●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-22.Intro.1:1 ~ T-22.Intro.2:8


 
A Course in Miracles

  
 
Text - Chapter 22
 
 
Salvation and the Holy Relationship

救いと神聖なる関係性
 
 
Introduction

 

1. Take pity on yourself, so long enslaved. Rejoice whom God hath joined have come together and need no longer look on sin apart.
  • pity [píti] : 「哀れみ、かわいそうなこと、同情、残念なこと」
  • take pity on : 「〜に同情を示す、〜を哀れむ、〜を気の毒に思う」
  • so long : 「非常に長く」
  • enslave [ensléiv] : 「〜をとりこにする、奴隷にする」
  • rejoice [ridʒɔ́is] : 「うれしがる、喜ぶ、祝う」
  • hath [hǽθ] : 「古体のhaveの三人称単数直説法現在形」
  • come together : 「一緒にやって来る、一緒になる、協力する、団結する、一体となる」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • look on : 「〜を見る」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
❖ "Take pity on yourself ~ "「長い間、捕らわれの身となっているあなた自身を哀れみなさい」。まだ幻想世界にとどまって、自由を奪われたあなたを不憫だと思いなさい。一方、"Rejoice whom God hath ~ "「神と結合し、一緒にやって来て、もはや別々になって罪を見る必要のなくなった者達よ、喜びなさい」。実相世界に回帰し(come together)、神と調和共鳴した(whom God hath joined)した神の子達は、分離が解消し(no longer apart)、神の子同士の心も結合して一体となり、もはや互いの心の中に罪の意識を見ることはなくなった((no longer look on sin)。それまで信じていた罪は、単なる幻想であると知ったからだ。かくして、神の子達は、喜びを謳歌するのである。あなたも、その仲間入りをしなさいと、暗に誘っているわけだ。



No two can look on sin together, for they could never see it in the same place and time.
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
❖ "No two can look ~ "「どの二人も、互いに罪を見つけることなど出来ないのだ」。"for they could never ~ "「なぜなら、どの二人も、同一の場所に、同一の時に、罪を見ることなど決して不可能だからだ」。実相世界に回帰した神の子は分離が解消される。つまり、神の子同士の心が再び融合し、一体となるのだ。一体となった二人の神の子が、互いに互いを見つめて罪を認識することなど、原理的に不可能になるのだ。つまり、二人は、実相世界にあっては、同一の場所と同一の時を占めているのだ(in the same place and time)。もっとも、実相世界は無時間、無空間の世界であるから、同一の場所、同一の時間という表現はいささか正確さを欠く。時間という枠組み中で、あえて表現するとそうなる、という程度に捉えておけばいいだろう。



Sin is a strictly individual perception, seen in the other yet believed by each to be within himself.
  • strictly [stríktli] : 「厳重に、正確に、厳しく、完全に、厳密に」
  • individual [ìndəvídʒuəl] : 「個人の、個人的な、個性的な」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • other [ʌ́ðər] : 「ほかの、そのほかの、残りの、もう一方の、向こうの」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • each [íːtʃ] : 「各々、それぞれ、めいめい」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜以内で、〜のうちに」
❖ "Sin is a strictly ~ "「罪の意識とは、厳密に言えば、個人的な知覚である」。"seen in the other ~ "分詞構文、先頭に"being"を補うといい、理由、「罪とは、互いに、自分自身の中にあると信じながら、他者の中にそれを見いだすものだからである」。簡単に言えば、罪とは、自分自身の中に罪の意識があり、それを外部の他者に投影して、他者に罪があるように知覚されるものだ、ということ。だから、幻想世界にあっては、互いに罪ありと非難し合っていた者同士が、実相世界では、その二人は融合して単一の存在となるのだから、罪ありと知覚することすら不可能になるのだ。



And each one seems to make a different error, and one the other cannot understand.
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "And each one seems ~ "「そして、互いが、異なった過ちを犯しているかのように見え、」"and one the other ~ "「その過ちは、他者には理解出来ないことのように見えるのだ」。理解出来ないから、他者を罪ありと責めるのだ。これが、幻想世界での人と人の関わり合い方の一般形である。



