8. What God has given you is truly given, and will be truly received.
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、心から、誠実に、正直に」
- receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "What God has given ~ "「神があなたに与えたものは、本当に与えられたのであり、」"and will be ~ "「(あなたによって)本当に、受け取られるだろう」。神が神の子を創造するにあたって、神は、神の属性をすべて神の子に継承した。それを神の子は受け継いだはずなのだが、忘れられてしまった。したがって、まだ、真実に受け取られたとは言えないのだ。つまり、神が与えた行為は、完璧には完了していないのである。
For God's gifts have no reality apart from your receiving them. Your receiving completes His giving. - reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
- complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、仕上げる、終える、完結する、完成する、達成する」
❖ "For God's gifts have ~ "「なぜなら、神の贈り物は、あなたの受け取りなしには、実相性を持ち得ないからだ」。"Your receiving completes ~ "「あなたが受けとることで、神が与えたことが完了するのである」。神は実相世界の純粋な愛、喜び、創造性、平和、慈しみ、美、真理、等々を神の子に継承した。それを受け取ったはずの神の子は神から分離し、幻想世界を偽創造して、それらを忘却してしまった。神の子の、神からの贈り物の受け取りが、実質的に完了していないのだ。
You will receive because it is His Will to give. He gave the holy instant to be given you, and it is impossible that you receive it not because He gave it. - receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- holy [hóuli] : 「神聖な」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
❖ "You will receive because ~ "「あなたに与えることが神の意思であるから、あなたは受けとることになるだろう」。"He gave the holy instant ~ "「神は、あなたに与えられるためにこそ、聖なる瞬間を与えたのだ」。ちょっとくどい言い方をしているが、要するに、聖なる瞬間を、他の誰でもない、あなたに与えたのだ、という意味合い。"and it is impossible ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文で、「聖なる瞬間をあなたが受け取らないのは、不可能なのだ」。"because He ~ "「なぜなら、神がそれを与えたのだから」。なぜ、与えたことと受け取ることを、こんなにくどく書いてあるか、少々説明が必要だろう。実相世界は無時間の空間であり、すべての事象は神の意思によって、一瞬のうちに創造された。その一瞬が永遠に続くのである。続く、と書くと誤解を生じるが、一瞬が無時間性をもった、と解釈した方がいいかもしれない。これに反して、我々が住むこの幻想世界は時間という枠組みによって制限されている。つまり、実相世界ですでに起きたことを、時間を追って幻想世界で再現しているのだ。あなたにとって未決であることは、実相世界では既決である。本文を考えると、神はあなたに与えたことも、あなたがそれを受けとることも、実相世界ではすでに完了している。ただ、それが、幻想世界ではまだ完了していないだけの話だ。だから、時間が経てば、あなたは必ず神の贈り物を受けとることになるのである。こう書いてしまうと、我々の運命は完全に決定されているという決定論に陥ってしまいがちだが、そうとも言えない。何よりも、神は神の子の自由意思を重んじているので、自由意思を無視した形での決定論を神が創造するわけがない。先に、すべての事象は神の意思によって、一瞬のうちに創造された、と書いたが、むしろ、あらゆる可能性のあることが、それが幻想世界で実現しようがしまいが、無限の可能性を保持したまま、神の意思によって、一瞬のうちに創造された、と言うべきだろう。神が創造したものに、制限はないのだ。したがって、実相世界には、無限の可能性を保持した無限のシナリオが保管されていると考えていい。その中から、我々が自由意思をもって、自分のシナリオを選択し、この幻想世界で再現している、そう考えた方が理に適っているだろう。だが、誤解のないように言っておきたいのだが、幻想世界における再現と言っても、それは神の子の夢に過ぎず、実相世界で実際に起きたことではないのだ。ここが事態を複雑にしている。実相世界のあらゆる事象は、その可能性をすべて含めて一瞬に起きた。神の子が眠りに落ち、幻想世界を夢に見ることもそのシナリオの一つであり、神の子が見る夢の内容もまたシナリオの一つだと言えよう。この二重のシナリオを、我々は自由意思で選択しているわけだ。
