11. The body is the ego's idol; the belief in sin made flesh and then projected outward.
- idol [áidl] : 「偶像、崇拝される人、神像」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信頼」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- flesh [flé∫] : 「肉、果肉、肉体」
- project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
- outward [áutwə(r)d] : 「外側へ、外へ」
❖ "The body is ~ "「肉体は、エゴの偶像である」。幻想に過ぎない肉体の実在をエゴは信じているので、エゴにとって肉体は偶像である。"the belief in sin ~ "「罪の存在を信じたことが、肉体を作り、そして、それを(心の)外へ投射したのだ」。神の子は、神を裏切って神から分離したという罪を信じたのである。その罪の意識と、神から報復されるだろうという恐れの二つに耐え切れなくなり、神の子は自己を乖離して別人格を作り出し、それに肉を持たせ、物質的な幻想世界を心の外に投射して作り出したのだ。この肉体も、世界も、神の子の心が作り出した偽りの世界であり、幻想世界、つまり、神の子の心が見る夢なのである。
This produces what seems to be a wall of flesh around the mind, keeping it prisoner in a tiny spot of space and time, beholden unto death, and given but an instant in which to sigh and grieve and die in honor of its master. - produce [prəd(j)úːs] : 「〜を作り出す、引き起こす、発出する、形成する」
- wall [wɔ́ːl] : 「障壁、城壁、内壁、塀、壁、フェンス」
- around [əráund] : 「〜の周りに、〜の周囲に」
- keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく」
- prisoner [príznə(r)] : 「囚人、捕虜」
- tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
- spot [spɑ́t] : 「染み、汚点、点、斑点」
- beholden [bihóuldn] : 「恩義を受けて、の世話になっている」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- sigh [sái] : 「ため息をつく」
- grieve [gríːv] : 「深く悲しむ、悲嘆に暮れる」
- die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
- in honor of : 「〜に敬意を表して、〜を祝って」
- master [mǽstə(r)] : 「主人、家長、雇い主、所有者」
❖ "This produces what ~ "「こうして、心の周りに、肉の壁と思えるものが作られたのである」。"keeping it prisoner ~ "分詞構文、単純接続、「そして、この肉の壁は、時空の小さな点の中に心を囚人として捕え、」"beholden unto ~ "「死というものの厄介になり、」"and given but ~ "「肉の壁の支配者に敬意を表して、ため息と悲しみと死の瞬間を与えられたのだ」。"master"「支配者」とは、この幻想世界、肉体の支配者ということだから、エゴと考えておくのが無難だろう。したがって、「肉の壁の支配者に敬意を表して」とは、エゴの思考システムを敬愛して、あるいは、エゴを盲信して、といった意味合い。
And this unholy instant seems to be life; an instant of despair, a tiny island of dry sand, bereft of water and set uncertainly upon oblivion. - unholy : 「不信心な、不敬な、不道徳な」
- life [láif] : 「命、人命、生命、寿命」
- despair [dispéə(r)] : 「絶望、失望、落胆」
- island [áilənd] : 「島」
- dry [drái] : 「乾いた、乾燥した」
- sand [sǽnd] : 「砂、砂地、砂漠」
- bereft [biréft] : 「bereave の過去・過去分詞形、奪われた」
- bereave [biríːv] : 「奪う、奪い去る」
- set [sét] : 「定める、配置する、設定する」
- uncertainly : 「不確実に」
- oblivion [əblíviən] : 「忘れられている状態、忘却、無意識の状態」
❖ "And this unholy ~ "「そして、この神聖ならざる瞬間は、命あるものに思われるのだ」。肉体として悲しみに生きることが、生命そのものの姿だと勘違いされる、ということ。"an instant of ~ "「絶望の一瞬」。瞬間とか一瞬とか、"instant"という言葉を使っているが、人が生きる人生という短い時間のことだと考えていい。"a tiny island ~ "「乾いた砂の、小さな島」。肉体のこと。"bereft of water and ~ "「水を奪われ、忘れられ、曖昧にされてしまうのだ」。水を奪われるとは、実相的、真の命が奪われるということ。そして、その肉体は、その存在を忘れられ、生きているのか死んでいるのかさえ不確かにされてしまう。
Here does the Son of God stop briefly by, to offer his devotion to death's idols and then pass on. - stop by : 「途中で立ち寄る」
- briefly [bríːfli] : 「ちょっとの間、短く、簡単に、束の間、一時的に」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- devotion [divóu∫n] : 「献身的愛情、宗教的情熱、信仰心、没頭、専念」
- pass on : 「パスする、通り過ぎる」
❖ "Here does the Son of God ~ "「この肉体に、神の子は、しばし留まる」。あなたは、しばらくの間、この肉体に命を宿す。この世界に生まれ出ること。"to offer his devotion ~ "「それは、死の偶像に献身的愛を捧げるためだ」。"and then pass ~ "「そして、通り過ぎていく」。この幻想世界に肉化して、命を得、しばらくの間、悲しみの人生を送り、死という幻想を信じて、そして、死んでいく。なんと殺伐とした光景であろう。