Brother, it is the same, made by the same, and forgiven for its maker in the same way.
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • in the same way : 「同じように、同様に」
❖ しかし、"Brother, it is the same ~ "「兄弟よ、それは同じことなのだ」。"made by the same ~ "「同じものによって過ちは犯され、同じ方法で、過ちを犯したもののために赦されるのである」。幻想世界では神の子は分離して存在しているが、それは夢の中で分離し独立しているかに見えるだけで、本当は、実相的には分離もしていなければ分裂もしていない。皆、同じ、単一の存在なのだ。別々に過ちを犯しているかに見えるが、それすら同一の神の子が犯す過ちであり、過ちが別々に赦されるかに見えるが、本当は、ホーリー・スピリットや神によって、単一の神の子のために、赦されるのである。赦されるとは、犯した過ちは、単なる幻想に過ぎないと認識させてくれる、ということである。



The holiness of your relationship forgives you and your brother, undoing the effects of what you both believed and saw.
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • saw [sɔ́ː] : 「see の過去形」
❖ "The holiness of your ~ "「あなたの関係性の神聖さが、あなたもあなたの同胞も赦してくれるのだ」。"undoing the effects of ~ "分詞構文、単純接続、「あなたも同胞も見たと信じたものの結果を取り消しにしてくれるのである」。あなたが幻想世界でパートナーと結ぶ関係性は特別な関係性であるが、あなたが実相世界のホーリー・スピリットと結ぶ関係性は神聖な関係性である。したがって、"The holiness of your relationship"「あなたの関係性の神聖さ」とは、単に、ホーリー・スピリットのことと考えていいだろう。あるいは、あなたがホーリー・スピリットと結ぶ神聖な関係性の中で生じる正気さ、ヴィジョン、叡智、と捉えてもいい。いずれ、ホーリー・スピリットは、あなたも同胞も赦してくれる。つまり、あなたや同胞が犯した過ちを、あなたや同胞は見もしたし、存在していると信じているだろうが(what you both believed and saw)、その結果として生じた罪の意識(the effects)は、本当は幻想に過ぎず、存在していないのだとして、取り消しにしてくれるのである(undoing)。これが、ホーリー・スピリットがあなたや同胞に対して為してくれる赦し(forgive)である。



And with their going is the need for sin gone with them.
  • need [níːd] : 「必要性」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
❖ "And with their going ~ "「罪の意識が取り消しにされて去ってしまうと、」"is the need for sin ~ "「それに伴って、罪の必要性も去っていくのである」。かくして、実相世界に回帰した神の子には、罪の意識も、罪自体も、その片鱗すら残存することはない。



2. Who has need for sin? Only the lonely and alone, who see their brothers different from themselves.
  • lonely [lóunli] : 「寂しい、ひとりの、孤独の、孤立した、心細い」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の、離れて」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "Who has need ~ "「いったい誰が、罪を必要とするだろうか」。"Only the lonely ~ "「独りぼっちで孤独な者だけが、必要とするのだ」。"who see their brothers ~ "「彼らは、同胞は自分自身と異なっていると見ているのである」。自分と他者が完全に分離し、断絶していると信じている者だけが、つまり、孤独で寂しい者達だけが、異質の他者に罪を見い出すのだ。



It is this difference, seen but not real, that makes the need for sin, not real but seen, seem justified.
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • real [ríəl] : 「現実の、実際の、本物の、実在的な」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
❖ "It is this difference ~ "「この違いは、そう見えるが、本当ではない」。"that makes ~ "「それは、罪の必要性を作り出し、」"not real but ~ "「実在しないのに目に見え、」"seem justified"「正当化されているかに見えるのだ」。もし、自分に罪がないなら、罪があるのは他者であるに違いないし、もし、自分が正しいなら、正しくないのは他者である。そういう理屈で生きているのである。他者に罪を見つけ出して、自己を正当化するのである。罪が幻想であり、実在するものではないと、露ほども思うことはない。