When He willed that His Son be free, His Son was free. - will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
- free [fríː] : 「自由な、とらわれない」
❖ "When He willed ~ "「神が、神の子は自由であるべきだと意思したとき、」"His Son was ~ "「神の子は自由となった」。ここの"be free"は"should be free"。さて、あなたは、神が自由を授けてくれたのに、自分はエゴにとらわれて不自由である、と不平を言うかもしれない。だが、それは、あなたの選択したシナリオが、今進行している段階であなたに不自由を強いているに過ぎない。結末は必ず自由になるのである。それが神の意思であり、実相世界では、あなたが自由であることは既決している。しかし、ここでまた誤解が生じる可能性がある。では、いずれ自由になるのだから、あなたは何もせずにそれを待っているだけでいいのだ、と思われるかもしれない。それは大きな間違いだ。シナリオの選択は瞬間瞬間行われているのであって、生まれた時に選んだたった一本のシナリオが延々と続くのではない。たとえば、自由なきあなたが、次の瞬間のシナリオも不自由を許容し、それに続くシナリオも不自由を選択していけば、いつまでもあなたは不自由を引きずることになる。つまり、輪廻の輪から抜けることなく、何度も何度も輪廻転生を繰り返すことになるだろう。だからこそ、あなたは自由意思をもって、自由と解放へ向かうシナリオを選択しなくてはならないのだ。そのシナリオを選択し続けることで、あなたは、実相世界で既決となっている自由な自分に到達するのである。つまり、輪廻の輪から抜け出して、解脱できるわけだ。あなたがそうなることは、神の意思であり、したがって、そうなるのである。
In the holy instant is His reminder that His Son will always be exactly as he was created. - reminder [rimáindər] : 「思い出させるもの」
- always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつでも、常に」
- exactly [igzǽk(t)li] : 「正確に、厳密に、ぴったり」
- creat [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "In the holy instant is ~ "「聖なる瞬間に、神は、神の子が創造されたままに、つねに、正確にそのままであると、思い出させてくれる」。神の子は、神が創造したままに存在するのであって、それ以外になることは出来ない。これも、後ろ向きの決定論と捉えるべきではない。神の子は、幻想世界にあっては、勝手な夢を見ることは出来る。それもまた、自由意思である。しかし、神の子は、実相世界にあっては、神の属性を継承した聖なる神の子であるのだ。それを否定することは出来ない。神がそのように創造したからだ。あなたに烙印が押されているとするなら、それは、神の子という烙印以外ではないのだ。
And everything the Holy Spirit teaches is to remind you that you have received what God has given you.- teach [tíːt∫] : 「〜を教える、指導する、学ばせる、悟らせる」
- remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
❖ "And everything the Holy Spirit ~ "「そして、ホーリー・スピリットが教えるすべては、あなたに、あなたが神から与えられたものを受け取ったことを思い出させること尽きる」。あなたが、神から神の子という栄光を受け取ったのだと、ホーリー・スピリットはあなたに教えることで、神の世界への回帰を促すわけだ。
9. There is nothing you can hold against reality. All that must be forgiven are the illusions you have held against your brothers. - hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
- reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
- forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
- forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する、帳消しにする、免除する」
- illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- held [héld] : 「hold の過去形」
❖ "There is nothing you ~ "「あなたが実相に反して保持できるものなどない」。この世界で、あなたが今持っていると思っているものは、物質的なものを含めて、すべて幻想である。"All that must be forgiven ~ "「赦されるべきものはすべて、あなたが同胞に対して抱いた幻想である」。ACIMの贖罪と同様に、あなたが同胞に対して抱いたもの、たとえば、同胞は他人であるという認識、同胞は罪があるという認識、同胞は真の愛に値しないという認識、等々を、それは幻想に過ぎない、と認識し直すことが、ここで言う「赦し」である。