And here he is more dead than living. Yet it is also here he makes his choice again between idolatry and love. - dead [déd] : 「死んでいる、生命のない、終わってる、枯れた」
- living [líviŋ] : 「生きている、現存する、活気のある、生命のある」
- also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また、〜もやはり」
- make choice [t∫ɔ́is] : 「選択する、選ぶ」
- again [əgén] : 「再び、かさねて、この場合もやはり」
- idolatry [aidɑ́lətri] : 「偶像崇拝、盲目的崇拝、狂信的忠誠」
❖ "And here he is ~ "「肉体に入っているここでは、神の子は、生きているというより、死んでいるのだ」。"Yet it is also here ~ "意訳する、「しかし同時に、神の子が、死という偶像か愛かを再び選ぶのも、この肉体に入っている時である」。"idolatry"「偶像」を、死の偶像と限定して訳してしまったが、エゴや物質を含めて、幻想一般を偶像視することと捉えた方がいいかもしれない。したがって、"love"「愛」は、実相世界一般を象徴する意味合いとなる。簡単に言えば、この肉体に閉じこめられている間に、幻想世界に埋没するか、実相世界に目覚めるかの選択をしなければならないのだ、ということ。つまり、肉体に入ったままで死んでいくか、肉体から抜け出て実相に生きるかの選択である。
Here it is given him to choose to spend this instant paying tribute to the body, or let himself be given freedom from it. - given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- spend [spénd] [SVO doing] : 「使う、費やす、〜を過ごす、〜して過ごす」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- tribute [tríbjuːt] : 「貢ぎ物、贈り物、ささげ物、賛辞、感謝のしるし」
- pay tribute to : 「〜に賛辞を呈する、〜に敬意を表する、〜に貢ぎ物をする」
❖ "Here it is given him ~ "意訳する、「この肉体に入っている期間において、その期間を肉体に敬意を表して捧げるか、自分を肉体から解放するか、自ら選択することになるのだ」。肉体に閉じこめられたまま一生を過ごすか、肉体から抜け出て自由になるかの選択をしなくてはならない。
Here he can accept the holy instant, offered him to replace the unholy one he chose before. - accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える」
❖ "Here he can accept ~ "「肉体に入っている期間に、神の子は、聖なる瞬間を受け入れることが出来る」。肉体から抜け出て自由になるという選択をすれば、聖なる瞬間が与えられ、それを受け入れることで、実相世界に目覚めることが出来る。"offered him to replace ~ "分詞構文、理由、「以前、神の子が選択した神聖ならざる瞬間を入れ替えるために、聖なる瞬間が与えられるからである」。肉体主導の神聖ならざる瞬間から、心主導の神聖な瞬間に、神の子の時間を質転換することが出来る。
And here can he learn relationships are his salvation, and not his doom.- learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
- relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
- salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
- doom [dúːm] : 「運命、凶運、悲運、破滅、死」
❖ "And here can he learn ~ "「そして、ここ、肉体の中にいて、神の子は、関係性が彼の救いであること、そして、その関係性は破滅に向かう運命ではないことを学ぶことが出来るのだ」。肉体主導の関係性は、肉体が死に向かうにしたがって、破滅と消滅に向かう。しかし、その関係性が神聖なものであれば、その神聖な関係性を通して、実相世界に目覚めることが出来、命は永遠不滅のものとなる。決して、神聖な関係性は、破滅と死に向かうことはない。
12. You who are learning this may still be fearful, but you are not immobilized. - still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
- immobilize [imóubəlàiz] : 「固定する、動かなくする、不動にする」
❖ "You who are learning ~ "「このことを学びつつあるあなたは、まだ、恐れを感じているかも知れない」。"but you are not ~ "「しかし、あなたは固定化されているのではないのだ」。恐れによって、凝り固まっているわけではない。真実を学ぶにしたがい、あなたの恐れは消滅し、喜びに変化していくのである。
The holy instant is of greater value now to you than its unholy seeming counterpart, and you have learned you really want but one. - great [gréit] : 「きい、大きな、巨大な」
- of value : 「価値のある」
- value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価、有用」
- seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
- counterpart [káuntə(r)pɑ̀ː(r)t] : 「対をなすものの片方、相手方、対応するもの」
- really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "The holy instant is ~ "「今や、聖なる瞬間は、神聖ならざる瞬間よりも、あなたにとって、ずっと価値のあるものである」。"and you have learned ~ "「そして、あなたは、あなたが本当に神聖な瞬間だけを欲しているのだと学んだのである」。あなたは、幻想には価値がなく、実相こそが価値があって、実際に欲しいものだと知ったのだ。