And all this would be real if sin were so. For an unholy relationship is based on differences, where each one thinks the other has what he has not.
  • unholy : 「不信心な、不敬な、不道徳な」
  • base [béis] on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
❖ "And all this would ~ "「もし、罪が(本当に、他者の中に)存在するなら、これらのことはすべて、現実であろう」。"For an unholy relationship ~ "「なぜなら、神聖ではない関係性は、違いというものに基礎をおいているからである」。"unholy relationship"「神聖ではない関係性」とは、この幻想世界であなたがパートナーと結ぶ、特別な関係性のこと。あなたとパートナーは、分離した異質の存在であるということが基礎になって、特別な関係性は成り立っている。"where each one ~ "「その関係性にあっては、互いに、他者が、自分のもっていないものをもっていると思っているのである」。異性同士の恋愛関係を思い起こせば、言っている意味がわかろう。男と女は、互いに分離し、異質であるから引かれ合うのであり、男には女のものはなく、女には男のものがないから、互いに補い合うのだ。しかし、実相世界では、もちろん、男女の差さえ消滅する。実相世界は一元論世界なのだ。男女の差も、優劣の差も、善悪、真偽の差もないのだ。



They come together, each to complete himself and rob the other.
  • come together : 「一緒にやって来る、一緒になる、協力する、団結する、一体となる」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、終える、完結する、完成する、達成する」
  • rob [rɑ́b] : 「〜から力ずくで奪う、〜の中身を盗む、〜から奪う」
❖ "They come together ~ "「彼らは、一緒になる」。特別な関係性を築いて、二人が寄り添う、と捉えていいだろう。"each to complete ~ "「各々が、相手から奪って、自分自身を完成させるために」。自分に欠けているものを相手から奪うことで、自己完成させようとするのだ。そのために、二人は寄り添う。



They stay until they think that there is nothing left to steal, and then move on.
  • stay [stéi] : 「とどまる、居座る」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、置き忘れる」
  • steal [stíːl] : 「盗む、盗み取る」
  • move on: 「先へ進む、移る」
❖ "They stay until they ~ " 「彼らは、盗めるものがもう何もなくなったと思えるまで、関係性を維持する」。"stay"を「関係性を維持する」と意訳した。そして、盗めるものがなくなると、"and then move ~ "「彼らは、次に移るのだ」。新たな特別な関係性を求めて、次へ移動する。そして、互いに相手を変えて、再び盗み始めるのだ。



And so they wander through a world of strangers, unlike themselves, living with their bodies perhaps under a common roof that shelters neither; in the same room and yet a world apart.
  • wander [wάndər] : 「歩き回る、ぶらつく、さまよう、迷う」
  • through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
  • stranger [stréindʒər] : 「見知らぬ人、よそから来た人、よそ者、他人」
  • unlike [ʌnláik] : 「似ていない、異なっている」
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • common [kάmən] : 「公共の、公衆の、公の、日常的な、普通の」
  • roof [rúːf] : 「屋根、屋上、天井」
  • shelter [ʃéltər] : 「〜を保護する、避難する、かくまう」
  • neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
❖ "And so they ~ "「こうして、彼らは、他人だらけの世界を彷徨(さまよ)うのである」。"unlike themselves ~ "「その他人は、彼ら自身とは似るわけもなく、二人を保護してくれそうもない共通の屋根の下で、肉体として共に生活するのだ」。肉体的存在として、一つ屋根の下に暮らしているとは言え、心はバラバラなのだ。家は、決して彼らを癒し、かくまってはくれない。"in the same room ~ "「同じ部屋に暮らしながら、しかし、かけ離れた世界に生きるのである」。分離し、断絶した者同士は、必然的に孤独に陥る。肉体的結合は、決して、その穴を埋めることは出来ないのだ。
 
 
 

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