳が言うことを、あなたは理解出来ない」。頭脳が語ることは幻想である。実相のあなたには、頭脳の語る幻想の数々が理解不能なのだ。たとえば、愛は他者から奪うものだ、たとえば、得るためには奪え、等々、つまり、エゴの思考システムを採用している頭脳の語ることを、あなたの実相的心は理解出来ないのである。"Yet you have ~ "「ところが、あなたは、頭脳の言うことに耳を傾けてきたのだ」。心が理解出来ないのに、頭脳が語ることは正しいと、自分に言い聞かせてきたのだ。"And long and hard ~ "「長い間、一生懸命、あなたは、頭脳の語るメッセージを理解しようと努めてきたのである」。叡智(knowledge)を失ってしまった神の子の、当然の帰結と言えば、それまでのことなのだが。いずれ、肉体的な目に依存する知覚と、頭脳に依存する理性的判断、この二つの幻想を捨て、叡智とヴィジョンによる真実の直接的、全的把握に回帰する必要があるのだ。なぜなら、それ以外に、実相世界を見て知る手だてはないからだ。幻想世界を捨て、実相世界に回帰することは、そういう実質的な、あるいは実際的な側面を持っているのである。