This is no time for sadness. Perhaps confusion, but hardly discouragement. You have a real relationship, and it has meaning. - sadness [sǽdnəs] : 「悲しさ、悲しみ、不幸」
- perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
- confusion [kənfjúːʒ(ə)n] : 「混乱、当惑、混同、混乱状態、無秩序」
- hardly [hɑ́ː(r)dli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
- discouragement [diskə́ːridʒmənt] : 「落胆、がっかりさせること、がっかりさせるもの」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "This is no time ~ "「これは、決して、悲しみのための時間ではない」。今は、悲しんでいる場合ではない、と解釈してもいいだろう。"Perhaps confusion, but ~ "「多分、混乱しているであろうが、落胆する必要はない」。肉体を捨てることに混乱を感じ、肉体を捨てたら悲しいのではないか、落胆するのではないかと思っているだろう。しかし、"You have a real ~ "「あなたは本物の関係性をもっているのであり、」"and it has meaning"「本物の関係性こそが、意味があるのだ」。だから、混乱することなく、安心して、聖なる関係性に身を委ねていいのだ。
It is as like your real relationship with God as equal things are like unto each other. Idolatry is past and meaningless. - equal [íːkw(ə)l] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
- each other : 「お互い」
- idolatry [aidɑ́lətri] : 「偶像崇拝、盲目的崇拝、狂信的忠誠」
- past [pǽst] : 「過ぎた、過ぎ去った、過去の」
- meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない、無意味な」
❖ "It is as like your real ~ "「あなたの本物の関係性は、神との本物の関係性に似ている」。"as equal things are ~ "「等しいもの同士は、互いに似ているのと同じことだ」。"Idolatry is past ~ "「偶像崇拝は、過去のことであり、意味がないのだ」。あなたが神聖なる関係性を築いたとき、幻想を信仰する偶像崇拝は消滅し、過去のものとなる。実相的に意味がないものは、幻想であり、存在しないのだ。存在していたかに感じていた心が目を覚ますだけで、それは消滅してしまうのである。まさに、存在する意味がなかったのだ。
Perhaps you fear your brother a little yet; perhaps a shadow of the fear of God remains with you. - shadow [∫ǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
- remain [riméin] : 「残る、残存する」
❖ "Perhaps you fear your ~ "「おそらく、まだ少しだけ、あなたは同胞に恐れを感じているだろう」。"perhaps a shadow ~ "「多分、神を恐れる(心の)影が、あなたに残っているだろう」。目覚めたばかりなので、真実の愛を心全体で受け止めることが出来ないでいるのだ。しかし、それも、つかの間のことである。
Yet what is that to those who have been given one true relationship beyond the body?- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
- beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜を超越して、〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "Yet what is that to those ~ "「しかし、肉体を超越して、一つの真の関係性を与えれた者にとって、それが何だというのだろう」。ちょっとの間の恐れなど、すぐ消えてしまうから気にすることはない。
Can they be long held back from looking on the face of Christ? - long [lɔ́(ː)ŋ] : 「長く、長い間」
- held [héld] : 「hold の過去形」
- hold back : 「隠す、抑える、自制する、思いとどまる」
❖ "Can they be long held ~ "「キリストの顔を見ることを、長いこと思いとどまらされることがあり得ようか」。恐れはすぐに消え、あなたは同胞の中に、キリストの顔を目撃することになる。それは同時に、あなたの心の中にキリストを発見することでもあるのだ。
And can they long withhold the memory of their relationship with their Father from themselves, and keep remembrance of his love apart from their awareness?- withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、与えないでおく」
- memory [mém(ə)ri] : 「記憶、思い出」
- keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく」
- remembrance [rimémbr(ə)ns] : 「記憶、思い出、回想、追悼」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
- awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "And can they long ~ "「そして、父なる神との関係性の思い出を、自分自身に長いこと思い起こさせることなく、神の愛の思い出を、意識から遠ざけておくことが出来るだろうか」。同胞にキリストの顔を目撃出来れば、同時に、かつて天の王国で神と共に暮らしていた頃の、神との真の関係性を思い出し、神の至上の愛を思い出すことが出来るのだ。