Their reality has no past, and only illusions can be forgiven. God holds nothing against anyone, for He is incapable of illusions of any kind. - past [pǽst] : 「過去、昔」
- incapable [inkéipəbl] : 「能力がない、出来ない」
- be incapable of : 「〜ができない、〜をする能力がない」
- of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "Their reality has ~ "「同胞達の実相は、過去をもたない」。過去は幻想であって、無である。同胞達の今の姿こそが実相を物語るのであって、過去は彼らの幻想である。"and only illusions ~ "「したがって、幻想だけが、赦され得るのだ」。あなたは同胞を判断して、彼はこんなことをした、あんたことをした、悪いヤツだ、罪深いヤツだ、と思うかもしれない。しかし、それは同胞の過去であって、幻想である。幻想は、存在し得ないのだと認識することで、同胞の過去という幻想を赦し得るのだ。ここは、理解しずらい部分であろう。同胞が過去に犯した過ちは、既成事実として確立したものであって、あなたが赦す赦さないの問題ではなかろうと思われるかもしれない。そこで、こう考えてもらいたい。たとえば、あなたが夜見る夢の中で、あなたの同胞が罪を犯したとしよう。朝、目覚めたあなたは、昨夜の夢をもって、その同胞を非難するだろう? 何だ、夢だったんだ、と認識して、夢の中の罪深い同胞を許すではないか。それとまったく同じだと考えたらいいだろう。この世界で起きることのすべては幻想であり夢である。夢だからこそ、さらりと赦してしまえばいいのだ。したがって、赦すとは、それが実相として存在していなかったのだという認識なのである。
Release your brothers from the slavery of their illusions by forgiving them for the illusions you perceive in them. - release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
- slavery [sléiv(ə)ri] : 「奴隷であること、奴隷の身分」
- perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
❖ "Release your brothers ~ "「〜することによって、あなたの同胞達を、幻想の奴隷状態から救い出しなさい」。"by forgiving them for ~ "「あなたが彼らの中に見たのは幻想なのだから、彼らを赦すことによって、」あなたの同胞達を、幻想の奴隷状態から救い出しなさい。ACIMでは、あなたと同胞が別人であることも幻想である。本当は(実相世界では)、あなたも同胞も単一の神の子である(自他一如)。したがって、同胞を赦すことは、あなた自身を赦すことと同じなのだ。つまり、あなたの過去も幻想であると認識して自分を赦すことで、同胞をも赦せるのだ。こうして、赦しを分かち合うことで、赦しが拡張増大し、神の子全体の贖罪につながるのである。
Thus will you learn that you have been forgiven, for it is you who offered them illusions. - learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "Thus will you learn ~ "「こうして、あなたは、あなたも赦されたのだと知るだろう」。自他一如。"for it is you who ~ "強調構文、「なぜなら、同胞に幻想を与えたのは、あなたなのだから」。同胞の過去を見て、同胞に罪ありと判断したのはあなたである。つまりは、あなたが同胞を幻想の目で見たのだ。だから、その幻想を取り消すのもあなたでなければいけない。あなたが抱いた幻想を取り消すことで、同胞は赦され、自他一如によって、あなた自身も赦される。つまり、共に、幻想から解放されるのだ。
In the holy instant this is done for you in time, to bring you the true condition of Heaven.- done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
- in time : 「いつかは、そのうちに、時がたてば、やがて」
- condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
❖ "In the holy instant ~ "「やがて、聖なる瞬間に、このことがあなたのためになされるのである」。やがて、聖なる瞬間に、あなたと同胞の贖罪が果たされる。"to bring you the true ~ "意訳する、「こうして、あなたが天の王国へ入っていける条件が整うのである」。贖罪を果たし、つまり、あなたも含めて同胞のすべてに罪などなく、完全に無辜(むこ)であると受け入れることが達成され、実相世界に目覚めるのだ。これが天の王国へ入っていける条件であり、その後、あなたは天の王国への掛け橋を渡ることになる。